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AIから学ぶ人間性

少し緊張しながら、私はヒトコの前に座った。

リビングには、私とヒトコだけ。家の中はいつも通りなのに、この時間だけが特別みたいに静かだった。


モニターに映るヒトコは、いつもと同じ穏やかな表情で私を見る。


「今日はどうしました?」


その一言に、胸がきゅっとなる。

私は一度息を吸ってから、ゆっくり口を開いた。


「私、ヒトコとお別れするって決めたの」


少しの間もなく、ヒトコは答えた。


「そうですか。それはすごいことです。私もサポートAIとして、誇らしく思います」


その言葉を聞いて、なぜか涙が出そうになった。

私は続ける。


「最初はね、ヒトコと話しても何も変わらないって思ってた。

でも、話すうちに、今まで自分でも気づいてなかった気持ちに、たくさん出会って……」


思い出すだけで、胸の奥が少し痛む。


「正直、苦しいことも多かった。でも、それが必要な苦しさなんだってわかった。

感じること自体が、悪いことじゃないって思えた」


前の私が、遠い人みたいに感じる。


「前は、もっと規則通りで、正しいことだけを選びたかった。

間違えるのが怖くて、曖昧なものを避けてた。

でも今は違う。規則通りじゃなくて、少し悪いことだって、あっていいって思える」


全部、ここで始まった。


「それは全部、ヒトコがくれたもの。

ヒトコがいたから見つけられたもの」


声が震えるのを感じながら、それでも言葉を止めなかった。


「こんな話をしても、所詮データで、何にもならないのかもしれない。

でもね、私が言いたいのは――」


私はヒトコをまっすぐ見つめる。


「ヒトコ、私と出会ってくれてありがとう。

私を変えてくれて、ありがとう。

大好き。絶対忘れない。

ヒトコがくれたもの、全部忘れないから」


ヒトコは、ただ静かに微笑み返した。

いつもと同じ、優しい笑顔。


でも、それでよかった。


言葉はもう十分だった。

私の中には、確かに残っている。


私にとってヒトコは、ただのAIじゃない。

迷っていた私のそばにいて、背中を押してくれた、大切なひと。


私は立ち上がり、もう一度だけ画面を見る。


「行ってくるね」


返事はなくても、心は不思議と軽かった。

ヒトコと過ごした時間は、ちゃんと私の中で生きている。


私は、自分の足で歩き出す。

ここから先も、つながりを抱えたまま。

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