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ちがってるから、いい

第三回のワークショップ。少し慣れたその部屋で朝比奈先生の説明を真剣に聞いていた。


午前の活動テーマは「協力して地図を作ろう」。

与えられたのは、架空の街の簡単な設定といくつかの素材。前回のペアで協力して建物の位置を相談しながら、ひとつの街を作り上げるワークだ。


始まるなり、向坂さんが手を挙げて言った。


「私がやろうと思うとバーッてやっちゃうから、リンリンが指示出して!」


突然の提案に戸惑いつつも、私はこくりと頷いた。

「じゃあ、まず…お店は真ん中にして…病院はこっち…」


「オッケー!あ、それならお店の近くにバス停もあった方がよくない?」


「うん、…いいと思う」


言葉を選びながら、ゆっくりと話した。向坂さんは元気よく「はいはーい!」と答え、材料を持って動き出す。時折、思いついたことを突然言ってびっくりさせたり、材料を持ったまま自分の世界に入って手が止まってしまうこともあった。


「そこの紙…向きが逆かも」


「あっほんとだ!ナイスリンリン!こう?」


「…うん、ぴったり」


向坂さんは笑いながら「こうやって誰かに教えてもらうの、ちょっと安心するね」と言った。


少し間を置いてから、「私も。…一人だと、どうしたらいいか、分からなくなるから」と小さく答えた。


やりとりを重ねるうちに、お互いのペースを少しずつ掴みながら進められるようになり、前回よりもずっと落ち着いた、整った街が完成した。


最後に、「助かったことを伝え合おう」の時間。

向坂さんが真っ先に手を挙げた。


「リンリンが、いっぱい指示出してくれたのが助かった!私、つい突っ走っちゃうからさ。ありがとう!」


凛はちょっと顔を赤くしながらも、静かに笑って言った。


「ううん。向坂さんが、すぐ動いてくれるから、私のペースでも間に合った。…ありがとう」


「えへへ、いいコンビじゃん、私たち!」


ふたりは目を合わせて、ふふっと笑った。


すると、ほのかが勢いよく身を乗り出してきた。


「ねぇリンリン!友達になってよ!」


凛は驚いた顔で一瞬固まった。

けれど、ほのかはまっすぐに笑っていた。


「だって、リンリンといると、なんか落ち着くし、私もがんばれる気がするんだよね」


「……うん。…私も」


その言葉と一緒に、凛の顔に自然な笑顔が広がる。


「あ!じゃあこれから名前で呼んでよ!『向坂さん』だとなんだかむずむず痒くなる」


「……頑張る。」


「そうして!」と笑いながらほのかがスマホを取り出して

「はいっ、これ、連絡先!」と差し出し、私もそっと自分のを出した。


画面に「りん」と「ほのか」の名前が並ぶ。


その文字を見た瞬間、凛の胸の中に、ふわっと温かいものが灯った。

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