決別と決意
『――――――ただいまぁ〜』
部屋のドアを開きながら、ぐったりとした表情でコレットが入ってきた。
『お疲れ様でした』
『いやぁ〜もう体中が痛くて怠くてやばいヨォ〜』
そう言いながら、コレットは置いてあるベッドの上にうつ伏せで倒れた。
数秒、死んだかのように動かなくなったかと思うと、バッと体を回転させ仰向けに態勢を変えた。
『……あれ?アランは?』
パッと顔を上げて部屋の中を見回す。
ベッドの上でスヤスヤと寝ているドラゴンズとクレアの姿が見えるだけで、他のメンバーは何処かへと行っているようだった。
『アランさんは外の空気を吸いに行くと言ってからまだ帰ってきてないですね』
『え、逃げたとかじゃ……ないよね?』
『まぁ、クロエさんが様子を見に行ったので大丈夫でしょう』
『ふーん。それならいいんだけどさ』
すると、部屋のドアを開けイザベラが入ってきた。
『あら、お疲れ様でしたわ』
『いやぁ〜頑張ったよ!ところで、イザベラちゃんは何をやってたの?』
隠しきれない喜びがイザベラの顔から溢れ出ていた。
口の端がピクピクと痙攣しており、今にも笑い出したそうだった。
『換金ですわ!!!』
『そ、そう言えば賭けかなんかをしてたんだっけか』
『ええ。次の試合は倍率的にあまり美味しくはないですれど、今回の試合は帝国騎士団側の倍率が低かったのでウッハウハでしたわ!!!』
『へ、へぇ〜。因みに大将戦の倍率はどんな感じだったの?』
『帝国騎士団側の方が微妙に低かったですわ。ですので、勝ってもウーンって感じですわね』
ヤレヤレといった表情でイザベラは椅子に腰をかけた。
『……あら、クロエ様とアランさんがいらっしゃいませんね』
『外の空気を吸いに行ってるらしい』
『……そうですか。まぁ、彼には彼の思うところなどあるでしょうから、今はそっとしておきましょう』
誰も言葉には出さないが、心配している気持ちがあるのは皆同じようだった。
――――――――――――――――――
冷たい風が頬を撫でる。
美しい黒髪を手で押さえながら、コロッセウムの最上段外壁へとやってきた。
カツカツと下駄の音を鳴らしながら近づく。
『もうそろそろ準備はできたかのう?』
クロエの声に反応し、黒髪の青年はコチラを振り返った。
右手にはキラキラと光る魔力の球体が高速で回っていた。
『あぁ、あと5時間は欲しいかな』
『遊んでないで準備せい。それとも、まだ過去に囚われておるのか?』
『……まぁね。結果に納得はしているけど、なんつーかなぁって感じだな。憎悪とか恨みを抱けたら少しは楽だったのかも知れないけど。まぁ――――――心が清らかな俺だからこそって感じの悩みだな』
『何を言うとるんじゃ……』
呆れた表情を見せながら、アランの隣にピタッと座る。
『婚約者をNTRれたんだから普通は憎しみを持つべきなんだろうとは思う。ただ、あのクソ金髪騎士がいなかったら全滅してたんだよな。俺も、エマも、村のみんなも――――――みんな死んでたと思う』
『なるほど、心のどこかでアレに感謝してしまっているせいで複雑な感情になってしまっておるのか』
『……そうなんだよな。なんだかんだエマの面倒も見ているみたいだしさ……クソ野郎だけど』
悲壮感とまでは呼べない、どこか儚げな表情を見せながらアランは空を見上げる。
『なるほど。じゃがまぁアレではないか?』
『アレとは?』
『【感謝】と【報復】は別々にすればいいんじゃなかろうか?』
『……と言うと?』
クロエはアランの太腿に頭を乗せる様に寝転がった。
『【感謝】しながら【殴れ】ば――――――どっちも両立できるのじゃ』
『魔王的発想すぎるッ!!!だけどまぁ……あれか。あんまり考えすぎるのも良くないのかもな』
『どちらにせよ、ここで――――――この話の決着は付けておくべきじゃな』
『……そうだな。“ここから先”の未来には持ってけない事だよな』
スッとアランは起ちあがった。
その瞳には小さな光が宿っているように見えた。
『……さて、そろそろ戻ろうぜ』
『帰りにアイスを買ってもよいか?』
『10段重ねのクソデカいやつ買おうぜ』
『やったのじゃ!!!』
――――――――――――――――――
『ウェイン隊長、準備の方は大丈夫そう?』
足を組みながら白髪の少女ルインは、丁度部屋に入って来たウェインに質問を投げかける。
ウェインはドアを開きながら、目の前の光景に困惑する。
『お前ら……何をやっているんだ?』
四つん這いになりながら椅子役をやっている緑髪の青年アルドと、その上に座るルイン。
アルドの頬は赤く腫れており、何者かに殴られた事が分かる。
口に咥えられた布からはポタポタと透明な液体が滴り落ちていた。
驚きながら観察していると、部屋の奥から呻き声のような音が聞こえてきた。
音のする方向を見ようと視線を移すと、そこには――――――
『……一体なにがあったんだ』
天井に逆さで吊し上げあられているルーデルの姿があった。
鼻からは血が溢れ出ており、目からは涙が流れて出ていた。
すぐ下の床には薄く赤い水溜まりが出来ており、そこそこの時間吊られているのが分かる。
『ちょっと色々あってね。副隊長として――――――“教育”してた』
『……そうか、程ほどにな』
『んっ――――――!んッ―――んッ――――――!!!』
アルドが表情で必死に何かを伝えようしている。
しかし、ウェインは余程関わりたくなかったのか、何も見ていなかったかのように視線をルインへと戻した。
『エマはどうした?』
『さっき医療スタッフの子が来て【治療室で休んでいます】って言ってたよ』
『そうか』
『まぁ、観てた感じ外傷はなさそうだったし、目が覚めたら帰ってくるでしょ。ってかあの犬娘なに?普通にヤバそうだったんだけど』
『詳しい話は後でいいだろう。とりあえず今は――――――大将戦だ』
そう言うと、ウェインは部屋に設置されたクローゼットを開いた。
そこには白銀に輝く槍が丁寧にしまわれていた。
『大丈夫だよね?万が一負けるなんてことがあれば【帝国騎士団】の地位に関わってくる話になるけど?』
『どうだろうな』
『……は?』
普段、誰に対しても高圧的な態度のウェインが、今日は珍しく弱弱しい雰囲気を纏っていた。
『前の試合の結果をまだ引きづってんの?』
『そうゆう訳ではない。ただ――――――アイツが強すぎる可能性がある』
『確かに【妖精楽園】のエラードが負けたのはビックリしたけどさ、見た感じ不意打ちだったじゃん?』
『とは言え勝ちは勝ちだ。それに……俺にはまだ、アイツが本気を出しているようには見えなかったがな』
『…………』
納得できないと言いたげな顔でルインはアルドの尻をパンッと叩く。
アルドはビクッと体を震わせた後、体を上下にダンダンと動かし抗議の反応を見せた。
『――――――責任を取ってくれるのかしら?』
『ッ!!!』
そうボソッとルインが呟くと、アルドは途端に大人しくなった。
『……情けないわね』
『お前らのコントを見させられているこっちの身にもなってくれないか?』
『違うわよ!!!』
パンッと追撃の一撃がアルドの尻を襲った。
『本当に頑張ってよね!!!アンタが負けたら給料査定にも響くんだから!!!』
『もとよりそのつもりだ』
部屋を誰かがノックする音が聞こえてきた。
ルインは部屋のドアが開かないようにと氷の魔術を使い、ドア囲いとドアを固定した。
『――――――あ、あれ?開かない?』
『直ぐに行きますので御心配なく!』
『あ、はい分かりました。では準備の方をよろしくお願いいたします』
ドアの向こうでパタパタと駆け足で移動する音が聞こえてきた。
ルインが指をパチンと鳴らすと、一瞬にして氷が水へと変化した。
白銀の槍を持ったウェインは部屋のドアに手をかける。
『俺は、アイツを越えてもう一度――――――サーシャに挑戦する』
そう小さく呟くと、ウェインは部屋を後にした。
――――――――――――――――――
『うぃーっす』
アランは控室のドアを開き部屋へと入る。
すると、そこには制服を身に纏ったスタッフと思しき獣人の娘がいた。
『あっ!!!いらっしゃいましたか!!!』
『あ、すみません。クソデカいウンコをしてまして……』
『え、あ……だ、大丈夫ですよ!!! 直ぐに準備の方をよろしくお願いいたします!!!』
そう言うと、逃げるように駆け足で部屋を後にした。
『アラン……なんでアンタはいつももっとこう……言葉を選ばないの?』
『お、コレット試合お疲れさん。あのスーパーアルティコレットモード凄かったな』
『私の知らない技をかってに作らないでよ!!!』
ベッドの上で仰向けになりながら、コレットはジタバタと抗議をしてきた。
『やっぱりアレって反動がヤバイんだな。それ、まともに動けないんだろ?』
『……動けないね。全身肉離れみたいになってて明日ヤバイかも』
『まぁ、あれだな――――――なんとかなるっしょ!!!』
『そうだといいね……』
アランは向きをドアへと変え、ドアノブへと手を伸ばす。
『ア、アランさん!』
『ん?どしたクレアさん』
『……ウェイン隊長――――――ウェインの事はどうするつもりですか?』
『どうもしないよ。普通に戦って、普通に勝つだけ』
『……そうですか。それなら良かったです』
『とは言えだな』
アランは考えるように顎に手を当てた。
『試したいこともあるし――――――【魔術】と【武器】を縛った上で最大限の屈辱を与えて勝とうかなって思ってる』
意地悪そうにニチャぁと顔を歪ませながらアランはそう答えた。
『アラン……それは性格悪すぎじゃない?』
『なに、俺のちょっとした――――――ささやかな復讐ってやつだな』
コレットはヤレヤレといった表情でアランの顔を見る。
『――――――ならもっと徹底的にやろうよ』
『コレットさんッ!?』
『初対面で会った時にさ――――――なんか私の胸をエロい目で見てた気がするんだよね』
『そりゃぁ、そんだけデカいモノが実っていたら男なら誰しも――――――』
コレットの鋭い眼光がアランの股間を刺す。
それはまるで『それ以上言ったら――――――モグよ^^』と言っているようだった。
『許せねぇよなアイツ!!!ぶっ殺してやる!!!』
『殺すのはまずいから――――――半殺しくらいにしようよ。いや、七割くらいかな』
『それだいぶ逝ってますわ』
椅子に座るイザベラは楽しそうな表情で答えた。
『イザベラも確かエロい目で見られてたんだっけか?』
『そうですわね。わたくしの体はクロエ様だけのモノですので、不敬極まりますわね』
紅茶の入ったカップを口元へと持っていき一口飲む。
そして、ゆっくりと受け皿の上に置いた。
『――――――顔面を重点的に狙いましょう』
『了解。それに関しては丁度、俺も思ってたところだったわ。ヤリチンイケメンってムカつくし、正しい教育が必要だよな』
『そうですわね』
アランはドアノブをガッ!!!と力強く握った。
『みんなありがとう!!!なんか色々ふっ切れたわ!!!』
そう言うと、アランは勢いよく部屋を後にした。
『――――――股間も重点的にって言い忘れちゃったわ』
『……コレットさんって結構攻撃的なんですね』
『因みに――――――クレアさんの事“は”エロい目で見てなかったって言ったらどうする?』
『ウェインは私が殺します』
――――――――――――――――――
薄暗く、少しひんやりとした廊下を歩く。
視線の先にはフィールドが見えており、太陽の光が出口から差し込んでいた。
体を伸ばし軽い準備運動をしながら、アランはフィールドに向かって歩き進める。
『ふぅ~』
息を吐き、体の力を抜きながら精神を整える。
しかしその時、自身の背後に何者かの気配を感じ取った。
ピタリと足を止め、ゆっくりと振り返る。
すると、そこには見慣れた茶髪の女性が立っていた。
『…………』
咄嗟に言葉が出なかった、
何を言おうかと考えてはいたが……彼女の姿を認識した瞬間――――――全部が吹っ飛んでしまった。
茶髪の女性は廊下の壁に身を預けながらこちらへと向かって来た。
そして、1メートル程の距離まで近づくとその場で立ち止まった。
『……アラン』
そう小さく呟くと、茶髪の女性は床に膝をつける。
そしてそのまま――――――両手を床につけようとした。
しかしその瞬間、目にも止まらぬ速さで近づいたアランがエマの体を掴んだ。
両手は床につく事は無く、エマの上半身は完全にアランへと預けられていた。
『それ以上させたら――――――俺は男じゃなくなる』
『……ごめんなさい。本当に……ごめんなさい』
『……』
体の震えがアランの腕を伝う。
お互いの顔が見えない姿勢で二人はそのまま静止した。
『……俺にも謝らせてくれ。三年前の俺は、口先だけで結局何も守れなかったカスだった。本当に――――――ごめん』
『……うっ…………違うよ。私が一方的に……アランを裏切ったんだよ』
『俺達はどっちも約束を守れなかった。だから……俺達が今感じてるこの苦しみはその代償なんだと思う』
『……それでも私が――――――ごめんなさい』
『お前に“その選択肢”しかとれない状況を作ったのは俺だ。だから――――――もう謝らないでくれ』
アランは掴んでいる右腕に少しだけ力を入れる。
『……俺達はそれぞれの目的の為に違う道に進んだ。だから――――――もう戻る事はできない。俺は俺の道を行き、エマはエマの道を進む事になる』
『……そうだね』
アランは掴んでいる左腕に力を入れる。
『だけど、たとえ進む道が違っても――――――俺はエマ愛してるから』
『…………』
エマは空いている手をアランの体に寄せる。
『……私には貴方に愛される価値なんてないよ』
『最後なんだからこれくらいの我儘はいいだろ?』
『……ありがとう。私もアランの事は一生忘れないよ』
『あぁ、俺も忘れない。だから――――――』
『『――――――さようなら』』
最後に強く抱き合い、そして――――――ゆっくりと腕の力を解いた。
アランとエマの目が合う。
永遠と勘違いしそうになるほどの一瞬が過ぎ去ると、アランはゆっくりと立ち上がる。
そして、エマに背を向け前へと歩き始めた。
その背に大きなモノを背負いながら。
エマはアランの背中が太陽の光に飲み込まれるのを見送ると、静かに立ち上がり自身の行くべき道へと歩き始めた。
――――――――――――――――――
歓声が雨のように降りかかる。
視線を上げ空を見る。
すると、前回見た時よりも今日はどこか――――――清々しく、美しく見えた。
視線を元の位置へと戻すと、そこには綺麗に磨かれた鎧を着た金髪の騎士が立っているのが見えた。
『よう、久しぶりだな』
『……相も変わらず貴様はムカつく顔をしているな』
『おいおいおい、負けた腹いせを俺にぶつけないでくれるか?』
『くっ……』
苦虫を嚙み潰したかのような顔をしながら、持っていた白銀の槍を握る手に力が入っているのが見えた。
『まぁ、あれだ。今日はいい試合にしようぜ』
『悪いが貴様のペースに付き合うつもりはない。俺は俺のやり方で――――――貴様を超える』
『…………』
ウェインの表情には侮蔑の感情も、油断もなかった。
『あっそ。でもまぁ、あれだ。俺にとってこの試合は――――――』
『フィーヤ・ヘイル。サッサっと試合開始の宣言をしてくれ』
視線を上げ、ウェインはフィーヤの居る位置を見る。
すると、中から銀髪の美しい女性が出てきた。
『両者の準備が完了した事を確認しました。ではこれより準決勝【大将戦】の試合開始の宣言をここに行います』
フィーヤは右腕を垂直に挙げる。
『――――――試合開始!!!』
ウェインは白銀の槍の切っ先をアランへと向ける。
『貴様の敗北を手土産にしてく――――――ッ!?』
刹那――――――黒い稲妻がウェインの顔面に現れる。
そして、次の瞬間には――――――空を見上げていた。
『――――――何が……起き…………た』
鼻に違和感を感じ、咄嗟に手で触れる。
すると、ドロリとした赤い液体が付着しているのが見えた。
『――――――貴様ッ!!!』
状況を理解したと同時に、体を起こし立ち上がる。
そして、白銀の槍が光を帯び輝き始める。
『【我が誓いを聞き届――――――』
魔術の詠唱を始めると同時に腹部に強烈な痛みが走る。
あまりの衝撃に体が耐えきれず、膝をガクリと地面へと落とす。
『……貴様――――――何をした!?』
ウェインは、凄まじい速度で一瞬にして目の前に現れた黒髪の青年へと問いかける。
アランの体からは黒い静電気のようなものが走っており、髪が逆立ちオデコが見えていた。
『え――――――実験だけど』
観客席で座っていたクロエはバッと勢いよく立ち上がった。
『……そんな馬鹿な』
『あれって……』
クロエと同様に“信じられない”といった表情をしながらコレットは呟いた。
『クロエちゃん!あれって【荒犬神モード】だよね!?』
『……おそらくは……そうじゃな。しかし、あやつの魔力属性は闇単一じゃから普通は出来ないはずなのじゃが――――――いや、嘘じゃろ?そうゆう事なのか?』
クロエは、かつて自身が提唱した“とある仮説”と、先程コロッセウム最上段外壁で見た光景を思い出す。
あやつを迎えに行った際、何か作っておったよな?
掌の上に光る謎の球体を作っておったよな?
しかもなんか凄い速度で回っておったよな?
あやつ――――――やりおったのか!?
ストンと力が抜けるようにクロエは椅子に腰を落とした。
『あやつ――――――命知らず過ぎじゃろ』
『クロエちゃん!教えて教えて!』
クロエは“ふぅ“と深く息を吐く。
『あれはおそらく、大気中の魔素を体内に取り込んで疑似的に【荒犬神モード】を再現しておるのじゃ』
『へぇ~そんな事とかできるんだ』
『できん』
『えっ!?』
コレットが感心しながらフィールドに視線を戻したその瞬間、驚愕した表情で再びクロエの顔を見た。
『理論上は可能じゃ。つまりは、立証されてはおらん机上の空論じゃ。ワシ自身、実際にやってみた事があるのじゃが――――――あまりに無謀過ぎて途中で断念したヤバすぎ理論じゃ』
『え、それって――――――』
『ワシらは今……【魔の進化】を見ておる。まぁ、あやつはそんな事知らずにやっておるのじゃろうけどな』
後ろに座っていたイザベラがゆっくりと体を前に寄せてきた。
『しかしクロエ様。無理やり魔素を体内へと取り込むと、体内にある魔力が拒否反応を起こし体が崩壊するはずでは?』
『そうじゃ。じゃが……理論上、取り込んだ魔素と体内の魔力の比率を合わせ、【荒犬神モード】と同じように一定の距離を保ちながら回せば行けるんじゃよな』
『ですがそれは無謀だったと』
『そうじゃ。そもそも大気中の魔素と体内の魔力とでは濃度も量も属性も何もかもが違うのじゃ。なんなら、取り込んだ魔素同士でも異属性同士で反発しあうから普通に制御ができないのじゃ』
『では一体どうやって――――――』
どこか満足気な表情をしながらクロエは答える。
『知らん』
『えぇ!?』
アランは見下ろすようにウェインの前に立つ。
『どうした?立たないのか?それとも――――――手を貸してやろうか?』
ウェインの体が静かに震える。
『ざ……けるな…………ざけるな…………――――――ふざけるなアッ!!!』
白銀の槍を前に押し出すように、勢いよく立ち上がろうとする。
しかし――――――
『――――――そうこなくっちゃな』
『ガハッ……』
アランの真っすぐに放たれた右拳がウェインの顎へと命中する。
振り抜かれた拳は黒い稲妻のような軌跡を残しながら、ウェインの顎を完全に砕いてみせた。
『――――――さぁて、決勝までに完成させなくちゃな』
アランの楽しい実験タイムが始まった。
まどマギの新しいアプリゲームにハマってしまって――――――――――――時間が……( ゜Д゜)。
ってか早く秋になってくれ。




