偽世界物語
「ここは……」
目覚めたらそこは、異世界だった。空飛ぶドラゴン、広大な草原、聳え立つ塔、ありそうでないゲームの世界が広がっている。
「どこじゃ、ここはぁー!」
空で鳴く鳶の声が懐かしいが、何故か翼が4つ付いている。なんじゃありゃ。
「おぉーい、どうしたんだべー?」
コチラに向かてくる小太りな人影が見える。ついに、第一村人発見か!まぁ、この男性の特徴的な喋り方については、触れないことにする。
「えと……ココはドチラなのでしょうか?」
「オタク……でかいね」
やってきた男性は、身長が120cmくらいしかない。小人族か何かだろうか?
「それほどでも」
「ココがどこって、オタク迷子だべ?」
「はい。そうです」
話を円滑に進めるために、細かいところは受け流すことにする。
「ココは東京だべ」
「いや、東京なんかい!」
「だべ」
「んなわけあるかーい!」
自分の声に呼応されたかのように、地面から巨大ミミズが頭を出す、てか、ミミズの頭に歯が付いてるんですけど、ミミズにあんな歯ありましたっけ?大きさはもう慣れた。小人と並んでるから、そう見えるだけだ。うん。
「化け物だべぇー」
「空見ろ空!もっとやべぇの飛んでんだろ!」
ゴゴゴ……
「えっ?」
地面が響く。地震?その瞬間、グォォォーーと叫び声が聞こえる。
「だぁぁぁ!!でけぇぇぇ」
人間二十人分のミミズが顔を出す。無理無理無理、あんなの無理だから!!
「伏せて!」
女性の奇麗な声が聞こえる。これが天使の囁き?生まれ変われるなら、元の世界で大富豪のイケメンにしてください。
「いてぇぇぇーー足がぁぁぁ……」
「すみません。ジャンプしてくださいの間違いでした!あっ……」
彼女の放った何かは俺の足をかすめて、周囲に血の雨を降らせる。そんな俺を見てすぐに謝ってくれたが、何かを思いついたかのように言葉を切りコホンと咳払いする。
「ミミズに伏せてもらおうと思ったんです。私の攻撃は、地面すれすれに飛んでいくものなので」
「いやいや、ミミズに言葉通じねぇから」
「父ちゃーん!!どうして、父ちゃんが……」
お前、喋れるんかーい!小さな方の巨大ミミズが、後から来た巨大ミミズに体を押し付けて泣き叫ぶ。
「これは正当防衛なのですから、仕方ないのです」
女性はそう言うと、小さい方の巨大ミミズを半分に分断する。
「え……今のは正当防衛じゃなくね?」
「これが、私の使命ですから、致し方ありません」
「使命……?」
彼女は至って冷静に言葉を発する。使命?なんじゃそりゃ。
「私たちは、生まれた時から使命が分かっていますから」
「何が分かってるって?」
「私の場合は、ミミズを狩りつくして、それからドラゴンに食われるのが人生なんです」
「食われるまで決まってる……って?」
「貴方の人生は、どうなんですか?」
「え……?」
「ここでの人生は、どんな人生なんですか?」
俺は、この後、よく分からない空間に飛ばされて、自分の人生を見せられたのであった。
「そうか……俺の人生は……」
次の瞬間、画面は黒くなりTOP画面に戻される。
もう一度、見ますか?
次の瞬間、ドラゴンが飛び交う大草原で俺は再び目を覚ますのであった。
投稿主によると,勢いだけで書いた物だそうです.
本来は,200文字物語として,毎日200文字の話を投稿しようと思っていたのですが,毎日は無理だと思い,ノリで書きました.