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課外授業

まさかの進行!? にしていきます!

「いいか。君たちが今回学ぶべきことは、国民の生活についてである。」


「まずは国をしれ。今回の調査課題は南東のスラム街である。」


「なお、諸君らの身の安全を守るため、帝国の影が援護をする。だが、油断はするな。毎年何人かは死亡者もでるし、怪我人もでている。」


「それでは、出発せよ。」

「サー・イエスサー!」


湧き上がる群声と、戦慄する学生の集団が、入り乱れる。


「カリン嬢、それでは10時ごろに時計台の前で。」

「承知いたしました。殿下。」


班ごとにわかれ、貧民街の現状を調査する。


他国では考えられないことだが、この帝国では、軟弱ものは切り捨てられる。


たとえ王族であってもだ。


仕方がないように思う。明日の命の保証はどこにもないし、ましてや愛する人を守る力さえ今の私にはない。


魔力が0と言われているこのご令嬢を、王族であるが故に高魔力保持者であるこの私が盾となって守らねば。


ウィリアムは何とも自分に興味がなさそうなご令嬢の目を見てため息をつく。


「頼むから、離れないでくれよ。」

「もちろんですわ? 同じ班ですもの。」


何とも不思議そうな顔をして、彼女は返事をする。


私の気持ちに気付いているのだろうか。いや。今さらだな。淡い期待を抱くのは・・・。


「殿下は私のことを愛して下さっているのでしょうか。」


ブフー。何故だ? こういうのは何かタイミングがないと切り出せないのでは? わ、私の勉強不足だったようだ。


「ああ。君が思うよりよっぽどな。」

「親が勝手に決めた婚約ですのに。」


「突然どうしたのだ?」


質問をし、逆に追及されないようにしたのだが・・・。


「殿下はたくさんの女性から慕われております。私なんかに構っている暇がありましたら、もっと素敵な女性とお付き合いするべきだと思います。」


「ふむ。ここらでハッキリさせねばな。君は私とこのまま結婚まですることになった場合どう思う?」


「そうですね。私は色恋沙汰には興味がございませんので。何とも言えないです。」

「なるほどな。いやではないのか?」


「私は殿下のことはそのう・・・。」


顔を伏せられる。


私はカリン嬢の顔が怖くて見れなかった。もし、拒まれてしまったら。心臓が象の足音のように揺れ動く。


「素敵な男性だとは思います。もちろん嫌だと思ったりはしませんわ。」

「特に嬉しくもないので大変申し訳ないなと思ったりしてまして。」


そうなのか? てっきり私は嫌われているのかと思っていた。


「もし、殿下が3年後も私のことを愛してくれていましたら・・・。」

「ああ。結婚しよう。ぜひしよう。」


「共に良い国をつくって行きましょう!」

「もちろんだ。」


何ともあどけない笑みを浮かべて来るではないか。かわいい。可愛すぎる。


これは、とある恋愛したくない悪役令嬢(笑)と、結婚はなんとかできそうだけど、彼女に自分の事を好きになってもらいたい、皇太子の物語である。


~final~



上空から覗く黒い2つの影があった。


「おい。なぜ悪役令嬢が闇落ちしていないのだ!? 」

「すみません。神さま! 本当に申し訳ございませ・・・。痛い止めて~。ご褒美です。もっと痛くお願いします! ひゃい~ん♪」


「く、まあ良い。スキル・”鑑定”。なんだ。あの精霊は?」

「名前も登録されていないようですねえ。」


「乙女ゲームも全く進行していないではないか。」

「けしからんですねえ。」


「良い。良いぞ! ここから人間関係が崩壊して行くのだからなああ! クックック。」

「さすがパねえっす! 神さま!」


「お前はうるせえよ。」

「ギャイーン。そんな強く・・・。むしろ望むところでしゅ! あわわ。最高・・・。」


「では、手はず通りに行え。」

「うい。」


一方その頃・・・。


「ふむ。これがこの国で最も生活に困っている民衆か。我が国の国力がもっとあれば。」

「私も一精霊使いとして、お役立てしたいのですけれど。」


「お気持ちだけ頂いておく。それに、お前の精霊は先ほど消滅したではないか。」

「え!? おっしゃっている意味が分かりません。殿下?」


パチンッ。親指がどこかでなった。


「殿下、こちらにいらしていたのですねえ。」

「ああ。マリア嬢・・・。」


殿下の目が虚ろになっていて、様子がおかしい。


パチンッ。空気がはじかれる。


{お前は出来損ないだ・・・。何もなしえやしない。この一家の恥知らずが・・・。死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね・・・・・・・・・・・早く、さあ。死ねよ、死ね死ね死ね・・・}


頭の中に邪悪な声が鳴り響く。


あなたどちらさま? 


おれか? クックック。良いだろう。教えてやる。おれの名はチョー・ダークマター。お前が闇落ちした後、支えてやるありがたい存在だ。


「シーレさまはどこ? ねえ? お声を聞かせて下さい!」


あいつならおれが食っちまったぜ。クソまずかったwww


「何を言っているのだ? カリン?」

「何だか様子がおかしいですわ。」


「大丈夫ですか。一旦リタイアして頂きますわ。さあ、こっちへカリンさま!?」

「そ、そんなあ・・・。いやああああ!」


ドン。マリアが突き飛ばされ、倒れ込む。


「痛い。カリンさま!?」

「おい。なんてことをするんだ。君がこういう事をする人だとは思わなかったな。人の親切を踏みにじるとは思わなかったよ。」


「!!!!ご、ごめんなさい。」


「少し一人で頭を冷やしていたまえ。」


2人の足音が遠ざかっていく。


パチン。邪悪な音が嘲け笑う。


突如廃墟のレンガが崩れ始め、破片がこめかみに直撃した。


精霊さま・・・。シーレさま。私は・・・。


視界が赤く染まっていき、次第に意識は遠ざかっていった。



















読んでくれてありがとう♪ 

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