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悪役令嬢の爆誕

こんな悪役令嬢がいてもいいのになあと思い、カリンというキャラクターができました。

ああ。カリンあなたはなんて美しいんだ。ぜひ私と結婚して欲しい。


告白する夢をたまに見る。


だが、現実は残酷だ。彼女はまるで私に興味がないのだ。原因は分かっている。幼少の時のあの失言だ。


私もいつか結婚するなら多少の愛情を感じたいものだ。


長年連れ添うパートナーならなおさら。


だが、私がいま気になっている女性は婚約者ではあるものの、私のことが全く眼中にない。


この3年間という学生時代をフル活用し、私は彼女の気をひくため頑張ろうと思う。


ウィリアム殿下は月を見ながらため息をついた。


*****


もう一方の婚約者・・・。


最近殿下の呼び出しが多いのです。これでは放課後のお菓子タイムに支障をきたしてしまう。


シーレさま~! 何卒お知恵をお貸しいただけませんでしょうか。


おう。全くおれのことをなんだと思っていやがるんだよお前は。


とても優しくて、親切な精霊さまです。


うん? おれはお前が死んでも恐らく泣かないぞ?


ひ、酷い。


所で先ほどのお願いなのですか。


クックック。おれに相談したのを後悔させてやるぜ!


斯くしておれの、”悪役令嬢を殿下に嫌ってもらうよ計画”が始動したのだ。


いや。嫌われるって国外追放レベルでってわけではない。ただ、恋愛をしたくないので、その為の防波堤みたいなヤツをつくるということだ。


おぼろげながら、何かないかと思って考えてみる。


世の男性陣にヤバいと思われる女性・・・。


目が六道目で、赤目の口紅・・・。そして仕上げは真っ赤なマニキュア。


良いだろう! 貴様らがどうしても乙女ゲーム展開を壊そうというのなら、おれがこの世界にひずみを与えてやろう!


絶対的なイメチェンでもってなあ!


次の日から、カリン公爵令嬢は一躍学校内で有名人となった。


魔導石を限界まで念力で薄く削り、整えられた六道目のカラコン。隠して地雷メンヘラ悪役令嬢(自称)が爆誕したのでしたのであった。


*****


私は思う。カリン令嬢はいったいどうしてしまったのか。


「ごほん。その。だいぶ変わったな。理由をお聞きしても?」

「特に理由はございませんわ。この格好、殿下はお気に召さないでしょうか。」


「う、うむ。あまりにも奇抜すぎるのでな。」

「そうでしたか!」


なぜ嬉しそうな顔をする? そんなに私のことが嫌いなのか? だ、大丈夫だ。いくら変わったファッションセンスでも、君はいつ見ても美しい。


「そう言えば、先ほどマリアさまが殿下のことお探しでしたよ。」

「そうか・・・。いや。君は私が彼女とあって話しても何とも思わないのか?」


「全く気にしませんわ。」

「そ、そうか。ありがとう。すぐ彼女を探してくる。」


何とも爽やかな笑みで送り出される、私の心の中は大雨になっていた。


来週の授業では地元の市場の調査研究の課題がある。


その同じ班に組んでいただくように生徒会長に便宜を図ってもらったのだ。


そのタイミングで彼女と少しでも仲良くなれたらと思う。


*****


「まあ。カリンさま。凄く特殊なメイクですわね。」

「カリンさまはどんなお姿でもお美しいわ~。」


女性陣には意外と好評だったものの、今までいたカリンの男のファンがごっそりと減った模様。


これは大成功ですわ。精霊さまありがとうございます。


お、おう。思ったより効果絶大だったな。


「カリンさま、なんですのそのメイクは? 私にも教えてくださらないかしら?」

「もちろんよ。サファイヤさま。」


となりの教室で、ヒロインと殿下の笑い声が響き渡った。


*****


放課後・・・。カリン令嬢に声をかけてみる。


「来週の校外学習は君と同じ班になったそうだ。よろしくな。」

「まあ。そうなのですね。」


「そのう。向こうのスラム街はかなり柄が悪い。できるだけ私の側を離れないで欲しい。」

「もちろんです。婚約者ですから。」


「いや。そうだな。君はそうだったな。悪い。時間をとらせた。」

「いいえ。とんでもございません。殿下もご機嫌よう。」


にこやかな笑顔で別れを告げられる。


「ああ。カリン嬢こそ楽しい週末を!」


一礼をし、立ち去るカリン令嬢はとても可愛らしかった。いつ見ても可愛い。


*****


家に帰り、みんなが寝静まったのを見届け、精霊さまと会話する。


精霊さま起きていらっしゃいますか。


おう。


あのう。最近、殿下が優しいんです。


いや。前からだろ。


そう、なのかもしれませんね。でも、私気付いてしまったのです。


誰にでも優しい殿下が、特に私との会話する機会をつくっている事に。


なんだ。お前気づいていたのか。


わ、私だって鈍感じゃないですから。


今気付いているのは、致命傷一歩手前なんだが。


ま、まあ。とにかく。


うん。それで?


私、今は恋をしたくないなあなんて。


お前めんどくさい。


ご、ごめんなさい。


でも、殿下は私との間に恋愛を望んでるかもしれません。


いや。間違いないだろ。


むうう。万が一です。


いや。もうそれでいいよ。


でも、私殿下のことそんなに意識したことがなかったのです。


むこうにも気づかれているぞ。


だから、もし愛を求めるのは私だと適任じゃないと思うのです。


誰でも良いわけではないとも思うな。


そうでしょうか。


当たり前だ。


ううう。でも私は本当に殿下にときめかないのです。


やっぱ、お前めんどくせえわ。


じゃあ、一回キスしてみろよ。


いやです。恥ずかしいですから。


・・・。


ご、ごめんなさい。相談している身分で、意見をいってしまって。


いや。なんかおれの知っている乙女ゲームと違うから。もうお前の好きにしたら良いんじゃね。


一個お話しをしよう。


はい。


他の男の方が殿下よりカッコ良く感じたことはあるか?


ないです。殿下の方がイケメンですし。


なんだ、メンクイか。


顔はタイプなんです。性格も嫌いじゃないですし。


なんだ。惚れているのか。


そんな事はないです。


じゃあ、他の女性に婚約者を鞍替えしてしまったら?


ちょっと寂しいかもしれません。


まあ。おれはお前が死んでも別に構わんしな。


な、なんてことを!


その時がくればお前も分かるはずだが。痛い目にあうかもな。


殺されなければ、私は何度でもやり直せますよ!


若いうちは、その無敵かんがあるからな。


だが、必要な経験なのかもな。


少し残念そうなシーレさまのため息が聞こえた気がした。























読んでくれてありがとう♪

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