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時はいま

更新遅くなってしまいました。すみませんm(__)m

「聞こえますか・・・?」

「私の声が届いていますか?」


どこか声が鳴り響く。遠い彼方に思いをはせ・・・。私は拳を突き出した。


今朝の学園の光景にはみんなが驚いていた。


普段滅多に会話を交わさない私と学園長に私が自ら進んで声をかけていたからだ。


「理事長、少しお時間を頂いてもよろしいでしょうか。」

「君が話しかけてくるとは珍しいな。カリン。」


「それで、重要な話とは? ウィリアム君。君も来ていたのかね。どうぞそこへ掛けてくれたまえ。」


「失礼します。」

「・・・。」


「実はそのう・・・。」


二人の話はにわかには信じがたかったものの、私は事実と受け止めることにした。


何より問題があったのだ。


何故か私の薄毛がばれていただと・・・!?


このヅラは自信作だったのに? 最高位精霊との契約時に作成した代物だったのに。


世の中目ざとい人にはつい見破られてしまうのだ。(涙)


よくぞ見破ったな。もってけドロボー!(もはや八つ当たり)


「私が今最も欲しているものをよくぞ推測した。カリン。君の洞察力は見事だ。これはありがたく頂戴するとしよう。そして相談というのは精霊についてかね?」


「そうなんです。第一人者である、教授なら何かご教授頂けるのではないかと思いまして・・・。」


「フォッフォッフォッ。私はもう既に現役から退いた身じゃよ。」

「ええ。そして精霊学の黄金時代の一人でもあります。」


「悪いがあまり力にはなれそうも・・・。」

「可能性のある話だけでも良いんです!どうかお教え下さい。」


カリンの目には鬼気迫るものがあった。熟練の学園長もその熱意に当てられる。


「では現時点でも未完成の精霊学の話をしよう。ちまたでは精霊術師は精霊界のことに精通していると言われているが、それは違う。まだまだ分からない事だらけなのじゃ。その中でも注目されていたのが・・・。」


「精霊分類学で行けば精霊界の精霊は人間視点では分類済みなのじゃ。しかしこれはあくまで、表面上だけなのじゃ。」


隣でカリンが熱心に聞き入っている。私もお供することにした。


それからも学園長の演説は15分にもわたって行われた。


「本日は貴重なお話しありがとうございました。」

「なんのなんの。また精霊学について語り合おうではないか。お時間がとれたなら私はいつでも歓迎するぞ! そしてこれはありがたく頂いておこうかの。フォッフォッフォッ。」


「後、これはお土産じゃ。古代の魔導書の一つじゃが。簡単ななぞかけが書かれているだけで、私にはさっぱり予測がつかぬ。もしかすと、カリン嬢には可能かもしれぬな。」


「そんな貴重なものを私が受け取っても良いのでしょうか。」

「君の熱意は本物じゃ。そうじゃのう。いつか一流の精霊術師になったら私に君の考えを聞かせてくれ。」


そういってにこやかに微笑んで私たちは託された。


ドアを閉じる。そして歩き出す。ただその後ろ姿を追うだけで彼女の決意が伝わってくる。


もうずいぶん前に彼女の精霊は姿を彼女の前から消した。


彼女は相棒の精霊のことを未だに諦めていないのだ。


その週、彼女はいつもどこか上の空だった。


*****


入浴をしながらも私は考え続けている。


柔らかなラベンダーのシャンプーの香りに包まれながら。


天井から水滴が垂れてくる。ぽちゃん。


あまり長風呂をしすぎたかもしれない。


「お嬢さま~! そろそろお着替え下さい! 風邪ひきますよ~!」

「心配してくれてありがとう。ばあや。」


慌ててバスタオルにくるまる。


何か。後なにかが足りないのだ。


シーレさまは言っていた。


自分は高位精霊であると。カリン、お前が死んでもおれは泣かないと。


この言葉を信じるのならば。シーレさまには私たちとは似ても似つかぬ死への認識をお持ちだった。


どんな専門書にもこんなことは書かれていない。でも、ひょっとすると・・・。


精霊は一人一人が違っていて。違う定義があるのではないかと。


シーレ様は名前を呼んでもあの日から一度も応えてくれない。あの悪魔がシーレさまを消し去ったといっていたが、私は信じていない。


だから。


この古代書の立った一文が気になるのだ。”私たちをよく見るが良い”


たったこれだけの文。人はまだ精霊についてまだなにも知らないのではないか。


ある力を利用することができていても、それは事象などの結果を利用しているだけであって。


なにかがまだ私の思考の先に立ちふさがる。


私の推測が正しければ。シーレさまの覚醒を促すにはまだ何かが足りないのだ。


私はシーレさまのことをちゃんと見ていない。


もしも例えばだ。今のシーレ様の私の中のイメージが私と一緒にいた頃なのだとしたら?


精霊と人間は異なる時間軸に暮らしているのだ。


恐らくは私と出会う前にシーレ様がいるのなら? その後にいられると私とシーレ様は二度と会えないに違いない。


ならきっと。次に会う時はシーレさまと初対面になるはずで。


もしかしたらシーレ様も私とすごした記憶はもっているこも知れなくて。


私はシーレさまとの記憶を遮断し、魂の根源の精霊(シーレ様)に呼びかけてみた。


半ばダメもとで。


「聞こえますか・・・?」

「私の声が届いていますか?」


反応は無かった。でも・・・。


背筋がゾクリとしてくる。何か見えない存在が背後にいる。


きっとそれは・・・。シーレ様で。


「やっと来てくれたんですね。お待ちしておりましたわ。」


両目から大粒の涙がこぼれ落ちる。信じていた。ずっと。


シーレ様があんなやつに負けるわけないのだ。


カリンか? おや。今回は初対面だな。ああゆっくり眠っていたぜ。アイツの胃袋を食い破ってきたのだからな。はっはっは!


安心しろ? アイツは任務失敗で神に拷問を受けているぜ。


ところでお前がまだ生きているとは思わなかったなあ。


フフフッ。私はしぶといので。それにシーレ様以外に精霊の相棒は考えられませんから!


おおう。言うようになったなあ。


そんなことないですよ。ではご一緒に!


ああ。悪役令嬢の生活を脅かすものには制裁をせねばなあ!


こうしてまたしても凹凸コンビが再結成されたのだった。





















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