残る疑問
ウィリアム王子パートです。ごめんなさい。凡ミスです。シャーロット→ジョバンニ(中身は男の子)
後ろからカリンがついて来ているのを確認する。
「どうしましたか。殿下?」
「いや。カリン今日の君のドレス姿はとても美しい。」
「お褒めに預かり光栄であります。」
「お世辞などではないぞ。私の正直な気持ちだ。」
「・・・。殿下は本当に褒めるのがお上手ですわ。」
ニコリと微笑んでくれる。
いつも通り可愛いなあ。
「東の離宮側のベランダの花壇を先ほどから熱心に見られていてな。」
「そうですね。帝国の王宮ですと、各地では見られないような精霊を宿した花壇などもありますし。」
「我が国の王宮精霊術師は大変優秀だからな。」
もうすっかり夜になっている窓からは向かっている先の花壇の光が柔らかに差し込んでいた。
ガラスごしに見ても美しさは顕在だ。
青白くまるで雪の精が舞い降りてきたようだ。こんなにも美しい景色を毎日楽しむことができる。
ドアに手をかけ中に入った。
だが、探し人である彼はどこにもいなかった。
「あれ。確かにここに先ほどまでいたはずだが。」
「外の廊下に使用人もまだ中にいらっしゃるとおっしゃていおりましたのに。」
私たちは手分けして探してみたが、どこにも見当たらない。
向こうの石壁の向こうの影も一応確認するべきか。
まだ冬ではないものの、少しばかり肌寒くなってきたようだ。
「カリン、君はもう中に入りなさい。」
「そんな。殿下こそお身体冷やしてしまいますよ。」
「あのう。コホン。」
「ジョバンニさん!? どうしてここに?」
「先ほどお2人がこちらへ向かったとお聞きしましたので。もしかして、パピリオ様をお探しでしょうか?」
「ええ。でもどこにもいらっしゃらなくて。」
「私が目を離したばっかりに。彼は我が帝国にとって大事な客人だというのに・・・。」
「そういう事でしたら、彼は良くいなくなるんです。」
「どういう事ですか?」
「それが私にも良く分からなくて。」
「なるほど。失踪癖があると。」
「失礼ですよ。殿下!」
「これは失礼いたしました。申し訳ない。ですが、我が国にも機密情報などもありますし。あまり勝手に動かれては困りものですね。」
「私からもキツく言っときますので、ご無礼をお許しください。」
丁寧な謝罪をしてくれた。
カリンが不思議そうな顔でジョバンニさんの顔を見返している。
いや。かわ、んんん。ゴホンッ。
「もしかしたら既に歓迎パーティーに戻っているかもしれませんね。」
「確かにそうですね。では戻ろうかカリン。」
「また殿下にエスコートして頂くのは悪いです。」
「いいえ。3国の首脳陣も集まっている大事な場ですので。私たちの仲もお見せしなくては。」
「そうですね。では・・・。」
彼女と手を優しく組み合った。
扉の向こう側から軽快なワルツが聴こえて来る。
「始まりましたね。」
「殿下。どうかご一緒にお願いします。」
楽しみにしていたダンスだ。私は天にも舞い上がるような気持ちがしていた。
世界は回る。みんながダンスを楽しんでいる時間。カリンとの2人だけの時間。(勘違いです)
ダンスの足取りは軽く、グングンスピードを上げていく。
カリンはダンスも上手いのですね。
ここからは通常ならバックステップ、右ロール スライドだが、(ダンスのステップの種類)目配せをし、少しばかりアレンジを加えてみる。
一瞬驚きはしたものの、カリンは華麗にあわせてくれた。
「さすがですね。カリン。」
「殿下こそ、私はついていくのに必死でしたわ。」
周囲からは少しばかり黄色い視線を集めていた。
ふう。私たちはまだそんな関係ではないと言うのに。(涙)
最後のフィニッシュを決めた。
隣では、ウォルターとパピリオが婚約者の手を放し、お互いの健闘を称えあっていた。
私も名残惜しいながらもカリンの手をそっと離す。
「今日はありがとう。トラファルガー殿とのダンスに時間を割けずにすまなかった。」
つい私たちは2人で夢中に踊り続けてしまったのだ。
「いいえ。殿下とペアで踊っているのはとても楽しかったです。」
カリンは、少しばかり困ったような笑顔を浮かべながらいった。
なんてかわ、あ、ゴホンッ。
今回は私の配慮が足りなかった。好きな人にこんな顔をさせたらいけない。
己の未熟さを悔いながら、私は思わず声を漏らしてしまった。
「カリン、君のことが大好きだ。(ボソッ)」
「え? 殿下? 何かおっしゃいましたか?」
「い、いや。何でもない。」
危ない。思わず気持ちを伝えてしまう所だった。
だがそれでも私は幸せだった。こうしてカリンと時間を共有できたことを。それだけで今日が特別な日に感じた。
送りだす途中、廊下のランタンの精霊がジジジッと火花を散らしていた。
何故だろう。このままカリンを送りだして良いものだろうか。
他の参加者の足並みに合わせて見送りにきてはいるものの、妙に胸騒ぎがする。
我が帝国の帝王学の流儀その1によれば、念には念を入れよ。
第六感が過剰に反応している。このように要人が沢山集まっている場で事件が起きたら、我が帝国の名折れだ。
衛兵に何か異変がないか、確認を。
殺気がどこからか・・・。
突如カリンの真上に邪悪な存在を感じとった。
更新時間がバラバラで申し訳ないです。m(__)m




