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第86話 大好きモードで見つめて ー長尾栞編ー

私も翼さんも未華さんも・・いつも遠藤さんを見つめるようになっていた。


3人は彼を好きになろうと決めた。


食料と物資の回収の時も常に彼を見て手伝って、彼の良いところだけを・・いや・・一挙手一投足を見逃さないようにした。


すると改めて気が付いた良いところがいっぱいあった。遠藤さんは凄く懸命で熱い心を持っている人だった。


「遠藤さん!いつもそれ飲んでますよね。私も飲むようにしてるんです。」


私は遠藤さんに自然に話しかける。


「ああ、これ美味いですよね。」


レモンオレンジソーダ。


もともと私はそんなに好んで飲まなかった。でも遠藤さんがおいしそうに飲んでいるのを見るうちに、私も好きになってしまって飲むようになったジュースだった。


「今日の食糧倉庫にはかなり手付かずの物があっていいですよね。」


「本当です!あ!遠藤さんのよく使うホットケーキ粉がありますよ!」


「本当だ!こんなにいっぱい!」


「早速ゲットしちゃいましょう。」


「そうですね。」


「遠藤さんのパンケーキ真似しようとしてもなかなかうまくいかないんですよね。」


「ああ簡単ですよ。たぶん水の分量だと思うんです。」


「おいしいので私も覚えたいんです!」


「じゃあ明日一緒にやりましょう!」


「やった!」


盛り上がっていた。



「遠藤さーん!」


今度は翼さんが遠藤さんを呼んだ。


「はいはい!どうしました?」


「肉と魚介系の缶詰のダンボールがこんなにありました!一気に持っていけますかね?」


「これは・・いっぱいだ。」


「あそこに台車があったんですよ。持ってきます!」


カラカラカラカラ


「遠藤さんがこのコンビーフとポテト粉とチーズで作るあれ。ジャンクっぽいけど美味しいんですよね!次コンビーフをいつ見つけるかって楽しみにしてたんですよ。」


「良いですね。じゃあここにあるの全部持っていっちゃいましょう。」


「持っていっちゃいましょ!」


「よく覚えていましたね。」


「え?それはそうですよ!ずっと楽しみにしてたんですもん。たしか前に八重橋ブックマートで見つけたレシピ本に書いてあったんですよねー!」


「あー!そうですそうです。」


「意外にスパークリングワインに合うって言ってましたもんね。」


「そうそう!アレに合わせたら美味かった!そう考えたら酒問屋も回りたいですね!」


「みんなと相談して行きましょうよ。きっと華絵先生と瞳さんなんかが喜びそうですけど。」


「プッ!そうそういいお酒あると目をキラキラさせますよね。」


「わかるわかる!」


翼さんも凄く遠藤さんを知ろうと努力しているようだった。そして目には彼を慕う光が宿っているように見える。



「遠藤さん!見てください!」


未華さんが遠藤さんを呼ぶ。


「どうしました?」


「これは・・掘り出し物ではないでしょうか?」


「え!?うわ!すごい。」


「5年以上保存できる携帯おにぎりと、レトルト炊き込みご飯が大量にあります!」


「わっほー!すごい!!」


遠藤さんが凄く喜んでいる。うれしい!


「これも全部持っていっちゃいましょうよ!」


「そうですね!この棚から奥までのダンボールが全部これじゃないですか?これは助かる。」


「ですよね!前に携帯おにぎりを使って作ってくれたチャーハンが凄くおいしかったので覚えてました!スーパーにはあまりなかったけど、さすがは大手食品会社の倉庫ですね!来てよかった!」


「本当に来てよかった!」


「これさえあれば、まだまだしのげますね。」


「うん。みんなも喜ぶと思う。とにかく10トントラックに積めるだけ積んじゃいましょう!」


「そうしましょう!」


そう・・ここへは10トントラック2台で全員で来ていた。大手食品会社の巨大倉庫を見つけたのだが、中にかなりの物資を確認できたのだった。レトルト食糧、缶詰、缶飯、ペットボトル飲料のダンボールを10トントラックに次々と運び込んでいく。



皆でしっかりと物資を詰め込み華江先生が次の目的地を言う。


「今日は衣料品の回収日。有名アパレル店の倉庫に行きましょう。」


「わーい!」

「冬物あるといいですね。」

「去年の春からもうあまり動いてないですし、あるんじゃないでしょうか?」

「トレンドを追わなくなって良かったところもありますよね?」


里奈ちゃんと麻衣さん、翼さんと愛菜さんがそれぞれに言う。


「とにかくいきましょう!下着も新しいの入手したいので百貨店にも寄りませんか?」


「さんせーい!」


優美さんが言うとあゆみちゃんも下着が欲しいらしく行く事になった。


百貨店の中は電気がつかないので暗いのだが、全員が明るくて大きい懐中電灯を持っているため自由に動けた。さらに回収行動が習慣づいているので暗闇を怖がる人はもういなくなっていた。普通に懐中電灯をつけてグループに分かれてウロウロしている。


百貨店でみんなが下着を大量に回収している時、私と未華さんと翼さんは3階のメンズフロアにいた。もちろん目的は遠藤さんに合う服を大量にゲットする事だった。どちらかと言うと自分の服は二の次で遠藤さんのコーディネイトを優先した。


彼のサイズは3人ともすでに頭に入っていた。そして彼の好みそうな色目も・・


あとは3人それぞれのセンスで彼の服を選んでいく。


「あ!それ遠藤さんに似合いそうですね!きっと喜びますよ。」


「うふふ。そうよね!あ・・栞ちゃんが選んだそのジャケット絶対似合う!」


「ですよね!私もそう思います!」


「翼さん!栞ちゃん!このシューズきっと気に入ると思いません!」


「ああ!機能的だし色目的にも彼は絶対気に入る!」


「ですよね!」


3人はバッチリ遠藤さんに似合うコーディネイトの服を、紙袋にギチギチに詰め込んでいくのだった。もうキャピキャピしながら彼の服を選ぶのがうれしい。


下着売り場に行くと優美さんと沙織さんが声をかけてきた。


「翼さんも栞ちゃんも未華さんの下着も選んでゲットしておきましたよ!」


「ありがとー!!!」

「さすが優美さん。」

「本当に気遣いの天才ですよね。」


「あははは。なんですかそれ?3人は服はイイんですか?」


「今日は特に大丈夫です!」

「次のアパレル倉庫に行ったら探します!」

「まあ、そこそこ気に入るのがあればいいかなって。」


3人は遠藤さんのコーディネイトが出来そうなので満足だった。


帰って彼の喜ぶ顔を見るのが楽しみだった。

次話:第87話 3人の恋心

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