第84話 あざといラッキースケベ ー長尾栞編ー
里奈ちゃんとあゆみちゃんの女子高生2人組と、遠藤さんと私の4人でやるボードゲームはなかなかに盛り上がってきた。
遠藤さんは夢中になってカードをめくりコマを置いて行く。
ゲームの内容が楽しいのは十分に分かった。
《でも2人の狙いはそれじゃない・・私は最初にてっきりこう思っていた。女子高生らしく皆でワイワイゲームをして、ほのぼのムードで盛り上げましょう作戦なんだと・・》
私も騙されていた。
そう・・この2人は盛り上げるのが上手い。それだけにゲームで気持ちを高めるんだろうと。
しかし違った。
「あ!遠藤さんのおかげで、オーストリアは助かりましたね!」
「でもヨーロッパとアメリカが悲惨になってきたー!」
里奈ちゃんとあゆみちゃんがゲームに熱中している素振りだ。多分・・まあ半分は本気で楽しんでいるようだが。キャーキャー言って盛り上げている。
ボードゲームはみんなで床に座り込んでやっていた。
「えっとー赤のコマを2つっと」
里奈ちゃんが四つん這いになってボードの反対側にあるコマを取る。
これだ・・
これが作戦だ・・
あざとすぎる・・
女子高生恐るべし・・
里奈ちゃんは胸元緩めの肩出しカットソーだった。当然四つん這いになればカットソーの首元は下に落ち開いてしまう。
《ほんの少し・・チラッとだけ見えた・・遠藤さんからは見えたろうか?彼女の水色の・・》
里奈ちゃんは元の体制に戻る。あゆみちゃんがすかさず言う。
「あー喉渇いた。遠藤さん栞さんも飲みます?」
「あー貰おうかな。」
「私も。」
するとあゆみちゃんは四つん這いで冷蔵庫に行く。こちらから見るとかわいいお尻と、白いフレアミニスカートから伸びる健康的な太ももが見える。
「サイダーですけど。」
帰りも四つん這いで戻ってくる。パフスリーブニットの胸元が開いて見える。
《あ。今度は少し距離があるから・・さらに見えやすい、薄ピンクの・・》
私と遠藤さんがペットボトルのサイダーを受け取る。
「サンキュー!」
「ありがとう。」
ゴクゴク
あゆみちゃんがペットボトルを飲んだとき、少し口の脇から溢れたようだった。
「ひゃっ!冷たーい!ティッシュー。」
里奈ちゃんがティッシュボックスを差し出す。
「たれちゃった。」
あゆみちゃんが喉から胸元にかけてするりと拭き取る。
「なんかペタペタ」
「もうーあゆみったら気をつけなさいよ」
そして何事も無かったようにゲームを再開する。
そんな調子でやっているが・・今のところ遠藤さんに変化は見えない。
《気づいてないの?気づかないふりをしているの?わかってても何も思わないの?》
彼は本当に不思議だった。
そしてゲームが終わる。
「あーダメだったー」
パタン
「パンデミックが止められないー」
パタン
2人はその場で仰向けに大の字になる。
体をピンと伸ばしているので体のラインがはっきりわかる。遠藤さんに向けて足を投げ出しているが、里奈ちゃんは黒のミニプリーツであゆみちゃんは白のミニフレアだ。そんな恰好で大胆にも足を広げてバタンと寝っ転がる。
《2人とも生足だし、サバイバル生活で出来ちゃった青あざとかが逆に艶かしいんだけど・・遠藤さんも流石に見てるよねっ・・・て!同じく大の字になって仰向けに寝てるんですけど!》
「ふうー」
《ふうーじゃないって!2人の努力を買ってあげて!》
女子高生2人は起き上がって顔を見合わせている。複雑な面持ちだ。
「遠藤さん!次は阻止しましょ!世界を救いましょう!」
里奈ちゃんが言う。
「お?おう!」
「やろうやろうー!」
「栞さんもいいですかぁ?」
「やるわ。」
またボードゲームが始まった。
流石に女子高生はタフだった。まったくめげていない。
次も役割カードを引いて皆がゲームを進めていく。
《次はどうするんだろう?このドンくさい遠藤さんにどう仕掛けるんだろう?》
私では到底考えられない女子高生二人のあざとすぎる見事な作戦に舌を巻いていると・・次は分かりやすい作戦に移ったようだった。
2人はさっきまで女性座りをしていたが、里奈ちゃんが正座の体制から片膝を立てて座り、あゆみちゃんは体育座りをした。
「次は気合いいれますよ!」
里奈ちゃんが前のめりになる。ミニプリーツがフワフワと動く・・たまにするりとスカートがまくれて太ももが露になるがスッと引っ張って直す。座ったり動いたりしているうちにチラチラし始めた。
あゆみちゃんが体育座りの膝にアゴを乗せて、カードをめくっている。
《正面から見ればもう・・》
二人はあまりモロにならないように遠藤さんに角度をつけて座ったり、たまに方向転換をしたりしてあざとくチラ見せしたりしているのが分かる。
どちらも上下お揃いの下着だった。ピンクに水色・・ガードルも履いていない。
「さっきはこれでダメだったから、検疫官はこっちに来ますね!」
里奈ちゃんが立膝から胡坐をかくようにすわる。
流石に遠藤さんが気がついたみたいだ!なるべく見ないように気をつけているが、やはりチラ見してしまうようだった。
それもそうだ・・
《私のような女だって、女優さんのチラリなんかついつい見てしまうわ・・》
「えーとこいこい!」
あゆみちゃんも体育座りから軽いあぐらになってカードをひく。
またチラリと見えた。
「やったー!」
腕を思いきりあげると、パフスリーブニットの裾が上がりヘソが見えた。
《自然・・自然だわ・・マネ出来ないわ・・》
「結構このゲームって運も左右しますよね。」
「本当だな。俺はなんか引きがいいんだか悪いんだか?」
「健闘していると思うんですが・・」
「よし!みんなで世界を救おうぜ」
心なしか遠藤さんの顔が赤い気がする。
そして・・二人はそれに気が付いたみたいだ。間違いなく遠藤さんが見えているのを確信している。さらに仕掛けるようだった。
「じゃあ次も研究費に2ポイント費やします。」
「オッケー!」
二人が遠藤さんに向けて体育座りをしてゲームをしている。まるで気が付いてませんよとでもいうように・・
「暑くなってきたー!」
里奈ちゃんが体育座りで靴下を脱ぐ。無防備になり遠藤さんはおそらく正面からしっかり見えているだろう・・
「つぎはー!」
暫く白熱したゲームをしながらもラッキースケベ作戦はあざとく続いて行く。少し落ちてきた肩だしカットソーの胸元をスッと上げて直したり、太ももにめくれ上がったスカートを直したりしている。
ゲームは順調に進んで見事にクリアーした。
「やった!」
「ほんとだ!やった!」
「これで終わり?」
「俺たち・・世界を救った?」
たかがボードゲームだけど最後は一体感が出ていた。皆で世界を救ったのだから感動だった。
「やったー!バンザーイ。」
「イエーイ」
「これおもしろいわ・・」
女子高生二人は遠藤さんの腕をぎゅっと抱きしめる。
「やりましたねー!遠藤さん!」
「そ、そうだね!やったね!」
《胸が・・胸が自然にあたっている・・あざとい。》
遠藤さんは少し鼻の下が伸びているような気もする。いつもガチガチ系の彼がこんな表情をするのを見るのは・・逆にうれしかった。
《いやらしい顔をしない男の人ってイメージだったけど、きっとこれくらいは自然なんだろうなと思う。》
「えっとねー。これでイージーモードなんですよ。」
「え?そうなの?俺これでも十分難しかったけど。」
「ノーマルモードとハードモード、デスモードがあります。」
「へぇー。」
「救済カードを減らしたり、病原体カードを増やしたり、役割を減らしたりしてやるそうです。」
「じゃあ!ノーマルモードチャレンジしてみますぅー?」
里奈ちゃんがまたゲームをやろうという。
このゲーム結構疲れるけど遠藤さんがどうやらまたやってみたそうにしている。
「じゃあ私もやる!」
私が言うとまたゲームが始まるのだった。
女子高生二人のあざといラッキースケベというゲームが。
次話:第85話 未経験組がやる事を決めました




