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第83話 若者がやりはじめた作戦 ー長尾栞編ー

朝起きると私の足が遠藤さんの顔に乗っていた。


遠藤さんのお腹当たりにしがみつくようにあずさ先生が眠っている。


華絵先生は遠藤さんの隣にゴロンと寝ていて、反対側に瞳さんが遠藤さんの足の方に頭を向けて寝ていた。


《ううーズキズキするー。》


凄く頭が痛い。


私は遠藤さんの頭から足を降ろして座る。


「ふう・・み・・水・・」


コップにペットボトルの水を注いで飲み干す。


「ふう・・」


私がごそごそしているので遠藤さんも起きた。


「痛っつつつっつ」


華江先生を押しのけ、あずさ先生の頭をそっと床に降ろして遠藤さんが起きあがった。


「大丈夫ですか?」


「だ・・だい・・・」


遠藤さんがガバっと起きてダダっと走り出しトイレに駆け込んだ。


ゥォオェオェェ


ああ・・だいぶきてるみたい。


「ううう・・」


「あ、華江先生・・」


「ふうー・・やっちゃったわね。」


「大丈夫ですか?」


「だめ。」


すると・・あずさ先生と瞳さんもむくっと起き出した・・


「うううう気持ち悪いー。」


「ガンガンするぅ・・」


「どうぞお水です。」


私はコップにペットボトルの水を注いで3人に渡した。


「凄かったですね。昨日の盛り上がりは。」


「本当ね・・・でも後悔だわ。しんどい・・」


「なんか、一気に噴出しちゃいましたね。」


「なんか落ち着いて飲む予定だったはずよね?」


華江先生とあずさ先生、瞳さんの当初の計画はこうじゃなかったらしい。もっとおとなしく飲んで彼の話をいろいろと聞いていく予定だったらしいのだった。


「ああ・・遠藤君。大丈夫?」


「はい・・一気に出しちゃいました・・はは。」


「はいお水です。」


「ちょっと口をゆすいできますね。」


「はい。」


そしてみんなが集まるが何もしゃべれないようで押し黙っている。


「・・・あの・・奈美恵に頼みましょう・・」


「そうですね。」


「治ったらかたずけしましょう。」


「はい。」


皆がゾンビの様にぞろぞろと起き出して歩き出す。バーの入り口から出るのだった。


結局また奈美恵さんの点滴を打つことになってしまう。



点滴の間は流石に皆が横になって治るのを待っていた。午後になってようやくみんながまともに動き出す。バーで飲み会の後かたずけをして、みんなそれぞれの部屋に戻っていった。


「ふう・・ようやく治りました。きつかったです・・」


「俺も良くなりましたよ。昨日は本当にノリノリで・・でもなんかスッキリしました!」


「はい!私もです。」


「栞ちゃんも飲んでたねー弱いのに。」


「なんかノセられちゃって。」


「俺もなんだよ。」


「ふふ。」


「はは。」


二人でほのぼのとした雰囲気で笑いあう。なんか外がゾンビの世界だなんて信じられないくらい平和だった。遠藤さんがそのすべてを作り出しているのが不思議でならない。


「あ、遠藤さん!栞さん!」


「あら、あゆみちゃん。どうしたの?」


正面の廊下からあゆみちゃんが声をかけてきた。ピンクのパフスリーブのセーターにミニのフレアスカート姿でとても可愛らしかった。


「えへへ。ボードゲームしません?メンツを探してたんです。」


「ボードゲーム?」


「はい・・こんな世界になって何なんですけど・・パンデミックを防ぐゲームなんです。」


「へー面白そう。」


「私もやってみようかな?」


「じゃあ4人でやりましょー。」


そして3人が向かったのは里奈ちゃんの部屋だった。


コンコン


「はーい。」


里奈ちゃんが出てきた。肩だしのベージュのカットソーと黒のプリーツミニスカート姿だった。


「つれてきたよー。」


「遠藤さん!栞さん!ゲームしましょう!」


「ああよろしく。」


「楽しそうね。」


そして4人でボードゲームをやり始めた。やり方を里奈ちゃんが説明し私と遠藤さんが集中して聞いていた。


里奈ちゃんの説明によればこうだった。皆がそれぞれの役割をあたえられて病気が世界に拡大するのを防ぐ事。ボードには病原体のしるしを置いて行く。そしていろんな施策や人の派遣、治療やワクチン開発、どの都市が感染するのかなどをカードをひいて決めていくのだ。


感染が広がりきればゲームオーバー。感染を封じ込めて病原菌を抑え込めばクリアと言うゲームだった。


だいぶ難解で難しいがルールは分かった。


「じゃあみんな役割カードをひいてください!」


「はい」

「これかな?」

「はい。」


私は検疫官だった。里奈ちゃんが危機管理対策室長、あゆみちゃんが科学者、遠藤さんが兵士だった。


「あゆみちゃんは・・華江先生ってことね。」


「ふふ、そうですね。」


「俺は兵士か・・こんな弱っちい兵士いないけど。」


「えー遠藤さんは弱く無いです。」


「じゃあ・・カードをひきますね。」


ぺらっとカードをめくるとフランスと書いてあった。細菌のマークが書いてある。


「えっとフランスで病原菌が発生しました。」


「なるほどなるほど。」


あゆみちゃんがフランスに病原菌マーカーを置く。


「じゃあ私がフランスに向けて出発します。」


「はい。」


皆がワクワクしながらボード上のコマを動かしていく。もちろん自分が必ず抑え込むと信じてゲームを進めている。


「えっと、私のターンなのでワクチンの開発に着手します。」


「はい。」


あゆみちゃんが研究所でワクチンの開発を始める事になる。


「じゃあ・・私はワクチンの開発予算を2と、フランスの検閲に予算を2と。」


「じゃあ次・・カードひきますね。」


「感染率上昇・・」


「イタリアに感染拡大ですね・・」


ボードにまたコマを置いて行く。


皆が集中し始めるが・・私はある事に気が付いたのだった。


これ・・JK組の作戦だ・・

次話:第84話 あざといラッキースケベ ー長尾栞編ー

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― 新着の感想 ―
[一言] まあ、男の真面目さなんか、一度決壊すれば一時の幻想です!過ぎればなぜ自分はあんな事に 拘ったか判らなくなる類の、拘りで後で思い返すと、迷信を信じた餓鬼だったと懐かしむ, 過去の黒歴史何ですが…
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