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第80話 恋の改善計画 ー長尾栞編ー

お正月の3日目だけどすでに計画は暗礁に乗り上げていた。


今は朝ごはんのためにホテルラウンジに集まっている。


「おそらくは精神的な問題だと思うの。たぶん。」


華江先生らしからぬ、ちょっと曖昧な意見が出た。


でも私もなんとなくそう思っていた。


「そうですよね。だって女性と付き合った事もないのにいきなり。でもだからと言ってどうすればいいのかは分からないんですけど。」


私はどうする事も出来ない自分がもどかしかった。


「そうよ。だから優美は気にすること無いと思う。」


「翼先輩・・ありがとうございます。」


「ううん。私も遠藤さんの気持ちわかるしさ。」


「え。」


「あ。」


なんとなく気まずい雰囲気が流れるがみんながスルーした。


「食事もってきましたよ。」


「未華さんありがとうございます!」


「いつも遠藤さんが率先してやってましたからね・・彼は気晴らしだって言ってたんですけどね。」


「主夫って感じですもんね。遠藤さんは。」


ここに居るのは私と華江先生翼さん、傷心気味の優美さん未華さんの5人だった。


乾燥材を入れた瓶の中から袋詰めのシリアルを取り出して、皿に持って食べながらホットコーヒーを飲んでいた。


「少し関係性を変えないといけない気がするわ。」


華江先生が言う。


「変化ですか・・」


「ええ。まず遠藤さんの事より・・むしろ私たちの事かな。えーと、みんなにデリカシーの無い確認をするけどごめんなさいね。」


「なんでしょう?」


私が華江先生に質問する。


「まあ、みんな分かっている事だと思うけど、栞ちゃんと翼さんと未華ちゃんは男性経験が・・少ない、もしくは無いという事で間違いないかしら?」


「・・・・・・・・」


「・・・・・・・・」


「・・・・・・・・」


私と翼さん、未華さんが驚いて沈黙してしまう。


「はい・・」


私が言うと翼さんと未華さんも同意する。


「あとは女子高生の里奈ちゃんもね。」


「そうですね・・すみません。」


「いいのよ。今の時代そういう人は多いんだから気にする事じゃないわ。」


「はい。」


「そうですよ。翼先輩もどうせバレバレなんだしこの際、気にしても仕方がないかも。」


「優美・・」


翼さんと優美さんはそのことを知っていて黙っていたらしい。


「とにかく、遠藤君と接するにしてもみんなの経験値が違うという事よね。」


華江先生の言葉に優美さんが言う。


「はい・・正直なところ私は自信がありました。ただ遠藤さんの様に真面目な人が今まで居なかったと思います。」


「そうなのね。」


「ええ。でも私はたぶん男性慣れしすぎていて、そんな彼のなかに土足で入ってしまった気がしました。」


「なるほど・・ということは、彼にはもっと心の準備が必要だったって事かしら。」


「だと思います。」


元旦の夜に優美さんはとても頑張ったらしい。


朝の4時まで。


遠藤さんはそれでも・・反応・・しなかった。


翼さんには詳細を伝えていたみたいだが私たちには内緒にしていた。


「別に経験が豊富だからと言って、遠藤君の心を雪解けさせられるとは限らないわ。」


華江先生の言葉に耳を傾ける。


「彼に対してどういう人が合うのか今はわからない。それを探るにしてもみんなの経験値もバラバラだし、申し訳ないんだけどその経験値分けをする必要がありそうじゃない?」


「経験値分け?」


「ええ。例えばなんだけどね。私とあずさ先生と瞳さんが大人組、翼さんと栞さんと未華さんが未経験組、奈美恵さんと沙織さんと愛菜さんがお姉さん組、麻衣さんと優美さんが彼と同年代組、里奈ちゃんとあゆみちゃんが未成年組、というふうに分けて彼に対して接し方を変えるの。」


「世代で分けるという事ですか?」


「そう翼さんと栞さんと未華さんは、世代は違うけど経験の部分で対応の幅は狭いと思うの。でもそれが功を奏することだってある。相手と同じ目線ということでね。」


なるほど。


さすがは華江先生だった、彼に対する突破口を探すためにこんなことを考えていたらしい。


「だとそれを遠藤さんに知られないように、みんなに伝える必要がありますね。」


「そうね。手分けしてそれぞれが話ましょう。」


「はい。」


「分かりました。」


「ですね。」


「じゃあ私があずさ先生と瞳さんに話すわ。栞ちゃんが年の近い未成年組に、翼さんと未華さんでお姉さん組に、優美さんが麻衣さんにそれぞれ伝えて話し合いをもちましょう。」


「はい。」


「もちろん翼さんと栞ちゃんと未華さんの未経験組3人でも相談してみて。」


「・・わかりました。」


「努力します。」


「私たちでもどうにかしなくちゃね。」


「お願いするわ。」


これから彼の心をメンテナンスしていく意味でも、まずは自分達の事を知っておかなければならない。


いままではむしろなにも考えないでやってきたように思う。


「あとは・・ごめんね。経験値別で何をしていくのか?実践してみてどうだったのか?次にどうしたらいいのか?を考えなければ改善は出来ないわ。」


「はい・・」


「コミュニケーションを密にする必要があるからそれもみんなに伝えて。」


「わかりました。」


「実践する前にやる事としては、遠藤君に知られないようにを前提にして、誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どのようにするのかを先に共有するようにしましょう。」


「はいみんなに伝えます。」


「くれぐれも被験者・・・コホン。遠藤君には気が付かれないように行動しましょう。」


ん?いま華江先生・・被験者っつった?


「・・・わ・・わかりました。」


「皆に伝えます。」


「とにかく極秘任務ですね。」


「ええ。」


とにかく遠藤さんに対しては考える事が多かった。


今まで女性陣側でのコミュニケーションが少なかったかもしれない。


「じゃあ早速女子高生の二人に伝えてきます。」


「ええ栞さんお願いね。」


「私たちもお姉さん組に。」


「ええ。」


「じゃあ私はまいちゃんの所に行ってきます。」


「お願い。」


それぞれがみんながいる部屋に向かうのだった。

とうとう80話まで読んでくださいましたね?素晴らしい!良い人!ブックマークもいただけて感謝です。高評価が励みになっています!引き続きよろしくお願いします!


次話:第81話 未経験組のやるべき事

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― 新着の感想 ―
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