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第78話 優美さん失踪 ー長尾栞編ー

次の日・・・


優美さんと遠藤さんはみんなが集まってるレストランに来なかった。


朝も昼も出て来ず、ふたりに気を使って放っておいたのだが・・午後4時になっても出てこない。



少し心配になる。



みんなで話し合いをした結果、遠藤さんの部屋に内線をかけてみる事になった。


「もし・・いい雰囲気なんかになってたら、すぐ切ったほうがいいわね。」


あずさ先生が言う。


「そうですね。もしかしたらまだ続いてるのかもしれないし・・数コールして出なかったら切った方がいいかもしれません。」


愛菜さんもその方がいいと言う。


「内線するなら、ご飯とか何か用事を作った方がいいんじゃないかしら?」


瞳さんが提案する。


そうだ・・朝と昼はご飯を抜いているし、お腹空かないですか?くらいがちょうどいいかもしれない。


「・・で・・誰が電話します?」


「うーんそうねぇ・・」


私が聞くと華江先生がポツリとつぶやいた。


誰が電話をかけるのか・・


それもそうだ。こんな時に電話かけるのも無粋だし、かといって何かが起きてたら大変だ・・かけるのをためらうのは当然だった。


「じゃあ、私してみます。」


私が言うと皆が無言でコクリと頷く。


とにかく本当に何か事件が起こってたりしたら不味いと思ったので立候補する。


プルルルルルル

プルルルルルル

プルルルルルル


《あれ?でない・・やっぱり・・》


プルルルルルル

プルルルルルル


私が一旦受話器を置こうとしたときだった。


ガチャ


「はい。」


遠藤さんの声がした。


「ああ、遠藤さんですか?あの朝と昼にご飯に来なかったので・・お腹減って無いですか?」


「・・・あの・・減って無いです。」


「優美さんも減って無いですかね?」


「いやここに居ません・・部屋に戻ってると思うのでわかりません・・」


「えっ?遠藤さんと一緒に居ないんですか?」


「・・・あの・・いや・・午前4時ごろまでは・・一緒に居ました・・」


「という事は優美さんは部屋にいるんですかね?」


「皆の所に行っていないとすれば・・そうだと思います。」


「わかりました。遠藤さんも良かったら夕ご飯食べましょう。」


「あ、ああ。食欲が出たら行きます。」


「わかりました・・ではまた後ほど・・」


ガチャ


プープープー


遠藤さんの方から切られてしまった。


「どうだった?」


華江先生が聞いて来た。


「あの・・滅茶苦茶、暗い声でした。何かあったんでしょうか?」


「うーん。心配ね・・優美さんにもかけてみたほうが良いかもしれないわ。」


私と華江先生が話してると翼さんが言う。


「それなら・・私がかけてみます。」


「はい。」


翼さんが受話器を取って内線をかける。


プルルルルルル

プルルルルルル

プルルルルルル

プルルルルルル

プルルルルルル

プルルルルルル


出なかった・・いったん切る事にした。


「え?出ないんだけど・・優美いないのかな?」


「どうしたんでしょう?」


「ちょっと行ってみましょう。」


あずさ先生が優美さんの部屋に行こうと言うので、私と翼さんあずさ先生の3人で部屋に行く。



コンコン


「優美―?」


翼さんが話しかけても返事も何もなかった。


「優美さんいないんでしょうか?」


「でも優美が一人でどこかに行くなんてことあるかな?」


「うーん。優美さんが行くとしても外や低層階には行ってはいないと思う。」


「ですよね。優美さんが行くとしても安全な45階以上の居住区にいますよね。」


3人はとにかくみんなの所に戻って事情を話してみる。


「それじゃあ45階の4001号室に相カードがあるから取ってきてドアを開けたほうが良いんじゃない?」


華江先生が言う。


45階の4001号室は倉庫兼、フロントに置いてあった鍵やカードを全て置いている部屋だった。


「じゃあ私が取ってきます。」


「はい4001号のカードキーよ。」


「栞ちゃん私も行くわ。」


「未華さんありがとうございます。」


二人で優美さんの部屋の相カードキーを取に行く。


「でも・・どうしたんでしょう?優美さんと遠藤さん・・」


「そうね・・喧嘩とか何かトラブルでしょうか?」


「そんな雰囲気無かったですけどね・・」


「ですよね・・」


二人は4001号室から優美さんのカードキーをもって彼女の部屋に行く。


すると優美さんの部屋の前には翼さんと麻衣さんも待っていた。


「カードキー持ってきました。」


翼さんにカードキーを渡して開けてもらう。


ピッ


ガチャ


ドアが開いた。


「優美ー。」


翼さんが声をかけながら中に入っていくと・・部屋には誰もいなかった。


「いませんね。」


「お風呂場かしら?」


「いえ、こちらにもいません!」


皆がだんだんと胸騒ぎを感じてきた。


「えっ?そんな・・じゃあどこに・・」


「みんなで探した方がいいんじゃないんですか?」


「そうね。」


皆が集まっていたレストランに戻り事情を話した。


「じゃあ手分けして探しましょう。まず45階から52階までくまなく。」


あずさ先生が言う。


「はい!」

「わかりました!」

「じゃあ3班に分かれて。」


そして私たちは3つに分かれて優美さんの捜索を始める。


私たちが向かったのは展望台。私と翼さん瞳さんが一緒になって展望台フロアに入っていく。


今日の展望台は電気をつけていなかったので、管理室に行って電源を付けた。


・・・・いた。


優美さんは展望台のガラスの前に椅子を置いて体育座りをして佇んでいた。


「優美?どうしたの・・」


「あ・・・翼先輩。」


「探したのよ。」


「すみませんでした・・あの・・私なんの役にも立てなくて。すみません・・」


「ど、どうしたの?」


私たち3人が優美さんの所に行く。どうやら何かを落ち込んでいるようだった。


「心配したわよ。でもいてくれてよかった・・」


「すみません。」


「電気も付けないで・・」


「ちょっと一人で考え事をしてました。」


「何があったのか言える?」


すると優美さんの表情が一瞬陰りをみせるが・・すぐに答える。


「はい、大丈夫です。」


「どうしたの?」


「あの・・遠藤さん・・ダメでした。」


「ダメって?」


「えっと、すみません・・頑張ったんですけど・・」


「えっえっ?」


優美さんが泣き出してしまった。


ポロポロと涙が出てくる。


「大丈夫よ優美。大丈夫。ダメってもしかしてあれが?」


「はい、全然反応しませんでした。」


「・・・・・・・」


ええーー!!


それはショックだ。


「大丈夫よ。優美!あなたのせいじゃないはず!」


「そうでしょうか?」


「ええそうよ。」


「・・・・でも役に立たなくてごめんなさい・・」


しばらくはそっとしておくことにした。

次話:第79話 要因は一体なんなの?

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