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第07話:温泉 ー長尾栞編ー

カラカラカラカラ


温泉の戸を開くと湯気が漂ってきた。意外に広くて外の露天風呂につながるドアもあった。


「広いわね。」


華絵先輩がつぶやいた。


「そうですね。意外にゆったり。」


なっちゃんが答える。


浴室の周りを囲むように洗い場があり、みんなは鏡に向かって座る。シャンプーとリンスそしてボディソープが備えつけられていた。


みんな洗顔料以外は備えつけの物をつかう。


全員が体を洗い始めた。



ハンドタオルで泡立てて腕を洗ったらピリピリした。


日焼けしている・・


みんなタオルを使わず泡でそっと洗っていた。


「日焼け止めしてたのに。」


真衣先輩が腕を見ながら言う。


「長袖でも結構焼けちゃうんですね〜。」


公佳先輩も日焼けを気にしているようだった。


「まあ仕方ないわよ、野外スポーツに日焼けはつきもの。」


華絵先輩が言った。


「みなみはそんなに気にしてないみたいよ」


華絵先輩が言うとみなみ先輩が答える。


「そんなことも無いんですよ華絵さん・・どうしても練習すると焼けちゃって。これでもかなり日焼け対策はしてるんです。」


「そうよねー、うちの大学に室内練習場あればいいんだけど、文科系の大学しね・・」


麻衣先輩が言う。


皆どうやら日焼けを気にしているようだった。そうかぁ私もそろそろ気にしなくちゃいけないのかな?と思いながら、なっちゃんに聞いてみる。


「なっちゃん日焼け対策ってしてるんだっけ?」


「ぜーんぜん。ただひりひりが嫌だからローションを塗ったりはするよ。」


元気っ子のなっちゃんは日焼けを全く気にしていなかった。


「わたし赤くなるだけでヒリヒリして黒くならないんだー。私も綺麗に焼いてみたい。」


梨美ちゃんが浅黒く焼けた健康的ななっちゃんをみて羨ましがっている。


ザバー


なっちゃんが温泉をあがる。するとみなみ先輩も一緒にでるようだった。


「熱くて入ってられないー。もうあがるね。」

「私も熱くてだめだわ。」


2人が浴室を出て行った。


「露天風呂に行ってみようかしら。」


華絵先輩が言う。


「私も行きますー。」

「あ、私も!」


私と梨美ちゃんがついていく。


カラカラカラカラ


露天風呂に続くドアを開けると外は涼しかった。ハンドタオルを胸から下に垂らして歩いて行く。温泉に片足をつけてみると中の温泉よりぬるくて長く入っていられそうだった。


「気持ち良いですねー!」


私が華絵先輩に言うと、


「本当ね、合宿のプランを変えてよかったわ」


「去年までは違ったんですか?」


「ええ去年までは海だったけど、みんな日焼けしたくないって・・結局日焼けはするのよね。でもそれで温泉がある高原にしようってなったの。夜がこんなに涼しいなんて過ごしやすくていいわ。」


すると梨美ちゃんが言う。


「ほかの大学に行ってる友達のサークル合宿の会費が意外に高かったらしいんですけど、1人2万6千円って安いですよね?」


「お友達の学校のサークル合宿の会費はいくらなの?」


「2泊で3万7千円だそうです。」


「ええ!高いわね。私だったら行かないわ。」


「うちは2泊で2万6千円ですもんね!どうしてこんなにおさえられてるんですかね?」


「去年まではご飯を出してもらえるところに泊まってたから、うちも高かったんだけどみんなで話し合って自分達で楽しんで料理作ろうってなったのよ。」


「そしたらおさえられたって感じですか?」


「そうね・・あとこの合宿用の施設も、リーズナブルだったっていうのもあるかしらね。」


私もここは凄く良いなって思ってた。


「ここたしかに地味ですけど、そこがいい感じですよね!」


「ほんとそうね。」


露天風呂での女子トークは続いた。すると真衣先輩と公佳先輩も露天風呂に来た。


「えー、すっごい気持ちいい!涼しいー」


真衣先輩がテンション上がってる。


「本当だ。意外に立派な施設でびっくりです。」


公佳先輩も感心していた。


「あとは男性陣がつくる料理ね。」


華絵先輩が言うと、真衣先輩が答える。


「え、カレーなんて簡単ですよ!男子でも出来ます。」


「それもそうね、ふふふ。」

「あははは。」


2人が顔を見合わせて笑っていた。


「さてそろそろ上がりましょうか!カレーの話してたらお腹がなっちゃった。」


公佳先輩の言うとおりだった。


私となっちゃん、梨美ちゃんが同時にお腹がなった。



「ほらほら若い3人のお腹の虫がなっちゃったわ。」


私達が温泉を出た頃には陽が落ちて暗くなっていた。


温泉で火照った体を冷ますようにTシャツの首の部分をパタパタさせながら歩く。ログハウスの中に入るとすでにご飯の準備は出来ていたようだ。


「お!来たな!俺達特製のカレーを食わせてやるぞ。」


陽治先輩が得意げな顔で言って来る。健先輩がしらっとした顔で答えた。


「まあ市販のカレールーだけどな。」


すると雷太先輩がにこにこ顔で言う。


「いやー普通が一番うまいっすよ!豚バラジャガイモ人参玉葱に中辛で十分。」


啓介先輩がそこにフォロー?を入れる。


「いや、少し良いカレールーなんだよ。中辛でもちょっと辛めかもしれないけど。」


すると唯人君がテンション高めで言った。


「えっ!辛めのカレー好きっす!腹減りましたよ」


「よっしゃ!みんなで食おうぜ!」


健先輩の号令がかかった。


「楽しみね。」


華絵先輩がみんなに微笑みながらご飯を盛り付けて渡してくれる。


ログハウス内にはカレーのいい匂いが漂うのだった。



・・・楽しい一日だった。

次話:第08話 事件

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