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第55話 男に関するメンテナンス会議 ー長尾栞編ー

華江先生の作った疑似ゾンビウイルスの初回実験は失敗に終わった。


まだ試作段階なので本物のゾンビウイルスと同じような検証結果はでないらしい。


遠藤さんの細胞についても外回りから帰って来てすぐだったという事もあり、ストレスなども加味して何も無い日の朝昼夜に細胞摂取することとなった。



遠藤さんと華江先生を除く皆で話し合っていた。


「あとはとにかく・・遠藤さんのストレス解消についてですよね・・」


「女性の中に男一人だとストレスたまるのもわかるわぁ・・」


「どうやってそれを取り除くかですよね。」


今は遠藤さんと華江先生は地下に籠っている。


ほかのみんなが1階のリビングに集まって話し合っていたのだった。


「そうよね。ストレスで細胞が弱るかもしれないと華江先生も言っていたしね。」


あずさ先生が言う。


「実験だけじゃなくても、遠藤さんの体調が悪くなれば死活問題ですよね?」


翼さんの後輩の高橋優美さんが言う。


優美さんはすっごいあざとい感じだけどとても可愛い人だった。ゆるふわで男の人達が放っておかない感じがする。


そんな優美さんが・・ここではとても深刻な顔をして話していた。


「そうよね。もし遠藤さんに何かあれば大変なことになるわよね・・」


沙織さんがまじまじと考え込むように言う。きりりとした顔つきがお姉さまという感じだった。


「私が思うに・・彼のメンテナンスは必要ですよね?栞ちゃん。」


翼さんが私に対して言うがおそらくはあの本の事を言っているのだろう。


《確かに男性ひとりが、この女性だけの空間で一緒に生きているだけでも疲れるだろうな・・いや逆に考えると・・私が男の人の中に1人だったら間違いなくストレスがかかるよね・・》


「女の人11人の中に男性が一人で暮らしているというだけでも、かなり神経を使っていると思うんですよ。」


私が言うと、高校生のあゆみちゃんが聞いてくる。


「でも具体的に私たちは何をしたらいいんですかね?」


大人8人


それはぁ・・・


という顔をする。


女子高生のあゆみちゃんと里奈ちゃんはピンとこないようだった。


すると・・里奈ちゃんが・・少し気が付いたような顔をした。


「あっ・・」


「えっ?里奈なにかわかったの?」


「い、いや・・よくわかんないけど。」


あゆみちゃんが困った顔をしたところで翼さんが助け舟をだした。


「あのー疲れた時はマッサージなんかも良いですよね!みんなで彼を癒すためにマッサージとかしてあげたらどうかしら?」


「それいいと思います!」


後輩の優美ちゃんが同意する。


「とにかく彼のストレスを和らげる事なら何でもいいと思う。」


真下さんが言う。


「そうですよね!彼もやりたい事とかあるかもしれないし!彼が元気になるなら私はなんでもやれそうですよ。」


愛菜さんが言うと、他の人からも意見が出た。


「私も遠藤君は嫌いじゃないわ。あの行動力と落ち着いた感じが男らしいわよね。」


あずさ先生は彼の行動力を評価しているようだった。


「わかります・・私も二人で部屋に一緒に居たころから、彼のそう言うところ凄いなって思ってました。」


私もそれに関して深く同意するのだった。


「そもそも・・二人で居た時に何も無いなんて・・」


「えっ!?」


「いや・・まあ人それぞれだとは思うんだけどぉ。」


優美さんが顔を傾げて不思議そうに言う。


「なんかぁ!わたしも頼れるお兄さんって感じで嫌いじゃないです。さんざん助けてもらったというのもあると思うんですが・・」


あゆみちゃんが明るく言うのだった。


やっぱり彼には何か人を惹きつけるものがあるようだった。


「私は彼に母性本能をくすぐられるというか・・守ってあげたくなりますね。」


沙織さんが言うと真下さんもうなずいた。


「わかるわ。」



「とにかく彼のストレスの事です!私はまあ・・本職の看護師ですので・・体のメンテナンスは出来ると思いますが・・」


奈美恵さんが言うと、


「奈美恵さんと私と華江先生がいれば手術も出来ますからね。もし万が一の時は病院の医療機器を使って華江先生が切ってくださると思いますよ。」


あずさ先生が言う。


「そうなんですね!手術が失敗する確率は無いんですか?」


優美さんが聞くと二人声をそろえて言う。


「「ないわ。」」


そうなんだ・・華江先生は失敗しないお医者さんなんだ。


凄い人と知り合えてよかった。



「とにかく全員で思い思いに彼をメンテナンスしていくって言うことで良いんですね?」


翼さんが言う。



皆がうんうんと頷いていた。



「ではそれぞれがチャンスを見て、彼が何をしてほしいかを聴きだしましょう。」


あずさ先生が話を閉めた。


「わかりましたー!」


皆が同意する。


すると部屋の外から二人分の足音が聞こえてきた。


「あら皆さんお揃いで。」


華江先生が部屋に入って来た。後ろから遠藤さんも入って来る。


「ええまあ。これからの事についていろいろと相談してました。」


あずさ先生が言う。


「それはいい事だわ!とにかく日々の積み重ねが大事。研鑽を積んだ先に私たちが生き残る手掛かりがあるはず。皆で手を抜かないように頑張っていきましょう!」



はい!!


華江先生は違う意味の事を言っていた思うのだが・・全員が返事をした。


「俺も頑張りますよ!」


遠藤さんが言うとニコニコしながら皆が温かく彼を見つめるのだった。


次話:第56話 未経験で疎い人達 

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