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第52話 おっぱい比べ ー長尾栞編ー

それから華江先生は毎日研究に没頭しはじめた。


ご飯の時インターフォンで呼べば上がってきて食べるが、すぐに地下に降りて行く。


地下はシェルターにもなっているので緊急時の非常食も保管していたが、それを食べている様子もない。


あきらかに小食になっていた。


「あんなに根詰めて体は大丈夫でしょうか?」


私が奈美恵さんに聞くと、どうやら病院いた時はいつもこうだったらしい。


「まあ、華江先生は放っておいた方がいいわ。気を散らせても仕方ないし。」


あずさ先生も言う。


「研究者って感じですよね。」


「なんだか痩せていっている気がするんですが。」


遠藤さんが心配したように言っている。


「いつもの事って感じですよ。きちんと食べてるし大丈夫だと思います。」


奈美恵さんが普通の事のように言うので、皆がそのことについて話すのをやめる。



そしてあれから私たちは週に1回、遠藤さんと数人で食料調達のために家を出ることになっている。


今日がその日だった・・


遠藤さんが言うには車はマイクロバスだと小回りが利かないという事で、路上で拾ったトヤタ社製の大型RV車を使っている。


この車だと車を押しのける事も出来るし、多少の障害物を乗り越える事も出来た。荒れた町を行動するのに適している車らしかった。


家に残る人たちは、他の人が食料や物資を調達している時間は活動をしない事になっている。


音を立ててゾンビなどが襲撃してくるかもしれないからだ。


地下の華江先生がいる研究室の隣のシェルターに潜んでジッとしているのだった。


生活音や臭いなどゾンビが何に反応するのかが分かっていない以上、遠藤さんと離れる場合には必ずシェルターと隣接したトイレの往復だけとなるのだった。


遠藤さんが離れている間に、華江先生がカプセルに残ったゾンビウイルスを研究する事になっている。


その場合あまりにも手持無沙汰になるため、皆それぞれ町で回収した本などを読んで過ごす事になっていた。


「じゃあ皆さん無事に帰って来てくださいね!」


女優の里奈ちゃんが映画で見たような素敵なスマイルで送り出してくれる。


「栞さん無理しないでください!」


あゆみちゃんも私を心配してくれている。


全員の話し合いで17才の2人は留守番にまわってもらう事にしていた。


「では行きましょうか?」


今日物資の回収に行くのは遠藤さんと私と吹田翼さん、北原愛奈さん、看護師の奈美恵さんだった。


「残る皆さんも十分気を付けてくださいね。」


吹田翼さんが言った。


私も家に残った事があるが・・


地下なので外の物音も聞こえず問題はないはずなのに、もしかしたらゾンビがうろついているのかもしれないという恐怖があるのだった。


「じっとしています。」


真下瞳さんが答えた。



5人はRV車に乗り込み華江先生から借りた鍵を使って外の門を開けて出る。


しっかり門を閉じたのを確認して車を発進させる。


「残った人達が心配ですよね・・」


愛奈さんが心配そうに家の方を見ていた。


北原さんは黒のストレートロングヘア―をきゅっとまとめ上げて綺麗にしていた。切れ長な目にまつげも長いクールビューティーなのだが、その目が不安げに外を眺めている。



不安な雰囲気を変えるため私は北原さんに話しかけた。


「北原さんってスポーツしてたんですか?」


「わかりますか?高校まで水泳してたんですよ。」


「凄いプロポーションがいいから何かやっていたのかなと思ったんです。」


「インハイにも行ったんです。」


「ええーすごい!」


「そんなでもないですよ!それより栞さんは華奢でかわいいのに・・その・・胸が・・」


「はは・・これは母親譲りと申しますか・・なんというか。」


すると吹田翼さんが話に入って来た。


「華奢な人ってたいてい胸が無いイメージですけど、栞ちゃんはポンってありますよね!うらやましいわあ。」


翼さんは長身で色白でボーイッシュな顔のスッキリ美人なのだが、あまり胸には自信が無いようだった。


「ね・・うらやましいよね。」


愛奈さんが同意している。



私もたまにみんなとお風呂に入っているから、みんなの裸をよく知っていた。


「でも翼さんのは凄く形もきれいだしトップの色が薄くて綺麗ですよね。うらやましいですよ。もしかしたらクオーターとかですか?」


「ああ・・ロシア人の血が入っています。おばあちゃんですけどね。」


「ああわかるー翼さんのは色きれいですよね!」


「いやぁ・・ちょっと恥ずかしいです・・」


翼さんの白い肌が薄ピンクに染まる。


「でも大きさで言ったら奈美恵さんが一番じゃないですか?」


「うん!それは否定できない。」


「奈美恵さん凄いですよね・・何を食べたらそうなるんですか?」


私と翼さんと愛奈さんから、急に奈美恵さんに話が飛ぶ。


「いえ・・あのこれ肩が凝るんですよ。夏はいろいろ大変だし・・暑いんです。」


「えー・・そんなセリフ言ってみたいです・・」


愛菜さんがしみじみと言った。


「私はスポーツがあまり得意じゃないので、北原さんのスタイルがうらやましいですよ。腹筋もすっごい引き締まってますよね。胸もツンと上を向いているし最近までスポーツやってたんですか?」


「バイク便に乗るためにジムで鍛えていました。普段から走り込みもしてたし・・でもこんなことになって引きこもるようになったので、体を動かしたくて仕方がないです。」


「わかりますー。」


翼さんが言う。


「翼さんは何かされてたんですか?」


「いやースポーツはしてなかったんですけどね!山登りにハマっちゃってて。登りたいなあ・・」


それぞれがしみじみの平和な時の話を思い出す。


「あのー」


運転していた遠藤さんがみんなに声をかける。


「あ・・・」

「ごめ・・」

「そういえば・・」


私たちは遠藤さんがいるのを忘れて・・おっぱい談義をしてしまったのだった。


遠藤さんの顔が赤くなっている。


これからゾンビがいるかもしれない場所に行く車中の会話にしては・・


ちょっと相応しくなかったかもしれない・・

次話:第53話 エッチ本回収してるし・・ ・

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― 新着の感想 ―
[一言] 自動車プラダかなもしもの為にフロント以外の窓に防犯フィルム水張りしないとね!遠藤君おっぱい星人ですか? 何か見てるとおっぱいに貴賎はないタイプのようで?タイヤも内部にパンク対策の接着剤充填か…
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