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第19話 親友の彼 ー長尾栞編ー

ピンポーン


インターフォンがなった。


「誰だろう?」


インターフォンの画面に映るのは男性だった。


「どちら様でしょうか?」


「あの、隣に越してきた遠藤と申します。引っ越しのご挨拶にきました。」


「少々お待ちください。」


男性だったため・・少しためらったが、引っ越ししてるのを見ているので大丈夫だと思い開けることにした。


「はい。」


ガチャ


「あ、お休みの所すみません。これよろしかったらお使いください。」


白い包装紙にくるまれた箱を渡された。


「あ、すみません。ありがとうございます。」


「いえつまらないものですが・・」


なんというか・・人の好さそうな、イケメンとも言えなくもないけど・・人懐っこい感じの男の人だった。


「俺、社会人なので夜遅く帰ってくる事もあるんですが、なるべくうるさくないようにしますので・・」


「いえ、大丈夫です。」


「ではすみません。」


「はい」


簡単な挨拶をして行ってしまった。いま顔を見たばかりなのにあまり印象に残らなかった。


《地味な人》


これが私が遠藤近頼(えんどうちかより)君と初めて出会った日だった。本当にただのお隣さんということで全く意識していなかった。




挨拶を終え私は何か食べようと思って台所に行く。


《そう言えばこの間、送ってもらった実家からの仕送りにあんみつが入ってたっけ。》


「たーべよっと。」


あんみつを冷蔵庫から取り出して、ガラス皿に取り分ける。


黒蜜をかけて食べる。


「ふう。おいしいわぁ」


おもむろになっちゃんにSNSで連絡を取る。


-なっちゃーん。


なっちゃんからすぐには返事がなかった。既読もつかない。


《なんか忙しいのかな?》


とりあえず読みかけの本を手に取って読み始めた。


この蔓延するウイルスのおかげでラマゾンで本を買う回数が増えた。服や化粧品より本にお金を使うことが多かった。


最近はまっている本は自分の殻からどうやってぬけだす?みたいな本だった。


なかなか進展しない唯人君とのコミュニケーションに役立つように読んでいるのもあるし、アルバイトのホテルの給仕に戻った時にも助かるかと思って読んでいる。


《やっぱり相手が何をしてほしいかが大事、かぁ・・。どうやって期待に答えるかって事が大事よね・・》


相手が何をしてほしいのか?を読み取る事が苦手というか良く分からないんだけど。


《してほしい事を聞くしかない?そりゃそうよ・・でもそこに踏み入れられないから困ってるのよね。》


なんてことを自問自答しながら自己啓発本を読んでいる。なんか自分の弱点を言い当てられているような気分になる。


《自分が苦手としている事でも、あえて受けてみるか・・》


私の苦手な事。苦手・・


《もしかしたら自分が苦手だからって、相手の身に立って考えてないのかも。唯人君の立場になって考えれば・・》


唯人君は気を使いすぎて、私を誘うのがなかなか出来ないって感じだった。


《やっぱり大胆さが足りないのかも。なっちゃんぐらいぐいぐい行けるようにならないとだめよね。それが苦手なのよねぇ・・》


なんて考えているとSNSに返信があった。


ポロリーン


-やっほ!しおりん!どした?


あーなっちゃーん!-


-どしたどした?


ヒマ!-


-おおそうかいそうかい!じゃあさ!家いっていい?


来て来てー!-


-夏希いきまーす!



というわけでなっちゃんが遊びに来た。


「しおりーん」


「なっちゃーん。寂しかったよー」


「唯人はどうしたんじゃ?」


「なかなか進展しなくってさー」


「そうかー、実はね・・今日はしおりんに報告があるのさ。」


「報告?」


「ふふー!何だと思う?」


「えっ?えっ?まさか!」


「言ってみ言ってみ!」


「か・・彼氏できた?」


「うん・・」


「わぁー!!おめでとう!!なっちゃんにもとうとう春が来たね!」


「来たよ春が!」


「凄い凄い!」


「うん、いまの今までその人と会って話してたのよ。」


「えっ?誰?私の知っている人?」


「実はね。そうだよ!」


「え?だと限られてるよね?」


「だね。」



《えーと・・だれだ?でもなっちゃんの元気な感じにお似合いの・・私の知っている人って言うと?》


「私の知ってる人だよね?」


「そうだよ。」


「ヒント」


「元気がとりえみたいな?」


「ああー分かっちゃったよ。」


「まあそうだよね・・」


「雷太先輩だ!」


「あはははー当てられちゃったね。なんか急に雷太先輩に呼び出されちゃってさあ。サークルに戻ってほしい話なのかと思っていったらさ、告白されちゃった。」


「キャー、告白!」


「好きだ付き合ってくれって。」


「す・・ストレート!」


「なんかねー、唯人君としおりんが付き合ってんの聞いて触発されたみたいよ。自分も告ってみようって。」


「た・・単純!」


「だよねー。」


「でも、憎めないよね。裏表ないし素敵。」


「私もつい簡単に良いですよ!って言っちゃったのよ。」


「えっ?よかったんでしょ?」


「うん、いいなあとは思ってたんだけど、逆に私なんか眼中にないのかと思ってたから。」


「そういえば、なっちゃんは彼氏にするなら元気な人が良いって言ってたもんね。」


「そう考えたらドンピシャでしょ?」


「ほんとだ。親友の私から見ても似合ってるよ。」


「本当?ありがとう!うれしいなあ。」


本当にうれしかった。


なっちゃんは結構元気っ子だけど友達はそう多くないみたいだったから。まあ友達多くないのは私も一緒なんだけどね・・基本なっちゃんとだけ遊んでるし。


二人の共通の友達と言えばテニスサークルでいっしょだった梨美ちゃんくらいだし、私だけ彼氏がいるのが心苦しかった。


「でさしおりん!」


「わかってるって!言いたいことは!」


「「ダブルデート!」」


「「うふふふふふ。」」


二人はどこまで行っても気が合う。


前に二人に彼氏ができたらダブルデートしようって言ってたのだった。

次話:第20話 ダブルデート

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[一言] 私今回の中共ウィルスの白人の対応見てて白人は何て 野蛮なのかと呆れたよペストで国が滅びかけたのに 奴らの文化に何の影響も与えてない後進性に呆れたよ? 日本がなぜ屋内の土足文化を止めたのは 疫…
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