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第130話 殺傷能力のある武器とは

アキバのボウガンが売っているショップに向かっていた。


愛奈さんがバイク便で届けたことがある店との事だった。


かつては電気街として人がごった返していたはずの街は、すでにゴーストタウンと化している。


「かなり草木が生い茂ってますね。」


「ええ、ほったらかしにするとこうなるのね。」


遠藤さんと華江先生が話していた。


「もうすぐ着きますが、このあたりは乗り捨てられた車が多くて進めませんね。」


愛奈さんが言う。


「ランチローバーでも厳しそうですね。」


イギリス製の凄い車らしいが、こんなに車が散乱していては進めそうになかった。


「ゾンビもいたんでしょうか?」


私が言う。


「おそらくいたんじゃない?遠藤君が来た事で全て燃え尽きてしまったと思うけど。」


「やはりそうですよね。」


遠藤さんが一緒に行動してゾンビが居るはず無いのだ。


「とにかくここからは歩きです。」


「どのくらいあるんです?」


「1kmくらいでしょうか。」


皆で車を降りてゴーストタウンと化したアキバを、3台の台車をひいて歩いて行く。


「こんなに荒んでしまったのね。」


あずさ先生がつぶやく。


人気も無く電気も通っていないので信号も動いていない。ネズミもカラスも見かける事は無かった。


《やはりこんなコンクリートで覆われた街には生き物は居ないのだろうか。人間がいない為食料が無いのだろう。スーパーもあるはずなのだがカラスが見当たらないみたい。》


どこの街に行っても同じなのだが静かすぎて怖い。海沿いなどは潮騒の音や臭いがするのでなんとなく生命力を感じるのだが、ここはそれも感じる事が無かった。しかし草木が生い茂っているので、死んだ町と言う感じでもない不思議な空間になっている。


「こっちです。」


愛奈さんについてみんなが慎重に歩いて行く。


そしてある小さいビルの前についた。


「ここの2階です。」


1階はシャッターが下りており、おそらく3年前のあの時から開いてはいないだろう。


道路に台車を置いて皆で階段を上っていく。特にゾンビや人が現れる事もなくそのまま店についた。


「鍵がかかっていますね。」


「大丈夫です。」


遠藤さんが分厚い防護手袋をはめて、バッテリーのスイッチを押す。みなみ先輩が遠藤さんに電動カッターを渡した。


ギュキイイイイイ


ドアの鍵の部分を電動カッターで切り始めると火花が飛び散る。


今日も拳銃回収の時と同じメンバー


遠藤さん

あずさ先生

華江先生

愛奈さん

みなみ先輩


と私で来ていた。皆がその火花を見つめている。


「開きました。」


店内は暗かった。


「外から見た感じでは窓が開けられそうでしたね。」


「そうね。」


遠藤さんとあずささんが店の奥に行く。


カチャ


カラカラカラカラ


どうやら窓が開いたようで店内に光が射しこんで来た。


「なにやらいっぱいありますね!」


みなみ先輩が言う。


「本当だ。」


あずさ先生も驚いていた。


「前に見た時と変らないようです。」


そこには見た事の無い器具の数々が置いてあったのだった。


すると遠藤さんが言う。


「ボウガンとスタンガンもありますね。」


「なんかボウガンってライフルみたいな形してるんですね。」


「俺もテレビでくらいしか見た事無かったです。」


「遠藤さんこれは何でしょう?スリングショットって書いてあります。」


私が聞いてみる。


「これはヘビーパチンコですね鉄球をひいて撃つんです。かなりの威力が出ると思います。」


「この棒は何でしょう?」


「警棒のようです。あと防弾チョッキも置いてあるみたいです。」


すると奥の方から華江先生が言う。


「みて!日本刀があるわ。」


みんなで行って見ると日本刀が置いてあった。


「鍵がかかってますね。レジに鍵が置いてないかな。」


遠藤さんがレジの方に向かって言った。


「栞ちゃん。どうかしら?これもってみて。」


あずさ先生にボウガンを渡されたので持ってみる。


「あ意外に軽いですね。これなら私にも使えそうです。」


「よし、一番華奢な栞ちゃんが使えるなら問題なさそうね。」


「そうですね。」


あずさ先生とみなみ先輩に言われる。


「手錠も警察が使っているものみたいな本格的なやつだわ。」


愛奈さんが手錠を見ている。


「愛菜さん…なんか今へんな事考えたでしょう?」


あずさ先生が言う。


「えっと…はい。」


「まあそういう使い方もありじゃない。」


「回収しましょう。」


愛奈さんが楽しそうだ。


するとレジの方から遠藤さんが戻って来た。


「鍵がいっぱいあるんですが、どれがどれだか分からないので片っ端から試してみます。」


そして遠藤さんが日本刀のガラスの鍵を開け始めた。


「じゃあとりあえず他のみんなは、ダンボールに詰められるだけ詰めて運び出す準備をしましょう。」


「はい。」


「ダンボールは裏にいっぱいありました。」


ダンボールは全て畳んである状態だった。そのためガムテープで止めて組み立て中に武器を入れていく。


「つめれるだけ詰めていきましょう。」


私達はどんどん武器をダンボールに詰め込んでいった。


「こっちにボストンバックがあるわ。これにも詰めていきましょう。」


「はい。」


華江先生がボストンバッグを持ってきた。


ボウガン、警棒、スリングショット、手錠、防弾チョッキ。


それぞれを丁寧に段ボールとボストンバッグに詰めていく。


ボウガンの矢と鉄球もあったのでどんどん詰め込む。スタンガン用の充電器も丁寧に詰める。


「開いた!」


どうやら日本刀のケースの鍵が開いたようだった。


「あれ?これはたぶん模造刀ですね。」


「そうね。でも相手を叩くことはできるんじゃないかしら。」


「じゃあ持っていきましょう。」


「このスプレーって何かしら。」


あずさ先生が言う。


「えーっと、これは催涙スプレーみたいですね。」


「じゃあこれも持っていきましょう。」


「そうね。」


「遠藤さん。スタンガンのケースの鍵もありますかね?」


「ああ、開けてみよう。」


少し試すとスタンガンのケースの鍵も開いた。


片っ端から段ボールやボストンバックに詰めていく。



ダンボール12箱、ボストンバックが10袋が満杯になった。


「ひとまずこれくらいで良いでしょうかね?」


遠藤さんが言う。


「そうね。どのくらいが適正か分からないけど、裏にあった在庫も全部運び出しちゃいましょう。」


皆で手分けして入り口にダンボールを重ねていく。


「これだけあればいいんじゃない。」


「それじゃあみんなで運び出しましょう。」


皆でダンボールを持って階段をおり下に置いてまた上に上がる。


引っ越し業者のように上がったり下がったりをくりかえし全ての荷物を運び出した。



台車に上手に重ねて詰んでいく。ダンボールの上にボストンバッグを乗せて、担げる人はボストンを担いだ。


「栞ちゃんは無理しなくていいわよ。」


「すみません。でも軽いのなら。」


「結構どれも重いわ。じゃあこのリュックに詰めた手錠を背負ってくれる。」


「はい。」


遠藤さんと愛奈さんみなみ先輩の、体を鍛えている3人がボストンを両脇に担ぐ。


私と華江先生とあずさ先生がリュックを背負って台車を押して行く。


「ふうふう。」


「結構距離ありますよね。」


「1キロくらいかな。」


皆が黙々と歩いてランチローバーの置いてある場所まで進む。


帰りは少しきつくても、車の中に荷物を詰め込まなくてはいけない。


「まあうまくつめればダンボールも全部積み込めますね。」


「じゃあ積みましょう。」


遠藤さんが指示を出しながら、ランチローバーの荷台にダンボールを入れていく。


「凄いですね。まるでパズルゲームのようにきっちり詰めて。」


「そういえば遠藤君は、業務用スーパーの物を小分けにして詰めるのが好きなんだっけ?」


「そうなんですよ。こうやって詰め込む作業って面白いです。」


結局荷物は綺麗に入った。


「じゃあ乗り込んでください。」


愛奈さんの掛け声にみんなが車に乗り込んだ。


「これで防犯グッズはひとまず大丈夫そうですね。」


「ええ、よくよく考えたらよくこれまで武器も持たずにやってきたわね私達。」


「確かに。」


「使い方も練習しなければいけないですね。」


「じゃあ急いで帰りましょう。」


愛奈さんがアクセルを踏んでアキバを後にするのだった。


《こんな武器を使う事が無いように祈るわ。》


私は心の中でそう思うのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 最近のスリリングショットの弾は鉛ではなく高い 錫製ですよ?エアーライフルの弾丸も錫です将来は 純鉄製だそうです軍用ライフルの弾丸も狩猟用も ピュアスチール製です散弾もねだから狩猟で得た鴨も …
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