第126話 家族になろうよ ー長尾栞編ー
なっちゃん達3人が遠藤さんの子供を宿すと決めて数日。
なっちゃんから唐突に相談された。
「しおりん。ごめんねー!ちょっと聞いて欲しい事があってさ・・」
「どうしたの?心変わり?」
「ううん。違うのここにも慣れてきたしね。皆もいい人だし遠藤さんも優しい人で良いことばかりなんだけどさ。」
「うん。」
「私ねしおりんとずっと一緒にいたいの。」
「えっ?しょっちゅう一緒にいるじゃん。」
「そういう事じゃなくて、なんていうかさ家族になりたいの。」
「家族に?」
「うん。親友じゃなくて家族に。変なこと言ってごめんね!こんなのおかしいよね。」
《いや私にはわかる。むしろ同じ気持ちがあった。ただ漠然とした気持ちだったけどなっちゃんから言われて初めて強く思った。》
「うんわかるよ全然おかしくない。なっちゃん!私も家族になりたい。」
「うん。確かにパパが同じなら家族の一員になるのかもしれないけど、私はしおりんともっと強い結びつきがほしいんだ。」
「私も。まったく同じ。たぶん私たちは惹かれあってるんだよね。なっちゃんと繋がっていたい。」
「うん。しおりん!やっぱりしおりんだわ。」
なっちゃんの気持ちが嬉しかった。でもなんとなく恥ずかしかった。
《そう私はなっちゃんが好きなのだ。無償の愛情を持っているといったらわかるだろうか?》
「ただ、だからってどうすればいいのかわからないんだけどね。」
確かにそうだった。
2人の気持ちが家族になりたいと思う、それで何をどうすれば良いのかわからない。
「どうすればいいんだろう?」
「うん。確かにわかんない。」
「なっちゃん。私が思うに遠藤さんじゃないかな?彼が私たちを繋ぐ人になるんじゃない?」
「私達を繋ぐ人?」
「まあうまく言い表せないんだけど、彼との子作りをみんながしたんだけどね。そのおかげで強い絆みたいなものが生まれた気がするのよ。」
「すっごい連帯感あるもんねここ。」
「そうでしょう。特に優美さんと麻衣さんと翼さんのつながりが深く感じるの。」
「それはどうしてなの?」
「変な事かもしれないけど優美さんと麻衣さんと翼さんはね、時々一緒に遠藤さんに相手してもらうのよ。」
「えっ!3人同時に!?」
「うん。毎回じゃないんだけどね。時折そうするみたい。」
「凄いね・・」
「うん。」
そう優美さんと麻衣さんと翼さんは、遠藤さんと子作りをしたとき。いや子作りじゃなくても3人同時に愛の行為をすることがあった。
おそらくそのおかげで家族の様な雰囲気に近づいたような気がするのだ。
「なんとなくわかる気がする。」
「お互いがお互いをさらけ出す事で、タブーを無くしている。そんな感じかなあ。」
「やっぱりみんな寂しいんだよね。」
「そう思う。」
やはりこんな時代だからと言うのもあるだろう。
人は寄り添って生きていかねばならない、それには気持ちの深いつながりを求めてしまうのだった。
「モラルのかけらもないと言われるかもしれないけど、それが凄く近づくためのきっかけになる気がするんだ。」
「うんそうだね。なんとなくそう思う。」
「これから二人で遠藤さんの所に行って話してみない?」
「話したい。」
なっちゃんが深くうなずく。
私は遠藤さんに内線をかけた。
プルルル
ガチャ
「はいもしもし。」
「あ、栞です。」
「栞ちゃん。どうした?」
「なっちゃんと二人でお話しに行きたいんだけど?」
「ああいいよ!それじゃあ人払いしたほうがいいよね。」
「できれば。」
「了解。いまは沙織さんと未華さんと一緒にお風呂に入って上がってきたところなんだ。」
そうか沙織さんと未華さんってタイプが似てるもんなぁ。
あの二人も強く結びつきを感じたのかもしれない。
地味目の眼鏡に黒髪ロングの清楚タイプの沙織さんと、前髪ぱっつんの目力のある地味系美女の未華さん。
どちらかというと二人とも性格も似ていた。
彼女たちもやっぱり強い結びつきが欲しいんだ…
「遠藤さん来ていいって。いこ。」
「うん。」
二人でテーブルに置いてあったお茶を飲み干して部屋を出た。
コンコン
遠藤さんの部屋に行くと、遠藤さんがバスローブを着て部屋から出てきた。
「ああ、こんな格好でごめんね。沙織さんと未華さんとお風呂に入ってたから。」
「いえ。遠藤さん連日大変ですよね?」
「慣れたよ。多少疲れるけど、みんなのために弱音を吐いてはいられないし。」
「本当に頭が下がりますよ。」
「はは。なんだい?あらたまって。とにかく入ってよ。」
そして私となっちゃんが遠藤さんの部屋に入る。
「失礼します。」
なっちゃんは少し緊張気味に挨拶をする。
「夏希さん。堅くならなくていいよ。」
「あ、はい。ありがとうございます。」
「それで話って何かな?」
遠藤さんはさりげなくテーブルにレモンジュースを二つ置いた。
そしてさらりと私から唯人を抱き上げて自分の膝の上に座らせた。
すでに身のこなしがイケメンになっている。昔はもっとぎこちなかった。
慣れって凄い。
「あの私はそろそろ二人目をと考えているんです。」
「そうか。栞ちゃん二人目か!それもいいと思う。唯人もつかまり歩きするんだもんね。」
「うん。パパに抱かれているとすっごく機嫌がいいけど、いつもパパを独占できないから寂しいみたい。」
「そうかそうか!おおー!よしよし唯人ごめんな。もっと時間を作ってあげないとな。」
遠藤さんが唯人を抱き上げてよしよしすると、キャッキャと笑う。
唯人以外にも子供がいるし、女性陣の相手をしなければいけない遠藤さんは連日忙しいのだった。
「あのそれで。なっちゃんも子作りするって決めたじゃないですか?」
「そうだね。どうした?気が変わったかな?無理にはおすすめしないけど。」
遠藤さんはやはり気を使ってくれる。どちらに転んでもいいという意志表示だ。
するとなっちゃんが話し始める。
「あのすみません遠藤さん。私は今度初めてあなたに抱かれるのですが、そのときはしおりんと一緒が良いんです!」
「ああそういうことね。いいよ大丈夫だよ。」
さらりとオッケーしてくれた。
「は、はい。それじゃあお願いしたいです!」
「栞ちゃんもオッケーかな?」
「もちろんです。」
「わかった。じゃあ確実に子供を作りたいだろうし、チャージする日数を2日だけもらえるかな?」
「それはかまいません。皆さんにはどうしましょう?」
「大丈夫だよ。俺から話す。」
「ありがとうございます。」
「いいよいいよ。」
そして了承を得た私たちは遠藤さんの部屋を出た。
部屋に戻りなっちゃんとそのことについて夜まで話した。
本当に深い話までいっぱいした。
これまでの話もたくさん。
これからの話もたくさん。
私が大学で知り合って、なっちゃんと青春を過ごした日々はどれもかけがえのないものだった。
あの光輝いた日々はもう戻ってこないけど、これからの人生をこの人と過ごしたい。
そう強く思った。
それから2日が過ぎ
「じゃあなっちゃん。スイートルームにいこうか。」
「うん。」
なっちゃんを連れてスイートルームに向かう。
皆が気を利かせてスイートにした方がいいと提案してくれたのだった。
コンコン!
二人がスイートルームにつくと遠藤さんが出迎えてくれる。
「お疲れ様。何か飲むかい?」
「じゃあお茶を。」
「わたしも。」
二人がお茶を飲む。
そのあいだ遠藤さんは気を使わせないように軽い話をしてくれている。
「あの二人で部屋でお風呂に入ってきました。」
「二人で洗いっこしたりして。」
「ふふ。二人は本当に仲がいいんだね!見ていてこっちも幸せになるよ。」
「あの今日の子作りはなっちゃん優先でお願いします。」
「よろしくおねがいします。」
「わかった。じゃあ先の2回は夏希さんの中に。」
「ありがとうございます。」
「栞ちゃんはもしかしたら、今日のでは出来ないかもしれないけどいい?」
「いいんです!というよりこれからもずっとこの二人でお願いしたいんです。」
「二人がそれでいいのなら俺は一向にかまわないよ。」
「よかった!」
「遠藤さんって本当に優しいんですね!」
そして遠藤さんはベッドから立ち上がりバスローブを脱いだ。
バスローブの下は裸だった。
私となっちゃんもベッドの側に行って、二人でバスローブを脱ぐ。
もちろん下には何も着ていなかった。
「さあおいで。」
遠藤さんが優しくなっちゃんの手を引いてくれた。
そして
今日
私となっちゃんは親友から家族になった。