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第12話 再会 ー長尾栞編ー

そして・・唯人君と会う日が来た。



駅の改札は人でごった返していた。


とにかく先に待っていようと思って早めに出てきた。


今日の格好はデコルテを強調したオフショルダーのオーバーサイズの萌え袖感があるオフホワイトのニット。ボトムスはライトピンクのプリーツスカートと黒のブーツ、グレーのスカーフストールをアウターとして着てきた。ボトムに合わせたピンクのバックを持ってきている。


なっちゃんと話した結果、めっちゃくちゃあざと可愛いコーデになってしまった。



「しおりん!これでバッチリだよ!私でもクラクラくるわ」


「い・・行けるかな?良い?」


「良いなんてもんじゃない。これ以上のコーデは思いつかねえ・・」


「わ、わかった!これで行く!」



・・なっちゃん絶賛だしきっとうまくいく、どうしようだんだん緊張してきた。


今日は天気が良かった。


でもぬけるように天気が良かったので朝はちょっと冷えた。


ファッションは気合いだ!寒くても我慢するしかない!


と気合を入れてこの格好で来たのだった。


木枯らしのふくなかを足早に約束のカフェに向かう。ショップのガラスに映った自分のスタイルを気にしながら歩いて行く。


信号待ちをしていると斜め後ろから声をかけられる。


「おねえさん!ねぇねぇ・・」


《また・・ナンパだ。しかしこんなことはもう慣れている、足早にスルーして歩いて行く。》


ひとりで歩いていると声をかけられることが多かった。しかしいつもスルーしている、ナンパしてくる男なんてろくな人はいないと思う。


待ち合わせた約束のカフェについて席に座った。


すると白のワイシャツと黒のパンツをはいた女性の店員さんが水を持ってくる。


「ご注文はいかがなさいますか?」


「あのアールグレイをホットで」


「少々お待ちください」


時計を見るとなんと50分前だった。ちょっと早すぎたかもしれないが気持ちを落ち着かせるにはこのくらいでいい。


スマホでなっちゃんと連絡を取る。


-なっちゃんお店に来たよ


ついた?まだ彼はきてないよね?-


-うんまだ来ていない。


まあ、落ち着いて息を吸い込んで-


-わかった。落ち着いてる。


寝れた?-


-一応は。


目の下にクマなんて作ってないよね-


-だ!大丈夫コンシーラーとファンデで消してる


やっぱ・・寝れなかったんだ-


-だって仕方ないよ!


そうだよね。でも化粧で隠しちゃえばバッチリだよ-


-ありがとう!とにかく落ち着いて話すようにするよ。


とにかく冷静にがっつかないように-


-了解!


SNSで話しているうちにアールグレイティーが出てきた。


「ありがとうございます。」


まずはお茶に息を吹きかけて少し冷ましながら口をつける。


《おいしい・・おちつくわー》


まずは彼の話を聞かなきゃね?-


-うん!きっと大丈夫。


ファイト!-


-おー!


SNSでのやり取りを終わらせてコンパクトの鏡をみる。


よし!問題ない!


今日は軽く香水もふってきた。クラエのオードパルファム、ローズの香りをほんのちょっとだけつけてきた。


「あー緊張する。」


とにかく落ち着かせようと目をつぶって下を向いていたら声をかけられる。



「栞ちゃん!もう来てたんだ?」


早!!!


「あ、唯人君!おはよう!」


びっくりして立ち上がった。


「俺、少しでも早く来ようと思ったんだけど、栞ちゃんの方が早かったんだね。」


「ちょっとだけ・・たまたま早くついちゃったみたいな。」


「ふふ!そうなんだ。」


唯人君は対面の椅子に座った。唯人君はどちらかというと可愛い系の男の子だった。コートを脱いだらざっくりニットにゆったり目のデニムパンツをラフにはいている。正直とても可愛い恰好だった。茶色の短髪に凄く似合っていた。


「あ、俺も何か頼もう。すいません!」


「いらっしゃいませ。」


「あの俺も同じもの下さい。」


「かしこまりました。」


そしてお茶が出てくるまで二人で話す事にする。



しかし・・唯人君はなかなか話出さなかった。


《えっと・・どうしよう・・唯人君も緊張してる?》


どうやって会話をきりだそうか迷っているような感じだった。


「「えっと」」


二人の声がそろってしまった。二人同時に声を詰まらせる。


「ああの唯人君どうぞ」


「いや栞ちゃん何かある?」


「あ、話って何ですか?」


「ど・・どうして敬語?」


「そう、そうね。変よね。」



《私!ガチガチじゃねーか!どうすんだよ!これ!》


「あの栞ちゃんは・・サークルには戻らないんだよね?」


「うん。なんか気まずくて行けなくなっちゃって。」


「そうなんだ。実はさ・・俺も辞めちゃったんだ。」


「え!そうなんだ!唯人君も!?」


「うん、栞ちゃんがいなくなってなんだかつまらなくなっちゃってね。」


えー!私がいなくなってつまらなくなった?どういうこと?


「私のせい・・ごめんなさい!」


「いやいや!栞ちゃんのせいじゃないよ!あの合宿であんなことあったから。」


「うん。」


「それで俺もなんだか栞ちゃんと疎遠になっちゃったなって・・ずっと気になっちゃってさ。」


《きた!なっちゃん来たよ!間違いなくこれは!たぶん間違いないよ!》


「それでわざわざ話をしに?」


「う、うん。なんだかテニスサークルの時と違って、今日の雰囲気がすっごく女の子っぽいから緊張しちゃってるよ。」


「私も緊張してたりします。」


「だから!なんで敬語?」


「「ふふ」」


「「あははははは」」


なんか二人で吹き出してしまった。


「お待たせいたしました。アールグレイです。」


「あの・・栞ちゃん。甘い物食べない?」


「食べる!」


「じゃあこの生クリームたっぷりのシフォンケーキなんかどう?」


「食べる―!!」


店員さんは、微笑ましく二人をみて注文を取っていった。


《よし!第一関門は突破したはず!》


私は心の中でガッツポーズをとっていた。

次話:第13話 水族館.

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