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第11話 勝負下着 ー長尾栞編ー

土曜日の朝になっちゃんのアパートに迎えに行った。


なっちゃんは普通のアパートの3階に住んでいた。1階にはオートロックはなかったのでそのまま3階に上がっていく、なっちゃんの部屋に鍵は2つあり普通の鍵と電子カードの二つが無いと開かないようになっていた。


通路側の窓には頑丈な格子がついていて防犯対策はバッチリな部屋だ。


ピンポーン


「はーい」


「おっはよー」


「しおりーん。今日の服もかわいーねー。」


私はトップスが黒のニットにボトムはライトブラウンのフレアロングスカート。アウターはノーカラーのベージュウールコートだった。靴はエナメル素材の黒ブーツ。


地味目だが無難にまとめて出かけてきた。


「なっちゃんは何着ていくの?」


「私はこれー!」


ブラウンのUネックニットに、ボトムスにラフなヴィンテージ風のデニム、アウターはオーバーサイズのブラウンチェックショートコート。茶のブーツを合わせている。バックはベージュ色のレザーポーチを持っている。元気な感じで薄い茶色の髪に凄くあっている。


私達は、まるで姉妹の様にカラーを合わせて買い物に出かけるのだった。


なっちゃんと電車に乗り好きなショップのある駅で降りた。ビル街に入るとビル風が吹き抜けてちょっと寒かった。


「でさ、なっちゃん!私はどこに行けばいいの?」


「シュシュランナに行こう」


「ああ。下着の専門ショップだ。」


「いーっぱいの中から選ばないとね。」


「わかった!じゃあさっそく!」


「まあしおりさん・・慌てなさんな。まずはカフェに行こうよ」


「そ・・そうだね。もっといろいろ相談したい事あるし。」


二人はチェーン店カフェに入った。午前中ということで店内には人がまばらで、ゆったりと話せそうだった。二人でカウンターで飲み物を頼みテーブル席に座る。


「でさ、しおりんはどうしたいの?」


「ど、どうって。普通に・・」


「普通ってなによ」


なっちゃんが笑いながら言う。


「普通にデート出来たらうれしいけど、唯人君の話ってなんなんだろう・・」


「そうよねー。話って改めて言われるとかしこまっちゃうよね。」


「うん、遊ぼう!の方が気楽だったかも。」


「でも真面目な唯人君らしい誘い方で良いんじゃない?」


「でも私なんかでいいんだろうか・・」


「しおりん!なーにいってんのよ!一般的にいったらしおりんは86点いや・・92点くらいの女よ!」


「92点ももらえんの?じゃあなっちゃんは95点じゃん!」


「はぁ?美的感覚どうなってんのよ。私はせいぜい79点よ。」


「びみょー!そんなことないよ!」


二人で不毛な点数付けを始めたりした。


「話かあ・・きっとキャンプの時の話じゃないかなあ。」


「そうだよね。彼が事件現場にしおりんと一緒にいたしね・・それかサークルに戻る戻らないとか?」


「あーありえるわぁ・・」


「そうなったらどーするの?」


「正直言うと行きたくない。」


「だよねー。しおりんの思った通りで良いと思うけどね。」


話しているうちにだんだんと気分が落ちてきた。


「あー!なっちゃん!私の代わりに唯人君に会いに行ってきて!」


「あんたちょっと何言ってんのよ!」


「だって怖いんだもん」


「当たって砕けろよ。誘ってきたのあっちだしきっと悪い事はなさそうだけど・・」


「そうかな?だよね?」


二人は1時間ほど会話した。だんだんと全く違う話になって楽しいティータイムをすごしてしまった。



「しおりん。じゃあ行こうか?」


「そうするー」


カフェを出て繁華街の方に向かって歩く、人通りも多くなりすれ違うのも大変なくらいだった。


「ここだよ」


「うわあ、かわいい。」


下着ショップは白基調の壁に薄ピンク、アルファベットでshushu lannaと書いてある。早速店頭のディスプレイにはおしゃれな下着が上下で飾ってあった。


「さてとーしおりんさん!選びますか?」


「うん」


二人でショップの中に入り店内を物色し始める。あれが可愛いこれが可愛いとはしゃいでいた。


「わたし勝負下着を買いに来たんだったっけね・・」


「どれにすんの?」


「勝負下着とか言われてもなあ。こ・・これかなぁ?」


私が手に取ったのは、前が総レースのスケスケで腰が紐になっている真っ赤なTバックだった。


「あ・・あんたはおっさんかい!!しおりん!そんなのはいてったら唯人君ドン引きだよ。」


「えっ!そうか!そうだよね!」


顔が赤くなる。だって勝負下着っていうから・・こういうのじゃないの?


「しおりん!もっとあざとく、かわいいながらもセクシーさを醸し出したものはこうよ!きっとさ唯人君もそういうことには慣れていないだろうから、薄いピンクとかパープルとか色はそういうのにして、デザインはいかにも可愛い!ってのを選ぼうよ。」


「あ、あう・・わかりました。」


そして二人であーでもねえこーでもねえといいながら、選んだのは脇の一部がレース使いになった薄いピンクのブラとショーツだ。上下で9500円もする、私の下着購入歴からしても一番高い下着だ。


「ああ・・買っちゃった。」


「しおりん、これで万が一の時は大丈夫だね。それを披露するところまでいったら大したもんだ。でも備えあれば憂いなしってだけだから!しょっぱなから期待しすぎないようにね。」


「もちろん!わかってるよ。万が一だから・・たぶんそんなことにならないだろうし、きっとなるとしても先の話だし・・」


「そうそう!とにかく準備はできた。」


「よし!いくぞ!」


「しおりんからがっつく事の無いようにね!まあないとは思うけど・・。あくまでも自然にあざと可愛さをみせて、明日は袖の長いニットで行こう!今日みたいなシックな格好にしないでね!

あ・・これからしおりん家いってコーデ決めしようよ。」


「お前は私の姉さんかい!」


「おのれが浮足立ってるからじゃろがい!!」


「「うふふふふふ」」


二人で私の家に向かうのだった。

次話:第12話 再会.

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