第104話 私が選ばれた日 ー長尾栞編ー
当初予定していた遠藤さんの遺伝子の試験のために子供を作るという計画が進み始めた。
医学的な考察や指示はもちろん全て華江先生がやることになっている。
子作りやその過程については遠藤さんの正妻になる優美さんが取りまとめることになった。
後日、沙織さんと私が私の部屋で話をしていた。
「本当に優美さんが取り仕切る事になっちゃったわね。」
「ええ私は本当にこれで良かったと思っています。」
「まさに一番理想的な相手になったという感じがするわ。」
「大奥の総取締でしたっけ?まるであれですよね?」
「ホントだわ。大奥総取締!高橋優美にございますって感じよね。」
「ふふっそんなにかたっ苦しい人じゃないですけどね。」
「そうね。」
二人は優美さんについて話をしていた。
彼女は何だかんだ言って責任感が強かった。
おそらくみんなの事を誰よりも考えて遠藤さんの事を考え、その結果が遠藤さんのハートを捕まえたという感じだった。
「でも次の相手・・中3日経ったから今日がその日よね?」
「そうですね。さてどうなるんでしょう?」
「本当にドキドキするわ。」
「私もです・・」
そんなことを話していると部屋の内線がなった。
プルルルルルルル
ドキ!っとした。なんか悪い事話しているわけでもないのに・・ドッキリした。
「はい・・」
「あ、栞ちゃん?」
「はい。」
「優美です。」
きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ来てしまった!!
「なんでしょう?」
「私の部屋に来れるかしら?」
「行きます。」
「待ってるわ。」
そして内線を切る。
「沙織さん・・どうやら優美さんから電話が来まして、部屋に来てくれという事なので行きます。」
「あ、ああ。それじゃあ行ってらっしゃい。」
「行ってきます・・」
「あの!栞ちゃん。」
「なんでしょう?」
「がんばって!頑張ってね!」
沙織さんは私を励ましてくれたけど、少し羨ましそうな寂しそうな顔だった・・
私は心臓が飛び出そうだった。
身支度をして優美さんの部屋に向かう。
廊下を歩いているとあゆみちゃんがいた。
「あー栞さん。ゲームしません?」
「あ・・ごめんね!ちょっと今日は用事が・・」
「そうなんですねー?残念です。じゃあまた今度!」
そしてあゆみちゃんとすれ違う。
どことなく後ろめたい気がした。
《いや!後ろめたくなる必要なんてない!みんなで決めたことなのだから。》
優美さんの部屋は私のフロアの上にあった。
階段を一段ずつ上るが・・ドキドキが止まらない。
コンコン!
優美さんの部屋をノックすると中から優美さんが出てきた。
「栞ちゃんごめんね急に呼び出して。」
「いいんです!いいんです!」
「あの・・わかってると思うんだけど・・」
「はい。」
「とにかく中に入ってね。」
優美さんに連れられて部屋の中にはいる。すると遠藤さんがいた。
「栞ちゃん。わざわざごめんね。」
遠藤さんが頭を下げる。
「いえいえ!いいんです。あの話ですよね?」
「はい。」
遠藤さんと優美さん、そして私がテーブルを囲んで座る。
優美さんがお茶を入れてくれた。
ティーカップから湯気が立つ。
「まあどうぞ一服。」
「ありがとうございます。」
美味しい紅茶だった。
回収した中にそういえばいろんな紅茶あったっけな・・そんなことを思う。
「やっぱりね。最初は私は栞ちゃんかなって思ったんだ。」
「そうなんですね?でもなぜですか?」
「私たち二人の意見が重なったから。」
「二人の・・」
遠藤さんと優美さんが同意見だったと聞いて驚く。
「あのね、最初に遠藤君と結ばれようとして失敗した日。あの日栞ちゃん私を励まして送り出してくれたでしょう?」
「はい。」
「あの時思ったの。この人は私の事凄く考えてくれているんだって・・あと近頼の事が凄く好きなんだよね?それが伝わったの。」
「はい。」
「俺もね・・栞ちゃんが好きなんだ。優美さんの前で言うのもおかしいんだけど、栞ちゃんは大事にしたい人だなって思った。」
「ありがとうございます。」
「まあ・・皆大切な仲間なんだけどね、遠藤君の意見の方が強かったかな。だからね遠藤君の気持ちを考えて、最初は栞ちゃんだってそう決めたの。」
二人は私の気持ちも考えてくれているため、言葉を選びながら話をしてくれた。
二人のおかげですんなりと受け入れることが出来そうだった。
「ただ一つ聞かなきゃいけない事があって・・生理から何日くらいったった?」
そうだ。やはり目的は子作りだから・・きちんと考えないといけない。
「2週間です。」
「なら良さそうね。でも初めてだから凄く怖いと思う。」
「はい。」
「近頼は・・栞ちゃんに優しくしてあげてね。」
「わかった。」
「じゃあ栞ちゃん!準備があるでしょ?お風呂に下着にお化粧に!自分の思うとおりにやっていいわよ。」
「あのそれなんですが優美さん。一緒に私の部屋に来て教えてください。」
「わかったわ。じゃあ近頼は部屋で待っててね。」
「わかった。」
私は優美さんと一緒に自分の部屋に向かう事になった。
部屋に入ると優美さんはまずシャワーで体を綺麗にするように言う。
「はい。」
シャワールームに入って体を綺麗にしている時だった。
優美さんも裸になってシャワールームに入って来たのだった。
「あ・・あの・・」
「大丈夫よまかせて。」
何が行われるんだろう・・
優美さんが私に手を伸ばしてきた。
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