第102話 ビッチ正妻 ー長尾栞編ー
皆が興味津々の朝食の席で、遠藤さんは自分が選んだ相手を指さした。
その先に座っていたのは・・
「・・・・・・・・・・・・・・・」
朝食の場がシーンとなった。
そこにはコーヒーを飲んでいる高橋優美さんが座っていた。
え!意外!だって・・遠藤さんは優美さんと一番最初にしようとして、出来なくなってしまった原因になった人だったから・・勝手に違うと思っていた。
たぶん・・恐らく・・全員が。
「あ・・あの・・私みたいなビッチですみません!」
優美さんがものすごく申し訳なさそうに言うが、麻衣さんと翼さんがフォローする。
「え?どうして謝るの?」
「そうだよ!」
「えっと・・二人はもう知ってたの?」
華江先生が麻衣さんと翼さんに聞く
「はい。彼女から話をされていましたので・・」
「私も数日前に教えられましたから・・」
「そうなのね・・」
「結果も聞きましたし。」
「私は選ばれたのが優美さんで、本当に良かったと安心したんですよ!」
麻衣さんと優美さんは既に知っていて結果も分かっていたらしい。
優美さんが慌てて話し出す。
「皆が黙っちゃうのもわかりますっ!だって男性経験豊富なビッチですもん私・・ははは。私が遠藤さんを好きなのは本当ですけど、遠藤さんが私を選ぶなんて、私自身信じられませんでしたから!」
顔を赤くして弁解しているようだ。
「何言ってんのよ優美。優美はビッチじゃないって!勝手に遠藤さんが選んでくれないと思ってたのアナタじゃない。」
麻衣さんが微笑みながら優美さんに言う。
「だって・・最初のあれを失敗したし、パパ活したりしてたし、貢物もらってたりしたし・・遠藤君は絶対私なんか好きじゃないと思ってたから!」
「何言ってるんだか・・そんなの好きになるのに関係ないと思うけど。」
翼さんが言う。
どうやらこの3人は既に納得づくでそれを受け入れているらしい。
「そうです・・そうですよ!」
私が翼さんの意見に賛成する。
「人を好きになるのって、そんな過去とか条件とかじゃないと思います!だから凄く素敵なことだと思います!」
私は話しているうちに感極まって来た。
「だって・・私だって!遠藤さんが好きだもの!みんなと子供を作らなきゃいけない遠藤さんだけど、私は遠藤さんが大好きだもの!」
ポロポロと涙が出てくる。うれしいような寂しいような気持が心に広がった。
「あら・・なーんか勝手に告白しちゃって!私も遠藤さんが好き!」
ほろりと涙を溜めて未華さんが言う。
「あー・・ずるーい!私も友達の優美に取られて傷心モードなのにぃ・・」
麻衣さんもどうやら優美さんがうらやましかったようだ。
「あの・・私も・・私も・・」
沙織さんが言いだせない事を言うようにしているが、言葉が出ないようだ。
「うふふ。遠藤君モテモテじゃない!」
華江先生が笑って遠藤君を祝福している。
「本当だわ・・遠藤君こんなかわいい子たちに愛されて贅沢ね。」
あずさ先生も感動したように言っている。
「あの・・うちの里奈もね・・遠藤さんが好きで好きでたまらないんですよ。」
「瞳さん!そんな勝手にばらさないで下さい!」
「まったく・・シャイだから。里奈は・・」
少し場に笑いが生まれた。
「なーんだ里奈もか・・」
あゆみちゃんもどうやら里奈ちゃんと同じ気持ちだったようだ。
「私も遠藤さんになら好きな事好きなだけされても、文句はなかったのにぃ。」
愛奈さんが爆弾発言。
「私も・・遅い経験ですけど・・初めてをもらってもらうのが遠藤さんなら本望ですよ。」
翼さんも自分の気持ちを打ち明けた。
「私だってそうです。この体を自由にしてもらっていいんですよ!遠藤さんなら!」
奈美恵さんが大きな胸をぶるんぶるん言わして言う。
少し笑いが漏れた。
皆が祝福ムードで遠藤さんと優美さんを囲んで話はじめる。
これで本当に良かったと思う。私もあの日、優美さんから遠藤さんが好きだから抱かれたい!と聞いた時はうまくいけばいいと思った。
「どうやら優美さんで良かったみたいね」
華江先生が言うと優美さんはニッコリと笑って頷いた。
「ありがとうございます。」
遠藤さんも好きな人を見る眼差しで優美さんを見つめる。
「本当にすみません。俺がはっきり皆に言わなかったからこうなったんです。実は・・最初に失敗したあの日・・気持ちは決まっていたんです。」
「へー!あの時だったんだ!」
あずさ先生が思わず驚きを口にする。
「はい。朝の4時まで・・二人で努力しました。もう彼女の体の隅々まで見てしまい・・俺も体の隅々まで・・まあ具体的な話は省きます!!とにかく!彼女は一生懸命だったんです!後に続くみんなが待っているからって必死で・・でも俺がダメだったから。」
「いや。遠藤君は悪くないわ。だって初めてなんだから・・むしろ私がもっと上手に出来ていればよかったの。それがあまりにも必死になりすぎて・・ダメになっちゃった。ごめんね。」
ふたりの会話を聞いて、やはりこの二人は息が合っていると思う。
皆が納得している。
「優美さんの名誉のために言いますと、きっと彼女は上手だと思います!それなのに俺が反応しなかった・・緊張してましたから。でも華江先生の治療のおかげで昨日ようやく上手くいったんですよ!本当に皆のおかげだと思っています!」
「私はそれほど協力してないわ。それで・・何回かできたのかしら?」
華江先生が冷静に二人に聞く。
「あの・・4回。」
「はい・・」
「上出来じゃない!」
全員の顔が赤くなるのだった・・
次話 第103話 選手の管理をするかの如く.