イエロー・マーク
別に彼女が欲しいだけなら、俺を指定なんかしないよな。俺が好き? だけど男じゃ嫌だ? う〜ん。そんな野郎の気持ちなど理解できるはずもない。それに俺って…恥ずかしいけど童貞。その童貞さんが、自分の童貞を捨ててないのに…何故、処女を奪われなければならないのかっ!
「うん、男はキモい…。これは決定だな」
カフェテリアで、ランチセットBを食べながら、俺は呟いた。
「うん! 男はキモい!!」と普段はおしとやかな姫までも賛同する。
確かに、姫が男の子と話している姿って、余り見ないよな…。
ぽっこりと出たお腹をスリスリしながら教室に戻ると、小沢 りくが女の子たちに囲まれていた。えっ!? まだ続いてたの??
「ほら、早く、若菜ちゃんに謝りなさいよ」「男らしくないわね」「女の子いじめても良いと思ってるの?」「若菜ちゃん泣いてたじゃない!?」
そんな言葉を聞いた姫は激高する…。
「いじめた? 若菜を? これは、どういうことかしら?」
姫は JS雑誌のJSモデルだが、趣味で…ロシアの軍隊格闘術システマを習っているから、怒らせるとマジ危険!! 慌てて止めに入った。
「待て待て、いろいろ誤解があるみたい。男はキモいけど、小沢くんは…良い人だから!!」
その後、10分ぐらい姫を説得するのに時間がかかった。もう、昼休みが終わっちゃったじゃないか。ト、トイレ行きたかったのに…。
5時間目の授業は地獄でした。女の子はトイレに行かないという妄想。小学生男子の夢を守るために必死にトイレを我慢した。授業中にトイレに行く女子など、この世に存在しないだ。
「はぁ〜ふぅ〜」と個室の中で、ミッション達成に安堵する俺だが、マイナス点を付けざるを得ない事態に発展していた。そう…黄色いマークが下着に付いていたのだ。
無事、トイレットペーパーに液体をトランスポートさせた後、しれっと個室から出る。ふふふっ。まさか、お漏らしの事故処理をしていたことなど…誰も気付かないだろう。
「若菜ちゃん、大丈夫だった?」
「えっ!? な、何が?」
「授業中、ずっとモジモジと股間押させてたから…。わたしまでトイレに行きたくなっちゃたよ」
そう、ぶっちゃけるのは、姫の自称親衛隊である井口 真帆である。
「バレてたのね…。うん、ギリギリ…」
「アウト?」
「うん…。あっ!!」
「ふふっ。若菜ちゃん可愛いな。そのこと黙っててあげるから、一つお願いがあるの」
「えーっ。めんどくなければ…」
「今度、姫ちゃんの家に行くことあったら、私も誘って欲しいの」