表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/65

氷の世界

女子の世界。それは…氷の世界だ。その氷の世界で、いかに…暖かな【こたつ】を手に入れられるか! それはとてもとても重要なことだ。そう…二宮 姫という…すっごい【こたつ】を手に入れた俺は、すっごくイージーモードだ。


姫の周りには、絶え間なく女子が群がる。数は力だ!! 群がる数が多ければ、自然と…クラス内のイニシアティブを手に入れ、そして同年代のイニシアティブさえもゲットする。そんなヒエラルキーの頂点にいる姫のすぐ横に俺がいるのだ。マスコットキャラとして…。


「もう若菜って可愛いよね」


高校1年の先輩の膝の上に座らせられて、頭をボンボンと叩かれる。小中高一貫校の昼食は、教室単位ではない。体育館の2倍ほどの面積を誇るカフェテリアで、小中高の全生徒が同時に昼食を取るのだ。


現在、20人掛けのテーブルに陣取っているが、その周囲のテーブルも姫グループの子・孫・ひ孫グループで固められているのだ。より姫に近づくために水面下では恐ろしい戦いが繰り広げられている。


まぁ、そんなことより、この先輩の名前は、森重 繭。高校3年で生徒会長の森重 聖の妹だ。この学校での重要なステータスの一つに上下関係がある。より上の年代の強力な権力を持つ生徒と繋がることは…力なのだ!!


そして俺は、頭どころか、胸や太ももをスリスリされても嫌な顔ひとつしない人形を演じている。なぜなら、突然、こんなセクハラ行為をやり始めるわけはない。きっと…昔からヤられていたのだろう。俺には、女子版の過去の記憶がない。もう…なされるがままなのだ。


それに俺が単独でこんな先輩と知り合えるわけがない。きっと姫のコネクションの一つだろう。ならば、姫の邪魔をしないように、じっと我慢だ。痛かったりするのは嫌だけど、スリスリされているだけだし…。ちょっと気持ちいいし…。


「で、今日は、どのような御用でしょうか?」セクハラに耐える俺を気遣って、姫が単刀直入に質問する。


「えぇ、今日は、この若菜ちゃんに用があって来ました。放課後に生徒会室へ来て頂けますか?」


はぇ? 【生徒会室】とは、この学校内での最高権力者達が集まる…権力の深淵である。ちなみに姫は、その権力に真っ向勝負できるメディアという異なる権力を保持している。


「あ、あの…。若菜ちゃんが…何か問題でも?」フリーズする中、代表して姫がまた質問した。


「今日の早朝会議でね。若菜ちゃんの事が話題に上がってね。ふふっ。怖がることはないわよ。でも大事なお話があるの」


コクコクと頷く俺。ちょーこえー…。


「あの…。私も同席してもよろしいでしょうか?」と姫。


「いいえ。姫ちゃんのお願いでも無理よ。これは若菜ちゃんの問題。へんに首を突っ込まないほうが良いわよ…。例え…あなたでも…」


繭先輩が去った後も、微妙な空気が流れたままだ。最高権力同士の戦いにある意味、姫が負けたのだ。そして俺は涙目…。


「若菜ちゃん、何かあったら言ってね。全力で護るから…」


負けムードをふっ飛ばすかのような宣戦布告とも取れる発言に、周りの姫グループも息を吹き返したように雑談が始まった。


そして、教室内の時計をジッと見つめる俺。あぁ…時間止まらないかな…。


生徒会室に呼ばれる理由は、【俺の知らない過去に何かあった】または【女の子になったのがバレた】のどちらかしかないだろう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ