大いなるNG
作って、壊して、作って、壊して、作って…「どーんっ!」「きゃはははっ!!」
輸入物のクッキーよりも日本製の安いクッキーを選んで食べる。食べながら、桜と真帆が四歳児と遊ぶ姿を姫と眺めていた。
四歳児の男の子。名前はゆーくん。本名は知らない。積み木を桜と真帆が大まかに組み上げると、ゆーくんが「どーんっ!」と壊す。何が楽しいか知らないが、1時間ほど繰り返している。
「本当に助かったわ。ありがとうね。若菜ちゃん」
チラッと真帆が睨むので、ここはヨイショしておかなければ…。
「ううん、遊んであげてるのは、桜ちゃんと真帆ちゃんだから」
紅茶とクッキーでお腹がポッコリと膨らみかけたころ、ダイヤル式の黒電話が鳴る。
※この世界にはスマートフォンなどございません。
電話を終えた困った顔で姫が戻ってきた。
「はぁ…。どうも…あっちでの事情が思わしくなくて、今日は帰って来れないみたい…」
聞き耳を立てていた真帆がピクッと反応する。そして睨まれた…。どうしろと!?
「ま、真帆ちゃんってお泊りOK?」
コクン、コクンと猛烈に首を振る。せ、正解だったか・・・。
「じゃー、真帆ちゃんとお泊りするよ」
「本当っ!?」超絶子供嫌いな姫が涙目で喜ぶ。
「若菜ちゃん。私も泊まるぅ〜」と桜まで参戦する。
お泊りとなり盛り上がる二人は…。
「ゆーくん、何食べたい? お姉ちゃんたちと一緒にご飯作る?」
「うん。おねーちゃんといっしょにつくる!!」
うはっ…。女子力たけーな…。
真帆の策略により、真帆と姫とゆーくんでお買い物に出かけた。残された桜と俺は、人様の家で…。
「ねぇ。若菜ちゃん。あの…ちゅってしたい…」
アレ以来…二人だけになるとキスを迫られるのだ。あぁ…桜と真帆が結託したんだと理解した。別に嫌じゃないので、桜と抱き合いながらキスをする。濃厚なキスだ。しかし…桜の手が…。
「ちょっ! そ、そこはNG。大いにNG。絶対NGだお!!」
下着の底。性の深淵たる最奥聖域に手をツッコむなど!!
「駄目なの?」
そんな可愛い声の上目遣いでお願いされても駄目なのだ。絶対に…。なろう的にも。