旅
私は今、田園風景の広がる農村を歩いている。
遠くには水車小屋が揺ったりと回っている。
気が付くと私の回りを子供達が取り囲み、とおりゃんせを歌いながら手を繋ぎ道を塞いでいた。
子供達を良く見れば、皆一様に不思議なお面を付けていた。
ふと、私は何の気無しに空を見上げる。
雲がとても近く感じられ、掴めるのでは無いかと手を伸ばした。
雲を掴んだ手を離すと、私は鳥になっていた。
遠く、遠く飛び続けて荒野へと辿り着く。
そこでは甲冑を身に纏う侍達が顔を俯かせ黙々と歩いていた。
私が一緒になって歩いて行くと、道は途中で消えていた。
私は今度は蝶になり、その先へと進む。
深く暗い森に辿り着いた私は、森の中で三人の子供に会った。
一人は右に行けと言った。
一人は来た道を戻れと言った。
一人はこのままここで待てと言った。
私は四人目になり真っ直ぐ進めと言った。
三人は笑いながらクルクルと回り、左へと走り去って言った。
私は蛇になる。
地を這って進むと、美しい小川に辿り着いた。
一匹の狐が現れて私に言った。
「貴方はどなた?」
私の旅はここで終わった。