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「神の星渡し」(かつて勇者と呼ばれた男 その息子の道程)  作者: 聖 ミツル
第1章 現世界編
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第6話 ーーー幼女とケントそして異世界へーーー

 




「あっ!ミキちゃん迎えにいかなきゃ」


 ケントは、幼稚園の迎えの時間が過ぎてる事を思いだした。

 携帯の時間を見て、20分過ぎてる。

 幸枝さんは、今週、準夜勤なので、迎えを頼まれていたのだ。


 バックから財布を取り出そうとしたら、


「そうでした。幸枝殿は、仕事でしたね。ここは、私が、払います。ケント殿お行きなさい。私達も、そろそろ、行きましょうか? 帰りは送りましょう」


 京子さんも、すっかり忘れていたようだ。


「キシキ君、ごめんね。長くなっちゃって」


 アマカワさんが済まなそうに言う。


「用事があるなら、言えばいいのに。でも、ありがとう。相談にのってもらって」


 シラトリさんは、いまいち素直じゃ無い。


「いいよ。こっちこそ、それじゃ」



「ミキちゃんってだれですか?」


「ミキ殿は……………………」


 背後にそんな会話が耳に入る。

 京子さんは、アマカワさんの質問に答えているようだった。


 店を出る。辺りは薄暗くなっていた。

 時間がないので、ケントは走っている。

 ケントにとって、同年代の人、しかも、女子と話をしたのは久しぶりなので、少し興奮してる。

 自分でも、結構、上手く話せたと思う。


(でも、なんでだ?いつもなら会話も出来ないのに……あの二人には、そんなに緊張しないで話ができた。京子さんがいてくれたからか?うーん、わからない。ミキちゃん、怒ってなければいいけど……)


 その予想は、甘かった。

 幼稚園に入ると、ミキちゃんがふくれっ面で出てきた。


「ケン兄ちゃん、遅いよーー!」


 やはり、怒っていた。小さな体を左右に動かしながら、抗議してる。


「ごめん。ごめん。ちょっと用事ができちゃって……」


 何とか許してもらおうと、ご機嫌をとる。


「夕飯、ハンバーグにするから、ゆで卵もつけるから」


 この二品は、ミキちゃんの大好物だ。これで、駄目なら後がない。


「うーむ。わかった。あと卵焼きも、甘いやつ」


「もちろんさ。ちゃんと作るよ」


「プリンも食べたい」


「デザートってこと? ごはんちゃんと食べれたらね」


「違うよー。ごはんと一緒だよ」


「うーむ、それはダメだよ。それなら、トマトをつけちゃうよ」


「えっ〜やだ〜。トマト嫌い!」


「じゃあ、プリンは、ご飯を食べてからね」


「わかった」


 交渉成立だ。

 先生達にお詫びをして、二人で家に急ぐ。

 あちこち動き回って危ないので、おんぶすることになった。

 ミキちゃんは、今日、幼稚園での出来事を、一生懸命話す。


 公園をショートカットして行くと家に近いので薄暗くなった公園を歩く。向こうから、さっきの女子達が来た。

 どうやら、目当てのお守りをゲットしたみたいだ。 向こうも気がついたみたいで、京子さんが手を振っている。


 合流すると、いろいろ質問責めにあった。


 そして、


「ミキちゃん、かわいいね」


「ミキちゃん、マジ天使みたい」


「おんぶしてもらって、これは、これで……」


いろいろな賞賛を浴びて、ミキちゃんは自慢げだ。



 その時、妙な感覚が走った。

 電線で休んでた鳥達が一斉に飛び立つ。

 公園の木々が、風もないもに揺れ出す。


「いかんっ!」


 みんなの足元が赤く染まった。


 みんな、 びっくりした。

 京子さんのこんな真剣な顔初めて見た。どこにしまってあったのか、腰のあたりから長い棒みたいのを取り出し、みんなに握るように言った。


「強く握って!絶対離さないで!」


 必死に叫ぶ。

 みんな、言われるままに、差し出された棒を何とか握った。

 身体が動かない。

 ミキちゃんは、俺にしがみついたままだ。


「こんな短期間に、再度の召喚とは。あり得ない。この魔力、やはり奴の仕業か…。座標位置をずらさなければ、全滅だ……」


 最後の方は聞き取れなかった。


 ケント、コトミ、リリナ、京子、ミキ。

 この五人を包み込むように、激しく光った。



 そして、この五人はこの世界から消えた。







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