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「神の星渡し」(かつて勇者と呼ばれた男 その息子の道程)  作者: 聖 ミツル
第1章 現世界編
1/78

ーーープロローグーーー

 





 琴美コトミ莉里奈リリナは幼馴染だ。


 この春、同じ高校に入学したばかり。


 この高校では、入学早々、人間関係構築と称した林間学校の課外行事がある。 創立以来続く伝統行事らしいが、2日目の山登りが結構きつい。


「もう足が疲れたーー」


 リリナは、体力はあるが山登りは苦手らしい。


「私も、無理 」


 コトミも根をあげている。


「まだ頂上まで半分よ。しっかりしなさい」


 担任の若林先生が、水をがぶ飲みしながら指導している。


「先生、説得力なさすぎるよ」


「可愛い顔が台無しだよ」


 確かに、若林先生は、可愛い先生だ。20代半ばだというのに、同じ歳ぐらいしか見えない。 本人は、その事を気にしてるらしい。いつも不釣り合いなスーツを着ている。

 でも、今日はジャージ姿だ。山登りにスーツはさすがに着れないだろう。そのせいか、いつもより3割増しで幼い。


(私も年かな、3キロも太ったし…でも高校生に負けてられないわ...…)


 ブツブツ何か言っているが、先生の名誉の為、スルーしておこう。



 四月中旬だというのに今日の日差しは真夏並だ。

 木々はまだ蕾のままで葉を身につけてないものもある。

 鬱蒼とした感じは無く、登山道も初心者が安心して登れるように整備されている。

 この中腹地点の休憩場所からは、勾配がきついらしい。



「ここで終わりでいいじゃん。もう戻ろうぜ」


「そうだよ。やってらんねーよ」


「ここで飯くって帰ろうぜーー」


 やる気のなさそうな男子生徒達がさわいでいる。


「そんなこと言わないの。頂上でお弁当食べた方が気持ちいいでしょ。それにここには、お弁当がありません。他の先生が頂上まで車で運んでくれるんだから」


「チェッ!車かよーー」

 

「楽してんなーー」


 余計に騒がしくなった。


(本当にもう、近頃の高校生はーー)


 先生がまたブツブツ言いだした。




「あれ、コトミ、靴ひもほどけてるよ」


「本当だ。ありがう」


 コトミは、くの字になってた靴ヒモを結び直す。

 反対側も解けそうだったのでついでに結び直しておく。


「手が汚れちゃったから、洗ってくるね」


「私も行こうか?」


「ううん。大丈夫 」


 コトミは、水道のあるとこまで歩き出す。


 その時、


「何あれー!変な雲 」


 女子生徒が山の頂上を見ながら叫びさだす。

 そこには、確かにこの晴天には似つかわしくない薄暗い雲が渦を巻いていた。


 コトミは、みんなが騒いでるのを聞いていたので、一目見ようと振り返った。

 しかし、バランスを崩したのか、足下がふらつき、近くにあった50センチぐらいの石に手をついてしまった。



  『 見〜つ〜け…た…』



 突然、コトミの頭の中で、地の底から這うような言葉が広がった。


 恐怖で身体が動かない。


 すると、突然、足下が赤く光った。



 コトミは、この世界から消えていた。






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