第二章
今回は15禁などではないので、みなさん安心して読んでいただけると思います。
翌朝、マイケルはいつものように登校した。
先日のおしおきのあともすっかり消え、何事も無かったような顔をしている。
彼は、「デビル・エンジェル・ヴァンパイア」という特殊な種族である為、これは、その名の通り、悪魔、天使、吸血鬼の血がすべて混じっている種族で、傷もすぐ治ってしまうのである。
校門をくぐると、さっそく一人の女性が挨拶がてら話しかけてきた。
「マイケル〜!!おはよー。昨日メールしたのに何で返してくれなかったの〜??寂しかったんだよ??」
こいつはチェリーである。3ヶ月ほど前から、彼女の猛烈アタックに折れて付き合っているが、正直、マイケルはあまり彼女のことを気に入ってはいない。
むしろ苦手なタイプである。
「ああ、ごめん。昨日は・・・ちょっと忙しくて。」
彼はそう言ってご機嫌取りのために、傍によって来た彼女の頭を優しくなでた。
彼女は彼のいつも通りの優しい行動に満足したのか
「別にいいけどね。」
と、あっさり彼を許した。
ご機嫌取りに成功し、ひとまず安心した彼の元に、次々と女性たちが集まってくる。
彼が校門をくぐって10秒足らずで、マイケルの周りはあっという間に女性だらけになってしまった。
一人一人が言いたいことを同時に言うので、聞くだけでも一苦労である。
しかも、そのほとんどが彼の意見を求めているのでウザイ。
彼はうん、うん、といつものように相づちをうってその場をしのいだ。
朝からこれだと正直結構キツイ。
彼はため息をつきながら教室のドアを開けた。
すると、もうすでに登校していた女子たちがまた集まってきた。
しかし、その中に、人ごみをかいくぐって、というより、人ごみが彼女を避けている、といったほうがいいだろう、一人の女性が姿を現した。
クラスの裏番長的存在のリカである。
彼女は両手を彼の首の後ろに手を回し、上目遣いで彼に話しかけた。
「おはよ、マイケル。今日も彼女と一緒に登校??仲睦まじくていいわね。」
そして次にチェリーに目線を移し
「変わりたかったらいつでも変わってあげるからね。」
と冗談混じりに言った。
「たぶん無いけどね。」
チェリーは、しれっと答えた。
一見すると仲が悪そうな彼女たちだが、実はこの二人でクラスをまとめていると言っても過言ではない。
この二人のコンビは、このクラスには、無くてはならないものなのだ。
なんだかんだ言っているうちに、授業が始まった。
このAクラスは特殊なクラスで格好などの見た目はアレだが、実は頭が学年一いいのだ。
しかし、やはり授業を聞かず、さも休み時間のように飛んで跳ねて遊んでいる。
しかし、彼らの大半はある女をからかうことを楽しんでいるようだ。
リカが消しゴムのカスをその女に投げつけてた。
すると、みんなが一斉に消しゴムや空き缶を女に投げつけ始めた。
女の名前は麗那。しかし、みんなからは通称、汚目子と呼ばれていて、本名で呼ぶ者は先生を合わせても誰一人いない。
むしろ、これを本名だと思っている人のほうが多いようだ。
また、彼女にとっての地獄の一日が始まった。