表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/224

11話 魔法修行とメイドの誘惑

 紅蓮の炎を浴びせ 焼き尽くせ! ─ 火炎イーグニス ─


 俺の右腕からオレンジの焔が火炎放射のように迸り、10m程離れた土人形に殺到する。


 封印を外して貰った火属性魔法は、なかなかの威力だ。

 こうやって物理的な効果が見えると、ようやく魔法師になった気がするな。


 しかし、あの土人形が人間だったらと思うと、ぞっとする…あっという間に焼け死ぬだろう。

 初級魔法でこれだ!


 魔法師というのは、人間兵器と言っても過言では無い。

 なんだか怖いと言う感覚が背筋を昇ってくる。


 とは言え、この火炎イーグニスを発動したり、土人形に当てるのが、俺に与えられた課題では無い。

 俺の傍らに立つ、ランゼ先生の手の上にある砂時計の砂が全て落ちきるまで、焔を保ち続けなくてはならない。


「ほらぁ、火勢が落ちてきたぞ、集中しろ!」

「はい」

「動く魔獣に当てるのは困難だ!死にたくなければ、焔を出し続けろ」

「はい」



「あと10秒」

「3・2・1…よし止め!」


 焔を止めようとして、反動を喰らった。

 手が痺れて、思わずぶるぶるっと振ってしまう。


「最後まで気を抜くな!」

「はい」


「よーし。5分休憩」

 ふうぅ、発動7回目でようやく、砂時計1回分持った。


 寝取られ復讐(寝てないが)から、数日経って、魔法の鍛錬が始まっている

 しかし、魔法指導に掛けては、人が違ったようにスパルタになるなあ、ランゼ先生は!


「どんなもんですかね」

「何がだ?」

「俺の魔法ですが…」

「全然だめだな」


「えぇぇ。だめですか」

「以前のおまえは1回でできた。この時計3往復もな……ソノアトハンニチネコンダガ」


 後半がよく聞こえなかったが、3往復か…やるな、アレックス!


「今やっている魔法は、初歩の初歩だ。少しばかりできたぐらいで良い気になるな!天才の名が泣くぞ!」

 思わず、サー・イエッサーと応えたくなるぐらいの、先生の啖呵だ!


「ところで天才というのは?」

「ああ、以前のおまえだ。神童とかも呼ばれていたな」

 そう言えば寝取った(もう良いって)、ダリルもそんなことを言ってた気がする


「そうだったんですか…じゃあ、おふくろさんは魔法師だから、俺が病気になってさぞや悲しんだしょうね」

「ああ、おふくろさんは、病気が治るなら、魔法なんて使えなくても良いとか仰ってたな」

「………」


「親孝行してやれ…」

「はい」

「溜まっても襲うんじゃないぞ」


 おい!


 鍛錬は3時間以上続き。大体2往復ぐらいは持つようになったが、3往復続かせると、炎がむらむらになって、思い切り罵声を浴びせかけられる。


「よし、今日の鍛錬は終了だ!明日は、的を動かすからな!」

「はい!」

「よし、休んでよし」


 俺は、その場にぶっ倒れた。

 はあ、はあと大業に息をしながら回復を待つ。

 下は芝生だから、気分も悪くない。


 そこに足音がやって来た。

 見上げると、俺付きメイドのユリこと、ユリーシャだった。


「アレク様。大丈夫ですか?」

「ああ、ユリ。問題ない」

 ユリは俺の頭の後ろに跪くと、俺の頭を優しく持ち上げ、自分の太股の上に置いた。


「こんなに汗を」

 彼女は、ハンカチ、俺を拭うための専用を取り出すと、俺の額を拭い始めた。頬、顎、首筋と拭いていく。そして、ボディスと呼ばれるシャツのボタンを外していく。


「ああ。胸も汗を掻かれていますね」

 そう正当化しながら、襟をくつろげると、胸を拭きだした。

 それはいいのだが。俺の肩や頬に掛けて、とても柔らかな物が押しつけられている。


 乳房だ。

 着痩せするのだろう。結構ボリューミーな肉塊だ。うーむ、役得役得。


 すらっとした体型なのに、この大きさ。野暮ったいエプロン姿だから目立たなかったのか。


 顔立ちだって、整ってる。色は白いし、眼は僅かに垂れ気味だが大きくて、やさしそうだ。美形ではあるが可愛い系でもある。

 そんな少女が、何くれとなく世話を焼いてくれる。

 ここをパラダイスと呼ばずして、どこを極楽と呼ぶのか!


 8歳の頃、孤児だったユリが、我が伯爵家に引き取られ、厨房メイドとなったのだ。

 歳が近かった俺達は仲良くなり、俺が病床に付いてからは、俺付きに志願して、認められたのだ。ある意味幼なじみと言っていいだろう。俺のではないのが残念だが、思い出が記憶として残っている。


 婚約者はアレだったが、恵まれてるな御曹子。ああ今では俺のことね。


 ユリは、俺のシャツ深くまで手を差し入れながら、囁きだした。

「アレク様さえよろしければ、そのう、ご婚約者様もいらっしゃいますが、夜伽をお命じ下さい。ご不自由はさせませんから」


 夜伽!ですか?

 俺は耳を疑いつつも、ごくっと喉を鳴らしてしまった。


「セシルとは破談になったよ」

「破談?破談とは、ご結婚されないということですか?」

「ああ、しばらくはな」

「本当ですか?」

「ああ」


「ああぅ。で、でしたらなおさらです。ユリは奥様にしろなどとは、決して申しませんので」

「うん、その気になったらな」

「きっと。きっとですよ」

「ああ」

是非是非、ブックマークをお願い致します。

ご評価やご感想(駄目出し歓迎です!)を戴くと、凄く励みになります。


Twitterもよろしく!

https://twitter.com/NittaUya

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ