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1話 プロローグ (前) 俺が俺じゃない?!

第3作を連載開始しました。

天界バイトで全言語能力をゲットした俺最強!

https://ncode.syosetu.com/n3733em/

よろしくお願い致します!

 ゴールデンウィーク明けの月曜日。

 駅のプラットホームに着くと、ついさっき発車した通勤電車の最後尾が通り過ぎていった。

 大丈夫。後続の電車はすぐ来る。

 乗車位置の一番前に立った。


 新人研修は先月で終わり、いよいよ部門配属だ。

 今日から行く、エンジニアリング部第2課は、残業が多いブラックな部門と同期の噂だが、俺は体力には自信がある。どんとこいだ。


 しかし、眠い。

 緊張半分、期待半分で、夕べは余り眠れなかった。

 まだ頭が覚醒してない。


 ティーン・ティティテイン…。

「…1番線電車が参ります」


 ゴーーー。

 来た来た。


 その時だった──


 後ろからヒール特有の堅い足音がして、悲鳴が上がる。

 背後から抗しがたい衝撃を感じたのは、その直後だった。


 身体が押し出されるときに、女性を押しとどめる姿が…

 そして、近くで警笛が聞こえた気がした。


 ◇◆◇◆◇◆◇


「はい、あーん」


 俺は、ベッドで身体を起こし座っている。

 あーむ。

 甘酸っぱい。林檎を磨ったものだ。

 ベッドの側に立った、少女の白い手が運んでくれる。


 最初は気恥ずかしかった食事だが、今ではとても好きになった。

 果物より甘い香りがするこの娘が、食べさせてくれるからだ。


 大きく優しい眼が印象的な顔立ちは清楚だが、前屈みになって襟から覗く谷間は深く切れ込んでおり、白い双球がたわわに実っている。

 

「あぁん。まだ日が高こうございます」

 眉根を寄せ、口ではなじるものの、胸をまさぐる俺の手を拒みはしない。

 それに甘えて、掴むように少し力を込めてみた。


「もう。アレク様ったら」


 そう、俺はアレク様になっていた。


 俺は数日前のことを思い出す。


 ◇◆◇◆◇◆◇


「いやぁああああ」


 随分長く寝ていた気がしたが。

 俺は揺さぶられてる。


 誰かが悲しんで、嗚咽しているようだ。

 ああ、やっぱり俺は死んだのか。

 最期の光景から察するに、飛び込もうとした女性を俺の後ろの男が止めようとして、とばっちりが俺に…ってところか。


 轢かれたんだなあ。


 ぶつかった瞬間の記憶はないが、苦しまずに済んで良かったというべきか。

 どれだけ身体を鍛えても、電車には勝てないよなあ。

 あぁ~なんまんだぶ、なんまんだぶ…。


 ところで、死んだのに意識があるって。どういうこと?

 が、まあ案外こういうものかも知れない。

 なにせ死んだは初めてだからなあ…。

 

 ん?

 重い。重いよな!

 誰かが俺の胸にかぶさっているって感じだ。


 あれ?

 さっき揺さぶられてるのもわかったし、感覚が有るよな。

 いまだに泣き声も聞こえているしな。


 俺、本当に死んだのか?


 それに。何だか、身体が動きそうな気がするのだが。

 瞼は重かったが、力を込めると目が開いた。


 えっ。

 ええ?


 大量に涙を流す金髪の女性と目が合う。

 20歳台中盤ぐらい?

 女優さんでも、見たことがないぐらいの美人だ。


 お互い、何回か瞬きした。


 誰?

 あいたたた。偏頭痛が来た刹那、もっと大きな衝撃に襲われる。


「アレクぅうう」


 げふっ。

 結構な勢いで、がっつり抱きつかれた。

 いや、痛いから。

 鳩尾みぞおちに入ったし。呼吸できないし。

 嫌と言うぐらい腹筋鍛えてたのに、油断したか?


 あれ?

 呼吸って。

 俺、生きてるんじゃない?

 生きてる、生きてるよね?痛いし。


 オオーーって、叫ぼうと思ったけど、口が開かない。

 ムーーーーーって鼻で声を出してみたが、抱きついてる女性の嗚咽の音量の方がでかいし。相変わらず痛い。


 痛いけど、こんな美女に抱きつかれるのは、悪くない気分だ。

 いやいや、悪くないどころの騒ぎじゃ無い。

 毛布越しだが、かなり大きめの胸も当たってるし。

 気のせいか柔らかい感触がお腹の上に。

 あと、斜めに被さってるから、襟ぐりから覗けるんだよねえ。

 その谷間の深さたるや…。

 なんたる幸せ!

 夢なら醒めないでーー。


 しかし、この美人さんは誰なんだろう、なんだか思い出せそうな気が…。

 脳裏で無意識に呼んだ!


 母上…。


 ははうえぇえ?

 俺、今そう言おうとしたよな。


 覚醒してきた。


 口が開かないのは、長く寝てた所為だ。唇がくっついているし。喉もガラガラだ。


「…クぅう」

 母と呼んでしまった女性の頭が、俺の胸にごしごしと押しつけられる。


 この人…俺の母親なのかよ?

 危ない危ない。もう少しでおふくろさんに欲情するところだった。

 名前はセシリア…と仰いますか。

 ああ、それにしても、嬉しいような残念なような。こんな美女が、よりによっておふくろさんかぁ…って、何考えてるんだ、俺。

 

 ああーその襟ぐりから覗く危険物を隠してくれませんかね…。

 おっと、そんなことを考えてる場合じゃなかった


 さっきの、アレクって言うのが、俺の名前…だよな。おそらく。

 初めて聞いた割りには、妙にしっくり来る。


 あたたた。頭痛が来て思い出す。

 俺の名前は、アレックス・サーペントだ!


 アレックス・サーペントって…。

 いやいや、なんでだ!

 俺は日本人だぞ!!


 落ち着け俺!

 しかし、この金髪女性が、おふくろさんなんだよなあ。

 絶対日本民族の顔じゃない。


 綺麗な髪の頭頂部を見下ろしていると、視界の上の方に視線を感じる。


 うわっ!

 これまた金髪のイケメンと目が合った。


「ア、ア、アレックスがぁあ。生き返ったぁああ!!!」


 でかいでかい。声がでかいって。

 耳がキーーンってなってるし。

 わああああと、部屋に歓呼の声が広がる。


 うっ。また、偏頭痛と共に、情報が来る。

 ガイウス・サーペント。

 おお?この人、俺の父さんなの?!


 見回すと、この2人以外にも、部屋に6人くらい居る。


 しかし、部屋が変だ。

 少なくとも病院ではあり得ない豪華さ。

 薄いベージュの壁紙に至る所に凝った豪華な彫刻が施された調度。

 The洋館!


 それに、ここに居る人たちの衣装も、普通の洋服じゃなくて、映画で見るような中世ヨーロッパの風情があるような気もする。コスプレ大会…じゃないよね。

 猛烈な違和感だ。


 伯爵様。おめでとうございます。本当にようございました…そんな声が聞こえる。


 どういうことだよ?

 何が、めでたいんだ!

 というか、俺が、アレックスってどういうことだ?

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訂正履歴

2016/03/27 ユリとのやりとりを追加

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