プロローグ
処女作です。
これから書くのが楽しみです!
夏と美月と怜は一体これからどうなってしまうのでしょう….… 不定期ですが連載していければと思います!
ーー俺達は……
まるで魔法にでもかかってしまったのだろうか。
もしもこの世界に神様がいるのなら……
早くこの魔法を解いてほしいと願いながらも……
でも、このままずっとこうしていたいと思える事もあったんだ……
正直、どうしたらいいのかわからないんだ。
◆
とある街の小さなライブハウス。
そこには自分達の出番を終え観客席の一番後ろでカウンター席に座りじっと残りのライブ出演者のステージを見ている三人の男達の姿があった。
「なんか、すごい……ね」
そのうちの一人が口を開くと他の二人もため息まじりに口を開く。
「ほんとだよなぁ、俺達の時とはえらい違いだよなぁ」
「仕方ありませんよ、あそこのバンドは人気ありますから」
ステージ下ではキャー!や、ワー!などの大歓声が絶えず続いている。
今ステージで演奏をやっているのは見た目はイケメン、ヴィジュアル系と呼ばれる人気バンド《Pandora》(パンドラ)のライブだ。
Pandoraは若者層に絶大な人気を誇り近くメジャーデビューを控えているらしい。
それに比べ彼らは演奏面に関してはそれなりではあったが、人気はというとPandoraとは天と地と言うべきだろうか。
ライブが終わり楽屋に集まる一同だったがそこにPandoraのメンバーがライブを終え戻ってくる。
「いやー、今日も最高のステージだったぜ」
「そうっすよねぇ!」
Pandoraのメンバーは楽屋に入ってくるなりあの三人に一瞬目をやるもまるでここにはいないかのように話し始めた。
「皮肉なもんだよなぁ?! 腕はそこそこあるのによぉ」
「しょうがないっすよ、あいつら人気なんてないに等しいっすから」
「人気のない悲しさってのどんなんなんすかねぇ」
もはや、言われ放題だった。 そんな中一人が何を思いたったのかPandoraのメンバー達の前に行き、じっと見つめながら言った。
「あんたらさ、これからプロになるんだろ? プロになるんならもう少し態度考え直したほうが」
そう言いかけた時だった。
ガシャーン!!
男はいきなり吹っ飛ばされ置いてあった机に頭をぶつける。
一瞬何が起こったのか皆わからずにいたが、直後Pandoraのリーダーとも呼べる赤髪の男が拳を振るっていたのを確認し皆黙りこんでしまう。
「うるせぇんだよ!! てめぇらみてぇなプロにもなれねぇゴミに言われたかねぇよ」
赤髪の男は倒れている男に近づくと髪を鷲掴みにし、睨みながら言った。
「ハッ、女みてぇな面しやがって。てぇめえらみたいな女みたいなやつはドレスでも着てステージで踊ってたほうがまだましじゃねぇのか?」
男は殴りたい気持ちをぐっと抑えながら赤髪の男の手を振り払い勢いよく楽屋を飛び出していく。
ーーその目には涙が溢れていた。
残りの二人も飛び出していった男を追って楽屋を飛び出していく。
◆
外は雨だった。それもどしゃ降りの雨。
男は雨の中をひたすら走るが足をつまずき転んでしまう。
「…………うぅっ」
男は起き上がるも大粒の涙を流しながらその場に膝をついて座りこんだ。
先ほどの赤髪の男の言葉が脳裏によぎる。
ーー女みたいな面
ーードレスでも着て踊っていたほうがお似合いだ
どれも深く胸に突き刺さる言葉だった。
「クソっ……なんなんだよ……」
すると後を追ってきた二人が息を切らしながら心配そうな顔をして男を見ている。
「夏……」
「なっちゃん……」
「ーーーーっ?!」
二人が名前を呼んだ瞬間男は二人を見て目を閉じまた涙を流す。
男の名前は黒岩 夏、二人とは幼なじみというのもあって夏、なっちゃんと小さい時から呼ばれていた。
三人はそのまま雨宿りをするべく近くの神社へ向かった。
神社に着くと夏は話し始めた。
「さっきはごめん……取り乱して……」
「気にしないでよ! 僕たち二人もなっちゃんと同じなんだしさ」
「そのとうりだな」
三人はお互い顔を見合わせ笑った。
実は二人も夏と同じだった。
二人とも夏と同じく顔は女の子のような可愛い感じの顔立ち、名前も 美月に怜だったのだ。
三人共に言える共通点、それは小さい時、女の子のような顔立ちから親が女の子として育てていた。
服装も女の子が着るような可愛い服装、髪もポニーテールのように後ろでしばったりまたは髪をロングにしたりなどしていたのもありよく女の子と間違えられたりもした。
そういう事もあってか三人はいつからかお互いが似た境遇である事から仲良くなり現在の高校一年まで一緒だった。
そこで三人は中学のときにバンドを組み《Unfortunate boys》不幸な男達と言う名前で活動してきた。
「僕たちさ、もし本当に女の子として生まれていたらまた違う世界があったのかな……」
「なんだよそれ? 美月は女の子になりたかったのか?」
美月がそういうと夏はくすっと笑った。
「女の子ですか……まぁ考えた事もありませんでしたね」
怜がはぁ……とため息をつきながら夜空を見上げていた。
「もし……だよ? 女の子に生まれてたなら今頃なにしてたのかなって」
美月がそう言うと二人はそっと美月を見て笑いながら答えた。
「もち!バンドでしょ!」
「ですね!」
三人は本当に音楽がバンドというものが大好きだった。それしかないと思っていた。
例え女の子だったとしてもガールズバンドを組んでいただろうし、それはそれで自分達のルックスにもあっているかも知れないし、むしろ、そっちの方が今より楽しめていたかも知れない。
ーーそう思ったんだ。