第29章_総力の陣
虚無の王が消滅したと思ったその瞬間、空間全体が歪み、膨大な影が渦巻いて現れた。
『我は消えぬ……無数の虚無がこの世界を飲み込む……!』
「まだこんなに……!」真子が息をのむ。
「全員、陣形を組め!」圭佑が叫び、光の剣を構え直した。
剛が前衛に立ち、影の波を槍で迎え撃つ。
「まとめて来い、相手してやる!」
真弓は補助装置を広げ、仲間全員の武具を強化する。
「攻撃力上昇……よし、持っていけ!」
瑛太は勇ましい旋律を奏で、全員の動きを統一させた。
「行くぞ、合わせろ!」
その旋律に合わせ、剛の突きが影を貫き、圭佑の剣が光を走らせる。
みゆきは後方で祈りを捧げ、仲間たちの傷を癒し続けた。
「光よ、彼らを守って……!」
影は際限なく押し寄せたが、一行の連携は乱れなかった。
「真子、後方の影を頼む!」圭佑が振り返る。
「はい!」真子は短剣に光をまとわせ、影を次々と切り払った。
剛が息を切らしながら叫ぶ。
「この勢いなら押し切れる!」
「最後まで気を抜くな!」圭佑が全員を鼓舞し、さらに前へ踏み込んだ。
剛の槍が影を突き破り、真弓の投げた閃光弾が影の動きを止める。その一瞬を逃さず、圭佑の光剣が弧を描き、影を一掃した。
「まだだ、来るぞ!」圭佑の声に全員が息を合わせて再び陣形を整える。
瑛太の奏でる旋律がさらに高まり、仲間たちの動きが軽くなる。
「このリズムに乗れ!」瑛太が叫ぶと、剛は自然と槍を一層鋭く繰り出した。
真子は短剣を握り、背後に迫った影を振り払う。
「みんなの背中は、私が守ります!」
みゆきの祈りが仲間の身体を癒し、疲労を軽減させた。
「どうか、この光を導きに……」
全員の動きが完全にひとつになり、影の群れは徐々に押し返されていく。
『ば、馬鹿な……人の身で……この虚無を押し返すだと……』虚無の王の残滓が呻く。
「俺たちはひとりじゃない!」圭佑が叫ぶ。
「協力すれば……こんなもの!」真子が応える。
その声と共に、影は完全に押し切られ、空間に静寂が戻った。
圭佑は仲間たちを見回し、深く頷いた。
「これで……終わりにしよう」




