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星泉に誓う双きらめきの旅路――ルーチン騎士と巻き込まれ司書の恋

作者:乾為天女
 初夏の満月が照らす西方大陸ルメリア王国。千年ごとに湧く〈星泉ほしのいずみ〉は王国の命脈だったが、今期は涸れ、王都には魔獣が横行し始めた。原因は地下霊廟に張り巡らされた〈虚無うつろの王〉の呪い結界――星泉の魔力を喰らい、世界を塵へ導く闇の支配者である。

 一刻の遅れも許されぬ王宮では、近衛騎士圭佑が「巡回経路を分単位で確認せよ」と自らに課した厳格なルーチンで不安を抑えながら、王妹救出の剣を研いでいた。一方、王国とは異世界の図書館で司書見習いをしていた少女・真子は「協力し合えば退屈も楽しみに変わる」と信じ、書架整理に汗を流していた。その夜、星泉の精霊が真子を召喚。精霊は四つに砕けた星片を集め、泉を再生せよと告げる。同時に圭佑へは護衛命令が下り、慎重派と自由奔放の凸凹コンビが誕生した。

 西の霧海では沈没神殿の罠が圭佑の計画を狂わせ、真子が即席の連携を呼びかけ星片ひとつ目を奪還。南の砂都ガルディアでは蜃気楼の宮殿へ挑む際、吟遊詩人瑛太の行き当たりばったりの歌が隠し扉を開き、鍛冶師真弓の荒削りな献身が仲間を救う。北の氷窟では白狼の牙に圭佑が倒れ、神官見習いみゆきの祈りが零れた命を繋ぐ。東の天空城では仮面舞踏会潜入作戦の最中、槍兵剛が「黙従では絆は育たぬ」と仲間へ率直な檄を飛ばし、成長した真子が古文書を解読して最後の星片を手にする。こうして四星片が示した座標は、王宮地下霊廟の奥深く――呪いの核へ通じる迷宮だった。

 夜明け前、魔獣の大群が王都を包囲。市民避難に奔走する剛の号令、真弓の即席装備強化、瑛太の鼓舞歌唱、みゆきの結界術が呼応し、圭佑と真子は互いの弱さを抱き締めて「守りたいものは同じ」と確かめ合う。二人の掌で晶光の剣が誕生し、迷宮の最深部で虚無の王と対峙。闇の津波が王都を呑み込む寸前、全員の想いは剣へ集束し、星泉は復活――魔力は大地へ解き放たれ、結界は消滅する。

 危機を越えた半年後の星祭りの夜。湖畔に湧き出た新生星泉のほとりで、圭佑は古い儀礼を破り跪き、真子へ指輪を贈る。「決められた道」を外れる怖さを知りながら踏み出した騎士と、「周囲に流される弱さ」を克服して自分の意志を得た司書。ふたりは満天の星に誓う――この泉が枯れぬ限り、共に未来を守り抜く、と。
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