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第三十章「君との未来を描く夜」

 小山市の夜は、静かで穏やかだった。小山城跡の近くには淡い街灯が灯り、冷たい冬の空気が澄んだ星空を映し出している。

 将志は、公園のベンチに腰を下ろし、星を見上げながら深く息を吐いた。

「……寒いな」

 ポケットに手を入れ、じっと待っていると、軽やかな足音が近づいてきた。

「お待たせ!」

 友里が息を切らしながら、笑顔で駆け寄ってくる。

「遅い」

「ちょっと準備に時間かかっちゃって……でも、ほら、ちゃんと来たよ!」

 将志は肩をすくめながら、「まぁ、いいけどな」と呟いた。

 夜の静寂と、語られる未来

「ねぇ、将志」

「ん?」

「将志って、未来のこと考えたりする?」

 将志は少し考えた後、静かに答えた。

「……まぁな。でも、具体的にはまだ決めてない」

 友里は少し驚いたように彼を見た。「意外と慎重派なんだね」

「お前は?」

「私はね……ちょっとずつだけど、未来のことを描いてみようかなって思ってる」

 将志は静かに彼女の言葉を待った。

「たとえば?」

「いつか、もっと落ち着いた生活をしたいなって思うんだ」

「ふーん……」

「でも、ただ流されるんじゃなくて、自分で選んで、作っていく未来にしたいな」

 将志は小さく頷いた。「いい考えだな」

 未来への想いと、今の時間

「ねぇ、将志」

「ん?」

「君との未来も、描いてみてもいいかな?」

 将志は一瞬驚いたように彼女を見た。

「……それは、どういう意味だ?」

 友里は少し照れたように笑った。

「そのままの意味だよ」

 将志は夜空を仰ぎながら、静かに息を吐いた。

「……じゃあ、俺も考えてみるか」

 友里の表情がぱっと明るくなった。

「ほんと?」

「まぁな」

 二人は並んでベンチに座り、冬の夜空を眺めた。

 ——君との未来を描く夜。

 それは、何気ない瞬間に生まれる、大切な約束だった。

(第三十章 完)


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