第二十章「君と見た夢の続き」
福島の空は、淡い冬の光に包まれていた。冷たい風が街の通りを吹き抜け、磐梯山の山並みが遠くに霞んでいる。
光聖は、駅前のカフェの窓際に座り、温かいコーヒーを一口飲んだ。
「……遅いな」
スマートフォンの画面を見ながら呟いたその瞬間、店のドアが開いた。
「ごめん、待った?」
りんが息を切らしながら駆け寄ってくる。
「まぁ、少しな」
「電車がちょっと遅れて……でも、来られてよかった」
りんはマフラーを外しながら、コーヒーを注文した。
静かな時間と夢の話
カフェの窓からは、穏やかな福島の街並みが広がっている。
「ねぇ、光聖」
「ん?」
「君って、今も夢を持ってる?」
光聖はカップを置き、少し考えた。
「……持ってると思う」
「例えば?」
「自分の限界を超えてみたい」
りんは驚いたように彼を見た。「へぇ、意外とストイックなんだね」
「そうか?」
「うん。でも、それってすごく素敵なことだと思う」
光聖は少しだけ笑った。「お前は?」
りんはコーヒーを一口飲み、静かに呟いた。
「私は……君と見た夢の続きが知りたいかな」
光聖は彼女をじっと見つめた。
「……夢の続き?」
「うん。昔話したことあるでしょ?『こうなったらいいな』っていう未来のこと」
「覚えてるよ」
りんは微笑んだ。「じゃあ、まだその夢、諦めてない?」
「……諦めてない」
「よかった」
二人はしばらく無言でコーヒーを飲んだ。
福島の街と二人の歩み
「ねぇ、せっかくだし、少し歩こうよ」
「いいけど、寒いぞ」
「寒いけど、それもまたいいんじゃない?」
光聖は肩をすくめながら、席を立った。
二人はゆっくりと福島の街を歩き出す。
——君と見た夢の続き。
それは、まだ終わっていない。
(第二十章 完)