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第123章 君が見つけた希望

 川崎市の大通りを抜けた先にあるスポーツジム。ガラス張りのスタジオから見える夕焼けが、ビルの谷間を染めていた。勇貴はジムのトレーニングエリアで汗を流していた。彼のシャツはすでに汗でぐっしょりだが、表情には疲れを感じさせない。自分の限界に挑戦し、さらに成長を目指す彼にとって、体を動かすことは欠かせない習慣だ。

「お疲れ様、勇貴」

 声をかけたのは美悠だ。長期的な視点で物事を考え、チームをリードする彼女は、今日もクールにトレーニングを終えたばかりだ。

「美悠か。今日も追い込んでるな」

「勇貴こそ、いつも全力だよね。見てるだけでこっちが疲れちゃう」

 美悠はタオルで汗を拭きながら、少し笑った。二人はジムの休憩スペースに腰を下ろし、プロテインシェイクを手にした。

「今日はどんなメニューだった?」

「上半身強化。限界までやってやろうと思ってさ」

「勇貴らしいね。でも、無理しすぎて怪我しないように」

 美悠の冷静なアドバイスに、勇貴は「分かってるって」と軽く返した。だが、その言葉の裏には、少しだけ焦りが隠れていた。直感を信じ、活発に動く彼だが、最近は仕事で結果が出ず、もやもやが募っていたのだ。

「実はさ、プロジェクトでうまくいかないことがあって…」

 美悠は少し驚いた顔を見せたが、「話してみて」と促した。

「俺、チームリーダーとして、みんなを引っ張らなきゃと思ってるんだけど、どうしても意見がぶつかってさ。自分の強みを発揮したくても、空回りしてる感じなんだ」

 勇貴の言葉に、美悠は静かに頷いた。彼女自身もチームを率いる立場にあり、その難しさを理解している。

「リーダーシップって、難しいよね。自分の強みを活かすだけじゃなく、チームの意見をどうまとめるかが鍵になる」

「でも、俺のやり方が間違ってるんじゃないかって、不安になるんだ」

「そう思うってことは、きっと前進している証拠だよ。勇貴の良いところは、失敗を恐れずに挑戦できること。でも、挑戦する中で立ち止まって考えることも大切だよ」

 勇貴は少し目を伏せ、考え込んだ。確かに、自分の強みを発揮するばかりで、他の意見を聞き入れる余裕がなかったかもしれない。

「ありがとう、美悠。ちょっと目が覚めた気がする」

「うん。自分の強みを出しつつ、周りの意見を取り入れれば、きっと上手くいくよ」

 勇貴は頷きながら、少し笑った。「美悠、やっぱり頼りになるな。なんか君と話すと元気が出る」

「それはお互い様だよ。私も、勇貴がいつも全力で頑張ってる姿を見ると、刺激を受けるから」

 二人は軽く拳を突き合わせ、笑顔を交わした。ふと、窓の外を見ると、夕焼けが濃くなり、夜の街が少しずつ姿を現し始めていた。

「これからも、挑戦し続けていこう。君が見つけた希望、私も応援するから」

「ああ、絶対に諦めない。いつか、このジムからも成長した姿を見せてやるよ」

「期待してるよ。私も負けないから」

 二人は互いにエールを送り合い、再びトレーニングに励む準備を始めた。勇貴の心には、再び挑戦する力がみなぎっていた。自分の限界を越えようとするその姿に、勇貴自身も希望を見出していた。

 終


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