表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/205

第一一七章「挑戦を楽しむ二人」

 瑞穂町、瑞穂公園。冬の冷たい風が木々を揺らし、枯れ葉が地面を転がっている。広場にはほとんど人影がなく、静かな空間が広がっていた。時折、ジョギングをする人が駆け抜け、その足音が乾いた土の上でリズムを刻む。

 颯良は、広場の端にあるベンチに腰を下ろしていた。彼は「挑戦を楽しむ」性格で、どんな物事にも前向きに取り組むタイプだ。その一方で、「他者に感謝の気持ちを伝え、関係を強化する」ことを何よりも大切にしている。自分のポジティブさを活かしながら、他者との調和を意識して進むことが彼のモットーだ。

 今日は、めいと待ち合わせをしていた。彼女は「問題を解決する方法を模索する」探求心と、「持ち前のポジティブさ」を活かして、困難を乗り越える力を持っている。楽しさを重視しながらも、時折不安を抱えることもあり、その葛藤を自分なりに解決しようとする姿勢が魅力的だった。

「颯良、待たせた!」

 その声に振り向くと、めいが元気よく駆け寄ってきた。赤いニット帽にダウンジャケット、手には保温ボトルを持っている。その明るい笑顔を見るだけで、颯良の心も自然と軽くなった。

「いや、全然待ってないよ。むしろ、ここでのんびりしてたとこ」

「嘘だ。寒そうにしてたじゃん。はい、これ。温かいお茶、持ってきたから」

「お、ありがとう!めい、ほんと気が利くなあ」

 ふたりはベンチに並んで腰掛け、保温ボトルから注いだお茶を一口ずつ飲んだ。ほんのり甘い香りが広がり、冷えた体が少しだけ温まる。

「今日は何するの?」

「実はさ、公園の隅にアスレチックがあるんだ。子供向けだけど、結構ハードでさ。せっかくだから、めいと一緒に挑戦してみたいと思って」

「え、アスレチック?面白そう!やってみようよ!」

 ふたりは立ち上がり、アスレチックエリアへと向かった。そこには、ロープで作られた橋や、丸太を組み合わせたバランス渡りがあり、確かに子供向けにしてはやや難易度が高そうだ。

「じゃあ、どっちが早くゴールできるか勝負しよう!」

「いいよ!負けないからね!」

 颯良は勢いよくロープ橋に飛び乗り、バランスを取りながら進む。めいも負けじと、少し慎重になりながらも器用に足を運んでいる。しかし、途中でロープが大きく揺れ、めいが思わず立ち止まった。

「うわっ、揺れる!」

「大丈夫か?無理しなくていいぞ」

「平気!こういうの、コツさえつかめばいけるはず!」

 めいは一呼吸置き、リズムよく足を動かし始めた。その様子を見て、颯良は思わず笑顔になる。

「やるじゃん!その調子!」

 ふたりは次々とアスレチックをクリアしていき、最後のネット登りでほぼ同時にゴールに到着した。

「やったー!意外と楽しかった!」

「お前、最初は苦戦してたくせに。けど、途中からめちゃくちゃ速くなってたな」

「コツをつかむのが好きだからね。挑戦って、楽しい!」

「それ、分かるわ。俺も、めいが一緒だと、もっと挑戦したくなる」

 ふたりは、ゴール地点で息を整えながら、夕日に染まる空を見上げた。木々の影が長く伸び、ふたりのシルエットが地面に重なるように映っている。

「颯良、私、これからも色んなことに挑戦してみたい。あなたが隣にいると、怖いものが減る気がするんだ」

「俺もさ、めいといると、楽しむことの意味が分かる。自分ひとりじゃなくて、一緒に乗り越えるからこそ面白いんだって思えるんだ」

 めいは、少し照れたように微笑んだ。

「これからも、一緒に挑戦し続けようね」

「ああ、約束だ。楽しいことも、難しいことも、全部ふたりで共有しよう」

 ふたりは手を取り合い、その温かさを感じながら、夕暮れの公園をゆっくり歩き始めた。風が少し強まったが、ふたりの心には確かな熱が灯っていた。

 ——挑戦を楽しむ二人。

 それは、ただ乗り越えるだけでなく、互いに支え合いながら、前向きな未来を描き続けるための、一歩だった。

(第一一七章 完)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ