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乙女ゲームのTS主人公は攻略なんてしたくない  作者: 鯖鮪
2章 ままならない現実
38/40

4

今回は短いです

 授業が始まる。

 一限目は、魔法の授業だ。


「皆さん、そろそろ魔法の練度や技量に関して、伸び悩んできている時期じゃないかしら? でも、具体的にどうやって伸ばせば良いのか分からない。もしかすると、自分の訓練方法が間違っているのかも? そんな悩みを解消する為に、今回は上級生の皆さんに、授業を手伝って貰います!」


 講師が促し、扉から姿を現すのは数名の上級生。

 その中の1人が目に留まり、アリサは内心で顔を顰める。


「勿論、私も知っている事は知っているけれど、方法は人によって様々。今回は、魔法使いの先達である上級生の皆と交流を通して、少しでもヒントを貰ってね! それじゃあ、気兼ねなく話してちょうだい!」


 如何やら今回の授業は座学や実習では無く、上級生たちとの交流を深める事が狙いらしい。不満や異論はない。

 上級生の中に、攻略キャラが一人紛れ込んで居なければ。


「やあ。君はこの前、ボクの傷を治してくれた子だよね?」

「そうでしたか?」


 他に可愛らしい同級生は沢山いるのに、何故真っ先にアリサに声を掛けてきたのか? 嫌そうな顔は心の内に隠し、当たり障りのない受け答えを行うアリサ。

 男性にしては長く伸びている黄色の髪。


 容姿は軽薄やチャラいと言った言葉が相応しい、鼻に付くイケメンフェイス。

 アリサが身に纏う制服とはややデザインが異なっており、それこそが他でも無い二回生――上級生の証。


 彼の名前はベテ・フォン・カーソンと言い、乙女ゲーム『狂い咲く彩華』における、四人存在している攻略キャラの一人だ。


 どう言った人物なのか? を一言で表すのであれば、セクハラ大魔神。そのチャラ付いた容姿に相応しく、女子に手を回すのが恐ろしく早い。


 恐らく、アリサもこのクソ野郎のターゲットに入っているのだろう。

 出来れば、二度と視界に入らないで欲しい。


「さて。君は何か、ボクに質問したい事はあるかな? 何せ! このボクは、全ての属性を扱う事が出来る、学院きっての天才なのだから!」

「…………はぁ」


 全ての属性を扱う事が出来る。

 仮に、それが事実なので有ればトンデモなく凄い事だ。火、水、土、風の属性を持つ者が大半ではあるが、希少な属性である「聖」を扱う事が出来る者は中々いない。


 特に聖属性は、数万人に一人と言う確率な為、担い手と出会う事自体が稀と言っても良い。そんな聖属性を持ち、尚且つ他の属性を持つ。

 正しく魔法に愛された存在、と言い換えても良いだろう。


 間違っても、女子生徒で有れば誰彼構わずセクハラ行為を行うような、クソ野郎が持っていい称号では無いし、コイツが扱う事が出来る属性は聖を除いた四つなので誇大広告も良いところだ。


「ベテ先輩は聖属性を扱えるんですか?」

「……え? 聖属性……まあ、出来ない事も無い、訳では無い……かも?」


 何とも言えない曖昧な笑みを浮かべ、出来ないと言う事実を誤魔化そうとするベテ。無論、アリサはベテが5つの属性の内、4つしか使えない事を知っている。


「では聖属性は攻撃魔法の運用が適切なのか、はたまた他者や自己に対しての支援等が適切なのか。ベテ先輩は、どのようにお考えなのでしょうか?」


「こ、攻撃魔法か、支援魔法……。 そ、それは勿論、アレでしょ? やっぱり、希少な聖属性なんだから、攻撃魔法として運用した方が良い! 何せ、君の様な可憐な少女が持つ属性だ。弱い、なんて決してある筈が無い」


 耳聞こえの良い言葉を放ちながら、さも当然の様にアリサの髪に触れようとするベテ。仮に触れられてしまえば、最低でも10回は髪を洗うか、触れられた部分を刈り取らなければいけなくなる為、ベテのセクハラを回避する。


「分からなかったのであれば、素直に分からないと言った方がまだ良かったと思いますよ。ベテ先輩は聖属性の魔法を履修していない為、ご存知では無いかもしれませんが、聖属性の魔法は他の属性と比べて格段に弱いです。その為、聖魔法の主な運用は他者や自己に対しての強化等にした方が効率的であり、実用的で」


 自然な流れで、アリサにボディタッチしようとするベテ。そんな彼の、悍ましい腕は軽く叩く事によって防ぐ。

 蠅に集られるよりも悍ましい。


「……い、いや。もしかしたら、案外攻撃魔法で運用した方が良いかもしれないでしょ? 駄目だよ。そうやって、自分の可能性を狭めようとする発言は」


「実際に試していないのですか? ベテ先輩が言っている事が正しいのであれば聖属性の攻撃魔法が効かない事は嫌でも理解する事が出来ると思いますが……」


 追及の視線を向けると、ベテはゆっくりと立ち上がり、悠然とした足取りでその場を去っていく。

 つまり、逃げた。


 見栄を張って、恥をかいての逃走。にも拘わらず、去り際にアリサに対してウィンクしてきた。普通に気持ち悪い。

 そんなこんなで魔法の授業は終わった。


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