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10-2

 通常、行使出来る魔法の属性は1人につき1つまで。

 しかし、稀に複数の属性を扱える逸材が存在する。

 ましてや、四つの属性を使いこなす事が出来るなら、その者は魔法に愛されていると言っても過言では無い。


 攻略キャラの1人であるベテ――ベテ・フォン・カーソンこそが、正に四つの属性を操る事の出来る、魔法に愛された寵児であった。

 ベテは他の攻略キャラと異なり、近接戦闘方面のステータスを除けば序盤から高く、序盤でも十分に活躍できる強キャラ。


 その反面、防御力は紙装甲で打たれ弱い。

 が、複数の属性の魔法を行使する事が出来るベテは、間違いなく厄介な相手と言えるだろう。


「分かりました。止めましょう」

「……実にあっさりと退くんだね? いや、ボクとしては女の子を傷付けなくて済むから、別に構わないんだけど」


「これ以上激しくなると部屋を壊してしまいますし、他にも手段はあります」

「……手段?」


 攻略キャラの1人であるベテとは、追手に追われている所を偶然アリサの部屋に逃げ込みその時アリサがベテを快く匿ってくれた事によって、2人に面識が出来る。

 ベテを匿う事を拒否した時点で、余り良くない印象を持たれている筈だ。


 で、あれば最低限の目的を達する事は出来た。

 これ以上、欲をかいてしまえば面倒な事になるのは目に見えている。

 アリサは大きく息を吸い、声を上げる。


「誰か! 助けて下さい! 突然! 不審者が! 私の部屋に! 押し入って来ました!」


 寮内に響き渡る程の声量。

 助けを呼ばれる事は想定していなかったのか、ベテの顔が驚きに染まる。

 扉が勢いよく開け放たれる。

 半ば突撃する様に、アリサの部屋に入って来るのは1人の少女。


「大丈夫かしら!? お姉さま!? 不審者がお姉さまの部屋に押し入って来た、と言うけれど怪我は無いかしら!?」


 銀色の髪とツインドリルが特徴的な、伯爵家令嬢のカミーラだ。

 アリサの記憶が正しければ、ちゃんと鍵を掛けていた筈だったのだが、カミーラは一体どうやって扉を開けたのだろうか?

 カミーラはベテを見る。


 今現在、ベテは魔法を発動している最中だ。現に、彼の周りでは四色の球が宙を浮いている。一体、カミーラがどの様に解釈したのか分からない。

 行動は迅速に行われる。


「この、不審者が!」


 一陣の風が吹く。

 カミーラはベテにドロップキックを決める。


 突然の乱入者に、反応が遅れてしまったベテはカミーラのドロップキックをまともに食らってしまう。

 紙装甲のベテは、そのまま吹き飛ぶ。

 ベランダの柵を越え、地面に落ちていく。

 アリサの住む部屋は2階だ。


 命に別状は無いかもしれないが、骨折くらいはしているかもしれない。

 2階から突然人が落ちてきたと言う事もあり、慌ただしい雰囲気に包まれていた寮内は更に騒がしくなる。後の事は寮側に任せて問題無いだろう。


「お姉さま! 無事だったかしら? まさか、お姉さまの部屋に不審者が乱入して来るなんて……!」

「助けてくれてありがとうございます。カミーラさん。カミーラさんが居なければ、少し不味かったかもしれません」

「そう!? もしもそうだったら、ずっとお姉さまの部屋の前で聞き耳を立てていた甲斐があったと言う物ね!」


 今の話は聞かなかった事にしよう。


「あ、そう言えばお姉さま。課外実習は、誰と一緒に組むのか決まっているかしら? もしも決まって居ないのであれば、私、お姉さまと一緒に組みたいのだけれど……」

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