表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カノジョ  作者: 某人
1/1

すだれうごかし。

 「秋だな。やっとまともな奴がきた。」

 俺は思わず、四季で唯一嫌悪感を抱かない時期の来訪への歓喜を、素直に口にした。

 春も夏も冬もふざけた奴らばかりだ。春は馬鹿みたいに陽気で、夏は狂ったように熱意があって、冬は言うまでもなく暗さと冷たさで満ちている。

 しかしなぜ秋だけ素直に喜べるのだろうか。

 恐らくそれは、部屋に散乱してるあいつとのスーブニールが唯一秋だけ何もないからだろう。

 そもそも彼女の人間性自体、秋とは真逆だったなと今更ながら思う。

 落ち着きがなくて、一緒にいると息が詰まる、そんな人間だ。他の四季共だって彼女との同列を厭うだろう。

 経験者の俺が言うのだから間違いない。彼女への理解が進めば進むほど、指数関数的に彼女に対する嫌悪も増していくほどには終わっている奴だった。

 事務所の錆びついた窓を開け、秋と、かすかに冬の予感を抱いた風を受けても彼女に対する憎悪は増す一方だった。

 何より、人間性が腐敗しているくせして、それを取り繕う技術も拙いところが気に食わなかった。

 苦虫を噛み潰したような作り笑顔を周りに振り撒いたと思えば、後々、振り向いた人の愚痴や単純な誹謗を、満面な笑みを浮かべながら俺にいっていた。

 そんなやつを。俺は。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ