17 ニコの親友と国王への謁見
ゴードンの店から転移でマリクレイのタウンハウスの自分の部屋に帰ってきた。
帰る、となるのは3年間王都に住んでいたニコの意識だ。
たまにニコの意識だなと思うものがあって、王都に来た時もオレは初めてなのに懐かしい、と思ったし、ニコの知り合いと会う時もそうだ。その人への印象や対応はこの体に染み付いている。
時計を見ると12時少し前だった。ゴードンの店で大分長居したようだ。錬金魔法も習ったしな。
リアムとの約束は昼食を一緒に食べること……リアムはもう着いているだろう。マリサ達とも顔見知りなリアムは、応接室ではなく食堂へ案内されているはずだ。待たせると悪いと思い食堂へ向かう。
「ニコ!!」
食堂へ入ると勢いよく抱き着かれた。昨日のルチルみたいだな。
リアムはオレに抱き着いたまましばらく動かなかった。
「リアム?」
「ニコ…生きてるんだな。…よかった」
呼ぶとリアムは顔を上げた。青銀の目にうっすらと涙が溜まっている。
「ニコが元気になったとは聞いていたんだけど、なかなかまとまった休みがとれなくて…でも本当に元気そうで、良かった」
オレをペタペタと触りながらリアムが言う。
同じようなこと誰かにやられたな。あ、ロイ兄さんだ。
リアムの顔を見ようとすると少し目線が上がる。魔法学校の卒業式の時にはほとんど同じ身長だったのに、ニコが病床にいる間に成長したようだ。悔しくなんかないぞ。
「前は青白い顔してたけど、血色も戻ってる。筋肉も少しついてるみたいだし…本当に病気は大丈夫なのか?」
「うん。病気はすっかり治ったって主治医に言われてるよ。リアムにも心配かけて悪かったな」
リアムは騎士団の医局に所属し、軍医として王都で働いている。治癒師と薬師の資格を持つ医者だ。水・光・時の属性を持ち、医者になるために生まれてきたような人だ。ニコの異変に最初に気付いた人物でもある。
「ニコが元気になったのなら、良かった」
リアムは歳が同じで魔法学校の同期だ。学生時代を共に過ごしたためニコと仲が良い。従兄弟というよりは親友だと思っている。
リアムは王弟と母の姉ルシアナの息子。王位継承権がある王族だ。
「さあさあ、できましたよ。熱いうちに召し上がれ!」
マリサが用意してくれたのはピザだった。
しっかりした厚みのある生地にたくさんの具材が乗っているリアムの好物だ。ニコ達が魔法学校に行っていた時、王族のリアムは手掴みで熱々を食べるピザを食べたことがなかったらしく、伸びるチーズに感動して豪快に食べていた。
「ニコ、魔力が全然違うな…全属性になったって本当だったんだ…」
リアムがピザを食べながら呟いた。
まぁ、言われるとは思っていた。ロイには魔力が服着て歩いてるって言われたしな。
「オレは病気で死にかけて…死の淵をさ迷ったことで前世の記憶を思い出したんだ。全属性になったのもおそらくそのせいだと思う……っていう設定」
「え?」
リアムがピザを持ったまま固まった。
「リアム、正直に真実を話す。君に嘘はつきたくない。聞いたうえでオレが信じられなかったら仕方ないと思うけど、事実なのでとりあえず聞いてくれ。あと他言無用で頼む」
「…分かった」
リアムが神妙に頷く。
「オレは正確にはニコではない。オレは異世界から来た転生者だ。体と記憶はニコのものだけど、中身は違うんだ」
「……………」
「リアムも知ってると思うけど、ニコは不治の病だった。本当のニコは病で死んで、魂が抜けたその体にオレは転生させられた」
「させられた、って誰に?」
「神様だよ。女神アストライア。理由は、オレに魔法の才能があったからだと思う。もともとオレがいた世界には魔素がほとんど存在しなくて、魔法もない世界だったんだ。事故で死んだオレは――この事故もオレの魔力の器が原因だったみたいだけど――神様の目に止まったらしく、魔法のある世界に転生するように言われた。ニコの体は転生先として用意されていたんだ」
「…女神アストライアと話したのか?」
「ん?ああ、話したよ。魔法のこととかも聞いたし。金髪碧眼の美女だったよ」
リアムが「あ――――」と言葉にならない声を出した。
リアム、アステル教信者だっけ?いや、違うよな。
「…なるほど。ちなみにこの話を僕以外で知っているのは?」
「両親と兄妹、叔父のロイ兄さんと、その友人のリストさん。他の人には基本秘匿して、どうしてもの時にはさっきの設定で通すように言われている」
「そうか。…特に女神の話はしない方がいい。アステル教は思ってる以上に厄介だ」
「父にも言われたよ」
アステル教、よっぽどだな。関わらないようにしよう。
「僕にはニコがここにいるようにしか見えないが……本物のニコは…死んだんだな」
「…ニコの魂は輪廻に入って、別人として生まれ変わるらしい」
「…そうか。残念だけど、仕方ないよな。次の人生では病気せず、幸せになってくれることを祈るよ」
「…ありがとう、リアム。ニコは君に感謝していたよ。君は優しくて優秀で…親友と呼ばれるのが誇らしかった。ニコは言えなかっただろうからオレが代わりに伝えておく」
「ニコ…」
リアムはニコの親友だった。ニコの苦しみを少しでも軽減しようとしてくれた。病気の治療法を調べてくれていたのも知っている。
「ニコの体を乗っ取った形になっちゃったけど、オレは別にこの体で悪さするつもりもないし、幸い性格も似ているようだからこのままニコとして生きていくつもりだ。ニコの親友だったリアムに嘘はつきたくないから、信じるかどうかは置いておいて真実を話した。今後の付き合いについてはリアムが決めてくれ」
頭のおかしなやつだと思われる可能性はあるし、信じてもらえたとしても、ニコが別人に成り代わっていることが許せないかもしれない。
なので今後の付き合いはリアムに任せる。
「信じるよ。女神が選別した魂なんだ。悪いやつの筈がない」
「…信じてくれるのか?」
「直感は信じるタイプなんだ。確かに君はすごくニコに似ていると思う。真面目で…人がいい。それに、ニコの記憶があるんだろう?」
「ニコの記憶や感情は残ってるよ。リアムのことも色々と覚えてるしね」
ニコとの思い出を思い出したのだろうか。リアムが笑う。
「ニコの体にニコの記憶がある。それはもうニコってことでいいんじゃないかな?僕は今まで通りニコを親友と呼ぶし、そしてニコと再会できたことを喜ぶ!そしてピザが冷めるから食べよう!」
「うん!」
慌ててピザに手を伸ばした。まだ温かいピザは充分美味しかった。
「そういえば、国王に謁見する予定なんだって?」
リアムが聞いてくる。
「そうなんだよね。全属性の魔法使いは騎士団で管理したいらしくて。魔法部隊長がオレを魔法部隊に入れるために動いてるらしい」
「まぁ、全属性だしな…妥当なところだと思う。それで、ニコは魔法部隊に入るのか?それともフォルトナー領を警備する第10部隊?」
「オレは騎士団そのものに入りたくない。見せ物になりそうだし、周りに気を使われるのも嫌だ。どうやって断るか考えてる」
「夢の魔法部隊だよ?」
確かに以前なら喜んで受けただろう。魔法学校へ通う学生の憧れだしな。
「オレの住んでた世界はさ、魔物がいない平和な世界だったんだよね。魔法はないけど文明の発達した世界で、例えば高速で空を飛ぶ乗り物があったり、何百メートルも高さのある建物があったり、遠くにいる人と顔を見て話ができたりね」
「想像できないな…」
リアムが難しい顔をしている。
「オレからすると、魔法があって魔物がいるアステーラは『想像上の世界』であって現実的ではないんだ。騎士団もないし、魔法使いなんて職業もないしね」
まさにファンタジーの世界だよ。
「ニコは貴族だけど三男だし、魔法も使えたから手っ取り早く騎士団に入団したかったんだろうけど、オレはこの世界で生まれた訳ではないし、基本的な考えが違うんだ。ニコみたいに騎士団に憧れてもいないしね」
「そうなのか…」
「そもそも一度死んで人生をやり直してるから、今回は自由に生きたいんだ。オレはこの世界でやってみたいことがたくさんあるんだよね。魔法も色々覚えてみたいし、冒険者にもなってみたい。色々な国にも行ってみたいし……騎士団入団は全力で回避するつもり」
もちろん理由なく断るのは難しいと分かっている。そのための策も用意している。
「僕も行くよ。ニコだけだと危なっかしそうだし」
リアムも一緒に行ってくれることになった。すごく心強い。
謁見をするため、家から三つ揃いを持ってきている。
謁見に服装の指定はない。失礼のない服装であればよく、貴族ならアステーラの準礼装である三つ揃いを着ることが多い。三つ揃いとはジャケット、ベスト、スラックスを同色同柄で揃えたスーツで、形は日本のサラリーマンが着ているスーツとほぼ同じだ。黒や濃紺ならどこにでも使い回せて無難な服装となる。
もともと成人のお祝いでニコが作ってもらったものだが、病気で一度も着ていなかったものだ。謁見が決まった時に、サイズ調整も兼ねて治してもらった。痩せてしまったのもあってぶかぶかだったので、調整してもらって大分スリムになっている。
リアムは休日とはいってもいつもの王子様スタイルなので、特に謁見に問題ないらしい。
3時になる頃には騎士団から迎えが来た。リアムと二人で馬車に乗り込むと何か言いたそうだったが、さすがに王族であるリアムに意見は言えないのか無言でドアが閉められた。
巨大な王城の周りはぐるりと四角く堀になっていて、1ヶ所しかない入口には跳ね橋が掛かっている。堀の幅と深さはどちらも5メートルほどあるので、飛び越えるのは無理だ。入口にある門は王城の門と呼ばれ、警備は厳しく、中に入るのは許可がいる。今回は王からの呼び出しなのですんなり通れた。
ちにみに一般には1ヶ所しか入口がないとされているが、実際は騎士団本部がある塔の内部から入れる橋や、王族だけが使える抜け道があるらしい。ちょっと探検したい。
跳ね橋を渡ると広い庭園となり、まっすぐ進むと王城に到着した。馬車を降りて案内されたのは待合室で、そこで呼ばれるまで待つ。順番になると謁見の間へ案内された。
なかなか立派な謁見の間だ。一段高くなった中央奥に玉座があり、その両脇にも椅子がある。王妃や王太子が座るのだろうか?見事な赤い絨毯が敷かれている。
そして何故か脇に待機する人数が多い気がする。騎士団のお偉方だろうか。ロイの顔も見えた。
「顔を上げよ」
国王の入室が告げられたら頭を下げて待ち、声が掛かったら頭を上げる。それから型通りに名乗る。
「国王陛下にご挨拶申し上げます」
リアムと打合せをしていたので落ち着いた声が出た。
「アベル・フォルトナー辺境伯の三男、ニコ・フォルトナーです。病み上がりのため、拝謁が遅れましたことお詫び申し上げます」
「サイラス・ヘレーディ・ルーモディウス公爵の長男、リアム・ヘレーディ・ルーモディウスです。騎士団の医局に所属しています。ニコの体調に不安がありますので、万が一のために主治医として同行いたしました。この場に待機することをお許しいただけますか?」
「…いいだろう。許可する」
すごい、リアム。この理由なら断れない。心強い。
これで体調がいい訳ではない、ということが印象付いただろう。
国王フェリクス・レイ・アステーラ。
リアムの伯父になる。
「遠いところ、足労であった。そなたは全属性であると報告を受けた。全属性を持つ者はアステーラには、いや、周辺国にも存在しない。事実の確認と今後の処遇について話し合う必要があるのだ。体調が優れない時には申し出るように」
「お気遣いありがとうございます」
いざとなったら体調の悪さを全面に押し出していこうと思う。
「魔法部隊副部隊長のロイ・フォルトナーです。ニコ・フォルトナーは全属性であることを、同じく魔法部隊所属のリスト・パルシネンと共に確認いたしました。この証言に嘘偽りはありません」
「魔法学校に在籍中は3属性だったと報告書にはあるが…途中で全属性になることはあるのか?」
「確かにニコは魔法学校在籍中は火・風・土の3属性でした。ニコは原因不明の不治の病により長らく病床におりました。確証はありませんが死の淵をさ迷い、生還した際に全属性になったものと思われます」
「俄には信じがたいな…」
「だが全属性なのは事実だぞ…」
ロイの言葉にギャラリーがざわざわする。全属性、そんなにヤバイの?神様、前もって言っておいてよ…。
隣にいるリアムに小声で何か言った方がいいと言われたので口を開くことにする。
「…私は長らく患っておりました。薬も治癒魔法も効かず、目眩や吐き気、頭痛などがしてベッドから起き上がることもできないような病でした。毎日が靄のかかる泥沼を歩いているような気分でしたが、ある日妙にすっきりして目が覚めた際に、纏う魔力が変わったのに気付きました」
嘘をつく時は真実を混ぜるといいということを聞いたことがある。
「聞けば目覚める直前、危篤ということで家族が集められ、一度心臓が止まったそうです。医者は奇跡が起きたと言いますが…何故かそれまで患っていた病はすっかり消えて、魔力が増え、全属性になっていたんです。信じがたいことですが、本当に体が生まれ変わったのかもしれません」
「そんなことが…」
「まさに奇跡だな」
またギャラリーがざわざわした。全属性になった経緯は一応これで納得されたらしい。
「魔法部隊長ヴァン・プライセルです。発言をお許しいただけますか?」
「発言を許可する」
この人が魔法部隊長。空間収納が使える人だな。
歳はうちの父親と同じくらいだろうか。魔法使いの団員が着るローブを着て、腰までの金髪を後ろで一つに縛っている。ロイはローブを着ていないので、この中では最も魔法使いぽいかもしれない。
「ニコ殿はもともと優秀な魔法使いであり、魔法学校卒業後は騎士団に入団することを希望しておりました。当時の希望は第1か第10部隊。しかし、突然の病によりやむ無く入団を取り止めております。陛下に認めていただけるのなら、再度入団を許可し、わが魔法部隊でお預かりしたいと思っております。ニコ殿の叔父であるロイ・フォルトナーも所属しておりますので安心でしょう」
「全属性の魔法使いが所属するのであれば、魔法部隊が適任かと思う。身内がいる方が心強いであろう。…それでは、ニコ・フォルトナーの騎士団入団を認める。そなたには騎士団の魔法部隊に所属してもらいたい」
リストは、魔法部隊の隊長が特例での入団許可と魔法部隊への配属を申し出て、それを陛下が認める形になるんじゃないかと言っていた。
なるほど。オレの意思は関係ない訳だ?
ちなみにここで求められている答えは「謹んでお受けいたします」だ。お受けしないけどね。
「大変光栄ですが、私は病後二月ほどしか経っておりません。まだ体調が万全とは言えない状態です。そんな状況で魔法部隊に所属するなど、迷惑をお掛けするだけなのではないかと思いますが…それでもよろしいのですか?」
「体調面は部隊でサポートするつもりです。魔法部隊は騎士団本部にあり、同じく医局も本部にある。いざという時のために連携しています。もちろん休暇も取ってもらって構いません」
休暇か…。ロイに借りて騎士団の規則を読んだが、結構充実していた。有給休暇もあるし、傷病休暇や殉職した団員の家族への恩給などもある。
「もし騎士団に入団するとしたら、福利厚生も含め、騎士団の規則が適用されますよね?」
「もちろんそうなりますね」
よし。言質は取ったぞ。
「安心しました。入団の際には早速活用したいと思います」
「では、ニコ殿は騎士団に入団し、魔法部隊に所属するということでよろしいですか?」
魔法部隊長が返事を促すが、オレはにっこり笑って一冊の冊子を取り出す。
「騎士団の団員規則を拝見しました。最大1年の傷病休暇が認められているそうですね?もし今入団をすることになれば、これを使うことになるでしょう。1年を過ぎると退団になるとか…さすがにそれでは心苦しいので、その前に退団したいとは思いますが…」
そう。入団を断るのではなく、入団後、辞めればいい。
「退団を希望する場合は部隊長に退団届を出せばいいんですね?」
さすがに退団の自由は認められているだろう。例え部隊長の所で退団届が止められるとしても、それなりの届け方にすれば提出したけど受理されない、と証明できる筈だ。
ギャラリーは静まり返っている。
「それでも入団させますか?」
「……………」
魔法部隊長は何も言えないようだ。国王陛下も無言。
騎士団の魔法部隊は優秀な者だけが引き抜かれる選抜部隊であり、魔法使いであれば誰もが憧れる職場だ。厚待遇の職業斡旋を断られるとは思っていなかったのだろう。
「ないとは思いますが、もし、辺境伯である父や家族、領民に不都合があるのであれば、実家との縁切りも辞さない所存です」
「…平民になっても構わないと言うのか?」
「私は特に家名にこだわりはありませんよ。ニコ・フォルトナーという名前を捨てて別人として暮らしても構わない。幸い兄が2人おりますし、辺境伯領は安泰でしょう」
もともとオレは日本の庶民だ。貴族であることにこだわりなんかあるわけがない。
「幸い全属性という強みがありますし…どこの国でも受け入れてもらえそうですね?」
「他国に取られるなど…」
「貴族の誇りがないのか!?」
ざわざわする謁見の間に、陛下の隣にいる宰相らしき人が「静粛に」と告げる。
「他国へ行くのだけはやめてもらいたい。全属性の魔法使いにどれだけの価値がつくか……国同士での奪い合いになるだろう」
宰相(仮)が神妙な顔でそう言った。…奪い合い?全属性、そんなに価値あるの?
「ロイの報告によればニコ殿は一人で国を滅ぼせる程の力があるらしいですよ。皆様も不必要な発言は避けた方がよろしいでしょう」
続いた魔法部隊長の言葉にギャラリーは完全に静かになった。
いや、滅ぼさないよ。
「そなたは何を望むのだ?」
陛下の言葉に頷いて口を開く。
「私の望みは干渉されないこと。家族や友人達に不都合がないこと。それだけです。それが守られている間は、騎士団に入団しなくても節度のあるお願いなら聞くつもりですよ。他国にも行きません」
「そうか…それならば…」
宰相(仮)とぼそぼそと話し始める陛下。
「恐れながら…長時間立ったままでしたので、ニコの体調があまりよくありません。これ以上の負担になることは主治医として認められませんので、退席させていただきます」
リアムが強めに言い切る。言外に病人に椅子も用意しないのかよ、という言葉が透けて見えるぞ。よし、それに乗っかろう。
「私も体調が万全ではないので…正直、立っているのがやっとでして…退席をお許しください」
更に乗っかったリアムがオレの体を支えた。リアムに支えられて歩き出すと陛下に止められる。
「待てリアム、晩餐の用意がしてあるのだ」
晩餐会か。普通に無理だな。病人設定だし。
「…病み上がりのニコをこれ以上拘束するつもりですか?」
「いや…そのようなことはないのだが」
「そうですか。それでは私達はこれで失礼いたします」
リアムが慇懃無礼に挨拶をした。
陛下の次に身分が高いのがリアムだ。退席する間、誰も何も言わなかった。




