07 幕間 王宮内での一室にて
本日2話目です。
普段とは違い、慌ただしさのある王宮。
その執務室にて二人の男が話し合っていた。
「ハリスの祝福を行った司祭、いや今は大司祭か、あいつが昨日夜に亡くなった」
「死因は?」
「外傷はない。目撃者の話では、急に苦しみだしたとの事だ」
「・・・周囲に配置していた諜報部隊からは何と?」
「問題なし、との報告だった。・・・行方不明となった部隊以外からは」
「まさか! 諜報部隊が裏切った?」
「いや、戦闘跡が見つかった。恐らくだが、定時連絡をした直後に襲われ、次の定時連絡までに事をなされたのだろう」
「巡回の兵士達は?」
「異常なし、との報告だった。だが、少なくとも戦闘跡近くを巡回していた兵士達は何かを見聞きしたはずだ。そいつらは今尋問していて結果待ちだ」
「そうか・・・」
椅子に座って報告を受けていた男は少し目をつむり、
「・・・目処は付いているか?」
「はい、おそらくはガネーシャ王国かと。あの国からの諜報員の数がかなり増加しておりましたので。他の国の諜報員は余り変わっていないため、単独で来る可能性は高いかと」
「大国、ガネーシャか・・・。あそこならむしろ、単独でも十分と周りは見ているのかもな」
「否定できません。現在、王国の正規兵だけでなく各地の特別開拓地や冒険者ギルドにも内密に動員をかけております。奴らの進軍までには間に合わせられるかと」
その報告を聞いた男は、少し目を細め、しかしすぐに元に戻すと、
「恐れていた事態が起きてしまったな。まぁ、大国ガネーシャが相手とは言え単独になっただけマシ、か」
「周辺国が一度に攻めてくることに比べれば、ですがな」
そして男達はもう少し遣り取りを行い続けた。
その遣り取りから2週間後、大国ガネーシャが軍を動かしたとの報告が王宮へともたらされた。
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