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Bezzicarsi~言い争い

メニューのコピー…

専門書…

今瑞森レオは確かにそう言った。


まさか彼は…うそっ!?


カァァァァ―ッ…


恥ずかしさのあまり、一気に顔が赤くなる。


「コピーって―」


バンッ!!


私はテーブルに両手をついて勢い良く立ち上がった。

あまりに強く打ちつけたので、両手にはジーンと痺れが走ったままだったがそんな事は気にしなかった。

気にしてられなかった。


「あれ見たんですかっ!!ひどいっ!!」


「何がだよっ!?」


リビングにあるすべての家具に共鳴してしまうんじゃないかと思うような大きな声で、瑞森レオに問い質す。


「勝手に人の部屋に入るなんてっ、信じられないっ!サイテー!」


「んだと!」


バンッ!!


その言葉に、彼も開いていた本を乱暴に閉じテーブルに置くと、私を凄い形相で睨みかえしてソファーから腰を上げた。


「サイテーって何だよ!お前を部屋まで運んだ時に、たまたま見ちまっただけだろうがっ!」


「運んだぁ?」


私はその言葉に声を荒げた。


「勝手に玄関でぶっ倒れやがって。あの後ニ階のお前の部屋まで引っ張ってったの誰だと思ってんだよ!おまけに寝易いようにパーカーまで脱がしてやったってのに」


「えっ…あっ!」


その言葉に先程ベッド脇に掛けてあったパーカーの姿が頭を過った。


あれってコイツが…

ぬ、ぬ、脱がしたのぉーーーーーーーーーーーっ!?


て事はまさか私

触られたりしてないよねっ!


男性とのアダルトなファーストタッチもまだなんだからっ!!


そんな清純な乙女の服脱がすとは何て外道!!


「変態っ!!」


私は思わず、片手で自分の申し訳程度な胸を隠し、今しがた瑞森レオがテーブルに置いたばかりの本を、思いっきり彼に向かって投げ付けていた。


「痛えっ、」


瑞森レオはそれを自分の腕で遮って落とすと、凄い剣幕で捲し立ててきた。


「んだよ変態って!お前が苦しそうに青い顔して倒れたから、この俺が気を利かせて脱がしてやったんだろーが!たかが服脱がしたくらいで女みたいにギャーギャー喚いてんじゃねぇよ!」


「うぐッ」


女と言われて言い返せなくなる。


「それとも何かぁ?自分がゲイだからって俺がお前に気があるとでも思ってんのか?前にも言ったが俺はノーマルだっ!お前襲う気なんざさらさらねぇよ!」


ゲイ――


そうだ。

私はゲイだった。


私は男の人が大好きな―― 男の子だった。


自分のキャラ設定を思い出す。

そのキャラで瑞森レオに言い返した。


「お、オレだって瑞森さんに襲われたくないですよ!何されるか分かんないもんっ」


「何だよその言い草は、てめぇの胸隠しながら喚き散らす、男好きな変態に変態呼ばわりされたくねぇよっ!」


「変態…」


言葉が詰まる。


瑞森レオには平気で言っていたこの言葉も、自分に言われるとなかなか傷つく。

ガラスの繊細なハートが痛んでしまった。


それにこの男

変なところは見落とさない。

この状況でよく人の胸なんて見てられるよっ、

本当はその気あるんじゃないの?


「……」


私はジーッと彼を睨みつけたまま、口を尖らせて黙りこんだ。

そして静かにソファーに座り直すと、プイッとそっぽを向いた。


「ったく」


その様子を見た瑞森レオは、突然苛立ち気味に頭を掻き毟り、

そして


「お前といると酒が不味くなるっ!」


まだお酒が残っていたグラスもそのままに私に踵を返すと、「ドンドンドン」と足音をさせながら、

勢い良く階段を登っていった。

暫くするとニ階の部屋のドアが「バタンッ!!」と勢い良く閉まる音が聞こえてきて彼が右手奥にある自室に戻ったことが分かった。



「あーもう私何やってるんだろ」


一人リビングに残された私は階上を仰ぎ見ると「はぁ」と溜息をついた。

そして俯いて反省する。


どうしてこうなっちゃうんだろう。


あの瑞森レオが私の体を心配してくれて、食欲不振に利くジン・トニックまで作ってくれてたっていうのに。


「何で食ってかっちゃうんだろう私」


売り言葉に買い言葉。


「さっきのは明らかに私が売っちゃったんだけどさっ、」


グラスの中の溶けかけた氷をカラカラと鳴らした。


なんでいつも瑞森レオと口をきくと

こういう展開になっちゃうんだろう。


自分勝手でムカつくヤツだけど…

仕事熱心だし、あれでなかなか賢いみたいだし、それに…

向上心のある凄い人だってことも今日分かった。


寮で初めてあった時に比べたら(幼いころの出会いはスルーして)、私瑞森レオの事

別に嫌いじゃなくなってる――ような気がする。


最近一緒にいる時間が長いせいかもしれない。

一緒にいるせいで、瑞森レオが単なる自己中男ではないのが分かってきたのかもしれない。


でも――


「まさかあれを見られてたなんて」


その事さえなければ、ちゃんと言えてた。素直に。


――ありがとう――

って。


「はぁ」


私は自分のグラスと、瑞森レオのまだ空になっていないグラスを手に持つと、キッチンのシンクへと歩いていった。

そして二つのグラスを丁寧に洗って食器棚に戻すと自分もゆっくりと階段を上り、一番端の自分の部屋へと戻った。





〔第三章 思いがけないお誘い〕キャラクター紹介


日吉橙子ひよしとうこ:20歳。身長167センチ。 体重ひ♡み♡つ


Ristorante Deliziosoの得意先である、三代続く八百屋「日吉青果店」の一人娘。


ルックス:真黒の背中まであるストレートのロングヘアー。見た目はかなり華奢に見られがちだが、実はそれなりにナイスバデ―なスタイルをキープしている。

強い意志を感じさせるような、形の良いキリッとした眉と、バランスの良いスーと筋の通った鼻。


女剣士のような凛々しい顔立ち。


主人公曰く

出るところは出ている、羨ましいスタイルで、女子高では演劇部の男役とかやっていそう。


好きなもの:バイクと可愛いくて素直な男の子(輪♡)


性格:強引ぐマイウェイ。空気を読めない。いや、読まない。


唯一瑞森レオを顎の先で使える女性。


◇◇◇◇◇


櫻井馨子さくらいかおるこ:20歳。身長158センチ。


世界中に弟子を排出している、名門華道一派「鳳来流」現家元 櫻井水城の姪。次期家元。


幼い頃に鳳来流家元であった父と、母を飛行機事故で亡くし、その後 後見人となって家元を継いだ櫻井水城の元で暮らしている。


櫻井水城とは叔母、姪の関係であり、師弟の関係でもある。


ルックス:肩までかかるちょっとウエーブのかかったフワフワな淡い栗色の髪。

クリクリした黒目がちな大きな瞳と長い睫毛。ほんのりと桜色に染まった頬。


主人公曰く

絵本に出てくるお姫様。


性格:品が良く、お淑やか


好きなもの:瑞森レオと絶叫マシーン





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