99~100日目
99日目
お店にお客さんが来てくれた。常連さんとレインさん以外のはじめてのお客さんだ。
それも3組も。
名物のふわふわプレートを注文してくれた。皆さん、レインさんの部下らしく、上司のおすすめが食べたかったようだ。
なんとここでレインさんの素性がわかった。
レインさんはこの迷宮のラスボスであり、天空に浮かぶ逆さ城の城主であるらしい。おおっとすごい人物だったのね。私は迷宮への挑戦者じゃなく、移住者としての扱いだから、攻撃とか排除はされないらしい。
もし迷宮の挑戦者として入ってたら、ザカルドに会う前に瞬殺だったでしょうね。いえ、レインさんと会う以前に死に戻りしてそうですけどね、はい。
レインさんの部下の方々もよく見たら、ちょっと異形っぽい。
私ってすごい人と知り合っちゃったんだなあ。それにしても、その城主と仲良さげな常連さんっていったい……。
夕方になるとシードルが帰宅した。なんか機嫌悪い。
どうやら、ドリーマーにあるバイナリィという制度があることを聞いたみたい。
なによ、それ。
私が本気で知らないとわかると心底呆れられた。悲しいのですぐに調べた。
バイナリィとは、ドリーマーが気に入った原住民を一人だけ、魂のパートナーにする制度のことらしい。結婚という意味でバイナリィ制度を利用する人もいるみたい。
シードルは当然オレとなるよな、と静かに殺気立っている。
俺以外をバイナリィにしたら、殺すとまで言いきられた。
やばい。執着の強さに感動で目の前が曇ってきた。
やり方がわからないので、兄に聞くといって今日は納得してもらった。
100日目
無事に私たちはバイナリィの契約を結んだ。
これでお互いのいる場所も感知されるようになるし、メッセージのやりとりもできる。
死に戻りもできるんだけど、それはあんまり興味ないみたい。
もうお前は俺から逃げれないからな、とにやりと笑っている。
その笑みにゾクゾクした。こんな束縛激しいと思わなかったけど、これはこれで良い!!と思ってしまうからこまる。
アッシュグッズを捨てたことを伝えると、当然だよな、俺のこと愛してんだもんな、と目をぎらつかせながら歯をむき出しにして笑ってた。はあ、執着がしゅごいわ。
その後の展開が私のキャパを完全に超えてしまっていた。
ご褒美だといって、膝のうえに座らされた。頬ずりをされ、しきりにゴロゴロと喉を鳴らしている。かわいすぎて、鼻血を噴いてしまった。
シードルは慣れたもので、布巾で血をぬぐい、丁寧に鼻に栓をしてくれた。
そして私の髪をほどいてブラッシング始めた。時折、額や頬、耳にキスされる。
飛び上がってしまったが、がっちり腕でガードされてて逃げられない。
微熱みたいに、触れられた部分が、熱をうみ始めていく。
ブラッシングはリヤン族流の親愛の流儀みたいなものらしい。
バクバクする心臓を抑えながら耐えてたら、ざらりとした熱い舌が唇の端をかすった。
無様な鳴き声をだしてしまい、シードルは声をあげて笑っていた。
□音声ログ□
「よしっ、ちゃんとできたご褒美やるよ」
「え? ごほうび?」
「ほら、こっちこい」
「ひゃあっ」
「(ごろごろごろ)」
「(ぶちゃあっ)」
「お前、鼻血ばっか出してんな。ほら、こっち向けよ」
「めんぼくない」
「リヤン族はな、親密な相手同士で毛づくろいしあうんだよ。ちなみに俺が毛づくろいする相手はお前が初めてだ。うれしいか?(ぺろり)」
「ぶびゃひぁあ」
「あっははっ。なんて声出してんだよ」
「あ、だ、ああ、えあ」
「これから毎日してやる。お前は俺の最愛だからな」
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