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90~92日目

90日目

 常連さんがひさびさに来てくれた。


 お礼をいわれた。


 休憩中に蜜蝋を使ってみたんだけど、次々と獣が近づいてきて、狩りがはかどったんだって。


 あわてて参考にしたレシピ本を確認。


 獣を引き寄せる効果がありますって書いてるううううぅ。


 下手にシードルとか一般の人にプレゼントしなくてよかったと冷や汗をぬぐった。


 常連さん、さらに5つほど買ってくれた。


 普段通りにしているつもりでも態度にでてたみたい。元気がなさそうだと常連さんに心配された。


 常連さんに門の奥へ行きたいことを相談してみた。


 率直に言って、私の実力では入れるレベルじゃないらしい。


 別に戦闘がしたいわけじゃない。中にいる知り合いに会って、少し話ができたらいいんだ。


 常連さんは難しい顔をして、連れに相談してみると言ってくれた。


 ほかに頼れる人もいないので、私は深々と頭をさげて、賄賂としてハニーファッジとハニカムボムを献上した。


 ものすごく苦笑いされたけれど、半ば押しつける形で受け取ってもらう。




91日目

 常連さんが新しいお客さんを伴ってきてくれた。黒髪のきれいな女性ドリーマーだ。レインさんというらしい。きつめな目元だけど美人だ。


 レインさんは、蜂蜜を大量購入してくれた。


 ほかにないのか、と言われたので、ふわふわパンを出す。一応、食べ続けても体調の変化はない。


 蜂蜜をかけて、出してみた。


 冷たい表情が、パンを一口食べたとたんに緩んだ。


 とっても幸せな顔で食べるので、私までうれしくなる。常連さんもにこにこだ。


 レインさんはふわふわパンを絶賛してくれた。


 ホイップクリームやフルーツを添えたりしたらもっとおいしくなる、とスイーツトークで盛り上がる。


 最初は冷たそうな人だな、とおもったけど、ただのスイーツ好き美女だったわ。


 ひとしきりスイーツトークを繰り広げた後、門の奥に行きたいそうだな、と本題を切り出された。


 頷くと、いますぐ行こうするので焦った。


 それまで黙っていた常連さんが準備が必要だとたしなめてくれる。


 なので明日行くことになった。


 急遽すぎる。




92日目

 レインさん、常連さん、私の3人で門に行くと、さっそく揉めました。


 原因は私です。


 門が推奨する光は200以上。私の実力はまったく満たしてない。


 ただレインさんが只者じゃないみたいで、門番さんたちも強く制止できなくてたじたじになってる。最後は団長さんが出てきた。お休みだったみたいで、私服で街の方角から走ってきた。なんかすみません。


 団長さんがなだめにかかるが、レインさんが強引に啖呵をきって私の無事を確約する。


 最後は団長さんが護衛としてついていくことで門に入れることになった。


 門へ一歩踏み出すと、闇だった。


 濃度を持った暗闇が全身を包み込んでくる。


 団長さんが先頭に立ち、手に持ったランタンの明かりだけを頼りに進む。坂道を下ってる感じがするけれど、前後の人の気配がまったくしない。さらにささやき声や笑い声みたいなのも反響して闇の中から聞こえてきてすごく不気味だった。サニティもどんどん下がっていく。


 ようやく闇の中を抜けると、海が見える丘に出た。


 風が気持ちいい。


 空は紫と暗色のグラディーションみたいな感じで、ぼんやりと明るい場所があるから、あそこを目指すみたい。


 いたるところを怪物が闊歩している。どれも奇怪な外見をしていた。この世界の動物はわりと不気味な見た目しているけどだけど、怪物は嫌悪を煮詰めたような外見をしている。目をこらすと、サニティが下がり続けるので慌てて目をそらした。


 怪物に襲ってくる様子はない。


 そうこうして、たどり着いたのは街だった。


 ここにシードルがいるんだ。ドキドキしてきて、鼻血がでてきた。いや、血涙?


 耳からも血が出てくる。ナニコレ。


 サニティが限界まで下がっている。でももう立っていられない。


 常連さんたちに抱えられるようにして、いそいで宿に連れてかれて休まされた。


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