75~77日目
75日目
兄とふたりでの迷宮探索に早くも嫌気がさしている。
私が死なないぎりぎりのラインで、一匹だけ動物を誘い出して戦わせるというスパルタを始めたのだ。
カタツムリは本体の動きは緩慢だが、毒玉攻撃をしてくるし、もたもたしたたら、仲間が地底湖からあがってくるのが厄介だ。兄も本当に死にかけるまで手助けしてくれない。
のんびり釣りを楽しんでいる。
夕食は兄が釣り合げた魚料理がずらりと並んだ。
兄への腹立たしさも、空腹には勝てない。むしゃむしゃと魚を食べてたら兄がまたいろいろ教えてくれた。
戦闘をメインにしてる人たちは、主にこの2階層で修行しているらしい。一階層でダンゴムシを倒していると、どうしてもコウモリたちが寄ってくるから効率が悪いのだそうだ。
そういや、1階層では戦闘をしている人をあまり見かけなかったな。
採掘がしたい場合は、匂い袋でコウモリを遠ざけて、ダンゴムシは無視するそうだけど、なんで持ってないんだ見たいな顔で見られた。
そんなこと言われてもな。
楽勝じゃん、と調子にのったのがいけなかったのか。
一匹を水面へと引きだそうとしたところで、別のカタツムリに上にのしかかられ、水中に沈められた。ごぼごぼともがいているところへ、カタツムリ数匹に圧迫死されかけた。
兄に倒してもらい、溺死と圧死はまぬがれたけど、すごく呆れられた。
□音声ログ□
「とにかく一階層で戦うなんて労ばかりで実りがないからやらないんだよ」
「で、でもターシャも匂い袋持ってなかったし。コウモリと戦ってても何も言わなかったんだよ?」
「ふーん……あー、たぶんそれはあれだな。素材採取でわざと狩ってるって思われたんだろ。コウモリの羽は錬金の素材になるからな。それか単純にスターシード稼ぎと思われたかだ」
「そおなのお?」
76日目
薬がなくなったので、補充のために街に戻る。途中、犬たちが何かを発見したようで吠えだした。犬たちの後を追うと岩に埋もれている人がいた。
爆弾を置く位置を見誤って生き埋めになったらしい。助けだすと、ぜひお礼がしたいと自宅にお呼ばれした。8人の子だくさんのおうちで、にぎやかな夕食となった。おいしい手料理に自家製の蜂蜜酒をご馳走された。
お店とかで出すものじゃなくて、各家庭でおうちの味がでるんだって。
シードルが好きそうな味だなあ。
すごい絶賛したら、レシピを教えてもらえた。
さらに一瓶おすそわけしてもらった。
私もお礼に薬草ジェルをプレゼントする。仕事で怪我が多いからとっても喜んでもらえた。
お風呂も入らせてもらい、ぜひ泊ってほしいと言われてたが、兄がさわやかに辞退した。
そして信じられないことに迷宮で野宿だと言い出した。
駄々をこねたら、遊びにきたわけじゃないんだと説教された。犬にも吠えられた。
私の味方はどこにいるんだろう。
□音声ログ□
「おい、あんまり飲むなよ。甘いがけっこう度数あるぞこれ」
「そーなのぉ?」
「ああ。そのコップに残ってる分で止めとけ。二日酔いでも明日の狩りを休んだりしないからな」
「ぶーぶーぶー」
「口でぶーぶー言うな。しかし、うまいなこの酒」
「レシピ教えてもらったから作れる?」
「ん。まあ、そうだな。俺なら作れるな」
「やったあ!」
77日目
<トライショット>を覚えた。これがすごく強い。
三種類の属性異常の矢を打てるようになったんだ。毒効果と痺れ効果と睡眠効果。おまけに矢を消費しないのですごい経済的。
やばいわ、これ。
兄はやっとか、とやれやれって顔してる。くそお。わかってるわよ、成長が遅すぎるってことは。
休憩中、兄に戦術というものをぽつぽつと叩き込まれた。
私が持つ星殻<サジタリウス>は、アタッカータイプでソロでも使いやすい。今度もひとりで動き回ることが多いなら、1匹だけターゲットをひっぱってきて、安全地帯で確実に倒せるように慣れておくといいと言われた。
あと動物の性質も分かっておくように言われた。今は雑魚だからどうにかなってるけど、適当に攻撃するのは愚策らしい。
コウモリなんかは、ダンゴムシが襲ってきたときに、かならず集団で襲いかかってくる。そうなんだよね、だからいっつも乱戦になってめちゃくちゃになっちゃうんだよ。そしてダンゴムシは鉱石を掘る相手の近くに体当たりを仕掛けてくるので、狭い場所での採掘は避けるか、警戒しておかないといけない。
はー、勉強になるわあ。




