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63~65日目

63日目

 団長さんが倒れこむように入店してきた。


 店に入るなり、ぐったりとその場に横たわる。死んだのかと焦ったが、ただの過労と空腹だった。とりあえずスタミナドリンクを飲んでもらった。


 今回の門破壊騒動で、始末書やら街の防衛やらとあちこち飛び回っており、寝ずに働いていたようだ。

 街までご飯を買いに行くつもりが、間違ってこちらのほうへ歩いてきてしまったらしい。


 なんでも、職人さんとその弟子さんが、ここで食べたはちみつ照り焼きが絶品だったとめちゃくちゃ自慢したんだって。無意識にその会話が脳に残ってたみたいで気づいたらここに来てたらしい。


 それ作ったの兄なんです、すみません。


 わざわざ来てくれたのに、追い返すのは申し訳ない。でも、すぐに食べれそうなものって缶詰しかないのよ、うち。食にそこまでのこだわりないから。


 缶詰でもいいらしいので、それっぽくお皿にうつして出した。


 温めたらなんでもおいしいもんね。スープ缶、全部飲まれたわ。どれだけ食うのよ。


 果物も買ってあったことを思い出したので、それも適当にぶつ切りにして出した。


 あとなんか臭かったので、石鹸をあげた。これできれいにしてください。




64日目

 門が完成してひと安心だな、と店の前でお客さんが蜂蜜入りの紅茶をすすってる。樹を一本切り倒してそれをいい感じにベンチにしちゃってる。すっかりくつろいでるなあ。


 そろそろグレードアップして常連客さんって呼ぼうかな。


 いつもの感じで世間話をしながらだらっとしてたら、お店に新しいお客さんが来た。


 リヤン族が3人。見たことない顔だけど、何か買ってくれるのかな。期待をこめて接待しようとしたら、適当に品物見て帰ってった。


 がっかりだけど、仕方ない。


 品ぞろえ考え直さないといけないかなあ。


 常連客さんが、見ない顔だったなとちょっと険しい顔で言う。防犯にはくれぐれも気をつけるように注意してくれた。




65日目

 前にいったばかりだけど、街へ買いものにでかける。新しい合成をするために錬金本が欲しいんだ。


 その前に薔薇園に寄り道する。メイドさんたちがたくさんいて、お茶のセッティングをしている最中だった。


 今からお嬢様がここでランチをするらしくご相伴に預かることになった。


 やがてお嬢様がやってきた。なんと団長さんも一緒だった。いつものくたびれた感じじゃなくて、毛並みをつやつやにして貴族っぽい恰好をしている。団長さんはお嬢様の婚約者らしい。


 びっくりである。世間って狭いわ。


 このあと本屋によって帰ることを話すと、お嬢さまは団長さんに私の護衛を頼んでくれた。


 なんか申し訳ないですね。


 団長さんとふたりで街中を歩く。


 団長さんは途中でふらっといなくなったり、気づいたら後ろをついてきたりで落ち着きがなかった。


 正直、不気味だと思ったけど、善意で護衛してもらっているので愛想笑いでスルーしておいた。


 なんだかんだと買い物をすまして、森の中の店まで送ってはくれた。


 薬草ジェルとともに、無臭石鹸を個人的に注文してくれた。


 なんでも仕事がら忙しくて、風呂に入らなくなりがちだったのでお嬢様に叱られたらしい。ただ石鹸でいい香りをさせてたら、獣に寄りつかれるそうだ。私があげた無香料、無臭の石鹸はよく泡立つし、臭いが消えるから助かったと感謝された。


 喜んでもらえたならよかった。門番さんたちの間でもこの無臭石鹸は人気らしく、多めの発注をいただいた。


 まさか廃棄処分となった蜂蜜にこんな使い道があるなんて。錬金とは奥深いなあ。


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