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51~53日目

51日目

 気づいたら死んでた。死因は出血死だった。


 品質6の薬草ジェルができることに調子にのって、精神力を酷使しすぎたせいみたい。途中からふらふらしだしても、少し疲れたかな、くらいで気にせずガンガンに無理したもんなあ。


 小屋に戻ると、小屋の扉が開いて青い顔をしたお客さんが飛び出してきたところだった。


 お客さんすごい形相しててさらに筋肉もいいから、山賊かと思って悲鳴あげちゃったよ。私の声でおおっ、ってお客さんも驚かせてしまった。


 お互い落ち着いてお久しぶりってやりとるする。


 お客さんは、私の店に来たら、私はいなくて、血だまりの跡があったからびっくりしたようだ。


 お恥ずかしい。


 それ、私の鼻血なんです。


 正直に言うと、ああ、って顔された。顔から火がでそう。


 また薬買うのかな、と思ったけど、店がつぶれてないか心配で寄っただけみたい。なんかいろいろ心配かけてすみません。


 お客さんが帰った後、床の血だまりをモップで掃除した。なかなか血が落ちなくて苦労した。石鹸か洗剤でも作ろうかな。


 少し休んでから、錬金を再開する。


 死なないように気をつけながら、品質6の薬草ジェルを合成する。


 全部で30本できた。がんばったぜ。



□音声ログ□

「気をつけるのだぞ。お前の光※では、このあたりのオオカミすら脅威だろうからな」

「はい。この前も集団でふるぼっこにされました」

「ぬう。いまさらだが、街で店をするわけにはいかなかったのか。ここは……いってはなんだが、客もめったに来ないし、不便だろう?」

「そうなんですけどー、いろいろ事情がありまして」

「そうか。深くは聞かん。俺も何かと助かってるからな」

「はい。こんごともごひいきに!」



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※光……ドリーマーの強さを表す単位。

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52日目

 今日立っていたのは、知らない門番さんたちだ。


 挨拶してシードルへの貢物をかわりに渡して帰ろうとしたら、奥でお茶でも飲んでったらどうだ、と声をかけてくれた。


 奥に休憩中のシードルもいるらしい。


 いい人すぎじゃんか。


 お呼ばれして、詰所の奥に行くと、長テーブルに座って、シードルがお茶を飲んでいた。


 休憩中のシードル。貴重!


 しかもテーブルの上に、私が献上した蜂蜜が置いてある。


 実際に使ってくれてるところを見ると、やっぱ嬉しくなるなあ。


 ニコニコしている私に、シードルはやっぱりそっけないけどそれも嬉しい。また貢物が蜂蜜で申し訳ないけど、皆で食べてくれてるなら、申し訳なさも薄まるしね。


 さっそく持参した蜂蜜を、テーブルに加える。


 座ってのほほんとしてたら、話したことない他の門番さんたちとたくさん話せた。皆、今度店に買いに来てくれるって。どんなものが欲しいか一応リクエストも聞いておく。


 にこにこしてたら、シードルが低い声でそれで何しに来たんだ、と言われた。


 おおっと大満足すぎて、ここに来た目的を失念しかけるところだった。


 危ない危ない。品質6の薬草ジェルを納品しなきゃだったのだ。ただ30本も作ってしまったので、さすがにステルスはできない。店まで取りにきてほしいと、団長さんへの伝言をお願いした。



□音声ログ□

「あ、団長さんいますか?」

「団長に何のようだ」

「頼まれてた薬草ジェルを作ったので取りにきてほしくて」

「持ってこなかったのか?」

「手に持てる量じゃちょっとなかったので」

「わかった」




53日目

 昨日門番さんたちから聴取した欲しいものリストを確認する。


 傷薬、甘いもの、石鹸、チョーク、用紙にインクなど。門番と言えど事務仕事も多いらしく、こういうこまごまとしたものがたまに入用になるらしい。


 石鹸くらいなら錬金でできそうなので、本を読みながら作ってみることにする。


 ちょうど蜂蜜も材料に仕えそうだ。


 できた。


 無味無臭の石鹸(品質4)。


 使ってみたが、ちゃんと泡立ってる。普通の蜂蜜でも作れないか試してみたけれど、失敗。


 なんでよ!と一人突っ込みを入れてしまった。


 石鹸を店頭に並べるかどうするか悩んでいると、シードルが店にきた。


 薬草ジェルを取りに来たらしい。団長さんに言われてきたのかなと思うけど、どうも違うっぽい。なんにしても会えてうれしい!


 しかも私の体調の心配まで!!


 うれし泣きしたけど、前ほどシードルは驚かなくてスルーされた。冷たい。でも好き。



□音声ログ□

「薬草ジェルは?」

「あ、こ、これですっ」

「けっこうあるな。全部、お前が作ったのか」

「ガンバラセテイタダキマシタ」

「そうか。あんま無理すんなよ」

「……!!」

「おい、いまのどこに泣く要素あったよ」

「だっ゛で、じーどぉる゛が、わ゛だじのじんばい゛をぉぉぉぉぉ」

「そうかよ」

「づめだいぃぃ、でも゛がっごい゛いぃぃ」



ブクマしてくださった方々、評価ポイント入れてくださった方々、ありがとうございます。

ものすごく嬉しいです。やる気をいただいて感謝しております。


ムーンライトのほうで新作BL(世界観は一緒)も連載始めたので、そちらもよろしければどうぞ。

『30日後に恋に落ちる兄弟』

https://novel18.syosetu.com/n1022gw/

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